2013年06月11日20時13分

iOS7Beta即公開、フラット化に見るアップルの本気:WWDC2013基調講演

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 6月10日午前10時(現地時間)、今年で24回目となるアップル世界開発者会議『WWDC 2013』が開幕した。今年は、直前になってチケット発売日時をアナウンスしたため全世界からアクセスが殺到し、一瞬でチケットが完売したのは記憶に新しい。

 冒頭、ティム・クックCEOから、その時間が“71秒”だったことが明かされた。ちなみに、今年は会場の設計を少し変え、幅を広くとってより多くのデベロッパーが基調講演を見られるようにしたようだ。関係者によれば5000人以上が基調講演に参加した。

WWDC2013キーノート iOS7編 WWDC2013キーノート iOS7編
デベロッパーたちの声援に応えるアップルCEO(最高経営責任者)ティム・クック氏。 ↑今回からOS Xに加えてiOSのエンジニアリングチームも率いる、ソフトウェアエンジニアリング担当シニアバイスプレジデントのクレイグ・フェデリギ氏

 AppStoreはオープンして今年で5年。90万本のiOSアプリが登場し、500億ダウンロードを達成。AppStoreアカウントは5億7500万アカウントを数えるまで拡大。デベロッパーへの支払いは100億ドル(約9500億円)に達したという。

 前日の会場取材で、今回の基調講演でデビューするのはiOS7とOSXであることは確定、ではその詳細は? それ以外に何か発表は?という点に注目が集まった。すでに中継や各第一報記事のとおり、登場したのは以下の4つだ。

・次期OS X“Mavericks”
・新MacBook Air
・AirMac Extreme/AirMac Time Capsule(802.11ac対応)
・新Mac Pro
・iOS7

 基調講演の進行は順序としてはまずOS X、続いてiOSへと進む流れだったが、ここでは総括の意味で、まずiOSからまとめてみよう。

●iOS7は社内デザインチームとエンジニアリングチームのコラボレーション

「iOS7はジョニー率いる驚くべきデザインチームとクレイグの最高のエンジニアリングチームのコラボレーションによるもの。iOS7はかつてない変更が加えられたiOSだ」
ティム・クックCEOは自らの声でそう語り、iOS7のエンジニアリング責任者のクレイグ・フェデリギ氏に解説をゆずった。

 iOSは、昨年までスコット・フォーストール氏(当時上級副社長)がプレゼンを担当してきたが、フォーストール氏は昨年末、iOS6の不振の責任をとる形で退任。そこでiOSのステージを誰が担当するのかも注目だったのだが、OSX開発の責任者であるクレイグ・フェデリギ氏がその任にあたることになった。

WWDC2013キーノート iOS7編

通話アプリもまったく別のデザインに変わっている。ボタンのデザインを見ると、スキュアモーフィズムからの離別というのはこういうことか、と思わせられる。

 iOS7は、初代iPhoneのデビューから6年、ベースデザインにはまったく変更を加えなかったiOSの初となる大規模刷新になる。披露された新バージョンは、事前の噂どおりのフラットデザインを基調とする、まったく新しいデザインに生まれ変わっていた。これと同時に、多くの標準アプリの機能や操作性が細部までアップデートされ、新時代のiOSと呼ぶに相応しいものになっている。

WWDC2013キーノート iOS7編

今回からの新機能“Control Center”。透過処理が行われるため、下地の壁紙の色次第で見た目の印象が多少変わる。

 iOS7の変更は細かな部分も含めれば多岐に渡る。壇上で紹介されたメインフィーチャーは計10カテゴリー。デザイン面では、いずれも「フラットであること」に加えて、重なった地色やテクスチャの半透過処理が重要なアクセントになっている。

 また、ホーム画面で端末を左右に揺らすと、あたかも壁紙の上にガラスに載ったアイコンが置かれているかのように、擬似的に視差を演出して奥行きを感じさせる効果も標準実装される。これも、半透過処理と同じように、ガラスの板のようにUIが重なっていることのメタファーだ。

 機能解説自体は基調講演内容の羅列になるので後半にまとめるが、会場での反響は非常に高く、うまく新しいデザインをまとめてきた印象がある。
 ここまでUIを変えてしまうと、まるで過去との連続性のない別の端末のようにになってしまう危険性もあるが、プレゼンを見る限り、デザインの美しさにまったく破綻がないのはジョナサン・アイブ氏率いるデザインチームの力量だろう。日本語フォントを使った際に見た目がどうなるかは気になるところだ。

WWDC2013キーノート iOS7編 WWDC2013キーノート iOS7編

ベーシックな純正アプリも機能をブラッシュアップしつつ変更。デザインの中で刺し色を効かせるのは以前のデザインにはなかった配色。シンプルでフラットだからこそ刺し色が生きるということだろう。

 また純正アプリのアップデートについては、無闇に機能の導線をイジるのではなく、「こうなってるのが本来正しいのだろう」と思うようなアップデートになっている。つまり、本質的に「より使いやすく」を目指したものということだ。なお、やっとという感もあるが、iOS7ではAndroidと同じようにアップデートが自動化されることも公表された。

 一方で、アプリを開発するデベロッパー側からすると、ここまでベースデザインが変わってしまうと、アイコンの描き方にはじまり、UIデザインの演出も相当な変更を加えなければならないはずだ。
 そうした点はアップルもわかっていて、iOS7の発表に合わせてデザインガイドの配布を開始している。当面は、ガイドの内容を頭に叩き込みながら、iOS7の純正アプリのように馴染むデザイン手法を取り入れていく必要がありそうだ。

 各機能解説を見ていると、だんだんデモ端末がiPhone5に見えなくなってくる。それくらい、iOS7の変更は大きい。
 なお、iOS7は即日、デベロッパー向けのβ版が配布開始されていて、正式版は今秋に登場する。名称がiPhone5Sになるのかどうかはわからないが、次期iPhoneもその時期に登場すると見て良い。

●「今日の通知」モードが追加Notification Center

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 タブで機能が区切られるようになり、今日1日の通知が見られる”Todayビュー”などが追加された。通知が多すぎて見過ごしてしまう、といったことがiOS7では減るはずだ。

●設定やランチャーを一発呼び出しControl Center

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 Notification Centerとは逆に、下側から出てくるドロワーで操作する。半透過処理が目を引くが、よく見ると操作項目は結構多い。最上段に無線などのシステム設定系、2段目が画面輝度、3段目がメディアプレーヤーのコントロール、4段目がAirDropやAirPlay。そして5段目はアプリのランチャーになっている。5段目のアプリを好みに合わせて入れ替えができるのできるかどうかは、現時点では未公表だ。

●ついにアプリを完全解放マルチタスキング

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 これまではマルチタスク動作を一部のアプリのみにしか許可してこなかったが、iOS7ではすべてのアプリがマルチタスク動作になる。無線電波の状況に合わせた通信など、省電力に実行できる仕組みを複数整備し、バッテリーライフへの影響はないとフェデリギ氏は説明する。

●連携度を高めて使いやすさも進化Safari

WWDC2013キーノート iOS7編

 新たにタブ機能の操作性が変わり、縦にスタックした状態で表示するタブを選ぶ方式になった。タブはほかのiOS/OS Xデバイスと同期できる。ほかには、パスワードやクレジットカード番号などをOS X含む全デバイスで同期するiCloud Keychainにも対応する。

WWDC2013キーノート iOS7編 WWDC2013キーノート iOS7編

タブビューはこのように縦に並ぶ形になる。操作性としてはより自然に素早くタブが選べるようになった(左)。右画面では、自分のアカウントと紐付けているMacBook AirやiPadのタブを、iCloud経由で同期してiPhoneからも開くことができるというデモ。

●近くの人に写真を送るAirDrop

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 すでにOSXには実装済みの機能のiOS版。たとえば、撮影した写真などを無線LAN内のほかの端末をみつけて、簡単に送ることができる。

●“撮れるだけ”から大幅進化カメラ

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 機能が拡充された、社外カメラアプリキラーと呼べそう。撮影画角を縦長、正方形などの切り替えができるほか、リアルタイムの撮影エフェクトなどもできるようになっている。

●簡易補正にも対応Photo

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 写真を整理する機能が進化。写真の中に埋め込まれたジオタグやEXIFデータをもとに、撮影地域や撮影時期ごとにカテゴライズして表示できる。
 ピンチイン/アウトの操作でカテゴライズのレベルをリアルタイムに変えられ、写真を探す際の絞り込みが別モノに改善されている。またスライドショーも、ただ表示するだけではなく、大小写真を組み合わせてアルバムのように見せる演出が採用される。このあたりの考え方は、OS XのiPhotoアプリの機能性に近い。

●ツイッター発言も探せるようにSiri

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 新しい”声”が追加され、発音がより自然になった(日本語音声は不明)。また、音声でのシステム操作が可能になったようで、「Increase brightness」と話しかけて画面を明るくさせたりといったことができる。また、音声で特定の人物のツイートをSiriに検索させることもできるようになった。

●ついにはじまる聴き放題Music/iTunes Radio

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 Musicアプリ自体もアップデートされているが、大きいのはiTunes Radioの開始。いわゆる聞き放題サービスに近いが、広告が入る代わりに無料で聴けるというもの。これには場内にも驚きの声があった。また日本ではまだ始まっていないiTunes Matchの加入者であれば、広告なしで聴くことができる。
 以前聴いた曲の履歴などから楽曲を1曲単位で購入できたりと、楽曲購入の促進も意識していることが見て取れる。日本での展開予定は現在のところ未定だ(登壇しているのはインターネットソフトウェア&サービス担当シニアバイスプレジデントのエディー・キュー氏)。

●クルマの画面でiOSを使うiOS in the Car

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 クルマでiOSデバイスを接続して、マップや音楽再生をクルマの液晶画面で操作するもの。どういう接続方式なのか、業界団体で何かの規格にするのか、各社個別での対応なのかなど、詳細は現時点では不明。日本メーカーではホンダ、日産が名乗りを上げている。

iOS7の対応機種一覧
WWDC2013キーノート iOS7編
iOS7は、iPhone3G/3GSや初代iPad、iPod touchの第4世代以前では動作しない。

(OS X“Maverick”編は後ほど公開します)

●関連サイト
WWDC2013基調講演アーカイブ

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