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【私のハマった3冊】麻雀、ナンパ、俳句まで 優柔不断に必要な一瞬の決断力

2013年06月01日 14時00分更新

私のハマった3冊

決断なんて「1秒」あればいい
著 桜井章一
ソフトバンク文庫
680円

ザ・ゲーム
退屈な人生を変える究極のナンパバイブル

著 ニール・ストラウス
パンローリング
1680円

楽しい俳句の授業アイデア50
編著 小山正見
学事出版
1890円

 忙しいだの時間がないなどと言ってる奴に限って、実際は無駄な動きが多い。締切が迫ると突然意味もなく掃除を始めたり、アマゾンで靴選びをする映画ライターなどがいい例だ。

 そういうろくでなしは優柔不断で物事を決められないから『決断なんて「1秒」あればいい』を読むといい。一晩数千万円が動く裏社会の代打ち麻雀で20年間不敗という、冗談みたいな経歴を持つ著者の人生哲学がまとめられた本。なるほど、あらゆる決断が1秒で終わればこれは大変な時間の節約になる。

 彼は、会社の仕事は麻雀と同じと看破。アガリ(=出世)を目指してツモっては捨ての繰り返し。日々の決断など、どの牌を切るか程度のことに過ぎないと言う。社運に関わる決断をいち社員に任せるはずはない、君が任された決断など誰が決めても同じなんだから気楽にやれと、アゲてるのかサゲてるのかよくわからない助言の数々により、決断する勇気が得られる一冊だ。

『ザ・ゲーム 退屈な人生を変える究極のナンパバイブル』は、平凡な男が天才的ナンパ師の手ほどきで究極のモテ男になる話で、小説の形をとった事実上のナンパマニュアル。失敗例成功例が詳細に描写され参考になるし、“グループセオリーにおけるネグ”などという専門用語もおもしろい。ちなみにコレ、いい女は一人ではいないから必ず数名以上のグループに近づき、標的にはあえて冷たくしろというクラブナンパの鉄則らしい。1秒決断力を身につけた今の私には、まさに鬼に金棒な情報だ。ただし成果はまだ出ていない。

『楽しい俳句の授業アイデア50』は教師向けの本だが、項目ごとの授業シミュレーションがそのまま俳句づくりの秀逸な初心者向け指南書になっている。俳句とは写生とのことで、一瞬の感情や風景を記録する訓練は、決断力の養成そのもの。

 こうした本のおかげで、どの靴を買えばいいかようやく決めることができそうだ。

前田有一
亀有出身の映画批評家。100パーセント消費者側に立った“批評エンタテイメント”をテレビ等で展開中。

※本記事は週刊アスキー6/11号(5月28日発売)の記事を転載したものです。

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