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iTunes Storeで週末に観たい映画「5月の新作編その2」編|Mac

2013年05月18日 20時00分更新

 今週のテーマは「5月の新作編その2」。お馬鹿コメディーの「アイアン・スカイ」、高校時代の友情を綴った「サニー 永遠の仲間たち」、1時間半ほぼすべてが電話ボックスで完結するサスペンス「フォーン・ブース」、還暦を迎えたアクション俳優が主人公の「96時間/リベンジ」、家政婦の介護を描いた「桃さんのしあわせ」の5作品を紹介します。

アイアン・スカイ
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 ここ最近めっきり少なくなった、実はナチスが生き残ってました映画。ブラジルでヒトラーのクローンを作るとかではなく、月の裏側に逃げ延びていた残党が地球侵略を目論むというお馬鹿コメディだ。

 月面着陸したアメリカの宇宙飛行士が持っていたスマホのおかげで、長年開発していた超巨大戦艦が起動しかかるのだが、即バッテリーが切れて(笑)、失敗。で、侵略前にスマホを仕入れに先遣部隊を地球に送り込む。あれ? その技術力でスマホの充電くらいできるのでは? 的な突っ込みをしたら負けな感じだ。

 宇宙に追いやられているが、アーリア人は優れているから地球を支配してよい世界にしようとか、いよいよ侵略が始まると大都市に隕石を落として攻撃するあたり、ガンダムっぽいというかガンダム。なにせ本物の軍服きて「ジークジーク」言ってるわけだから、ガンダム目線で観るのも楽しいと思う。そういえば、その超巨大戦艦もアプサラスっぽい形状。

 なんとなくB級臭ただようが、圧巻はいよいよ侵略を開始してからの艦隊戦。宇宙空間で無数の敵味方が戦闘をする映画は、作るのが大変だから実はそんなにない。特にこのクラスの作品だとお粗末で興ざめするかと思いきや! 結構がんばっているのには驚き。尺を惜しまず大きいものはゆっくり、重量感あるものもゆっくり動き、割とリアル。物量も、好きな人たちが体力でカバーした感がいい。

 それもそのはず、この映画はクラウドファンディングによって制作費を調達している。だから気合の入り方は予算以上で、メジャーで作られたらこうはいかないだろうなぁと思う。なお、続編の企画も進行しているので、観てみたい! と思った人は制作費をカンパしてはどうだろうか? 今日時点で残り44日、目標15万ドルに対して8205ドルと厳しめ。金額によって特典がいろいろあるので、いち早く楽しみたい人は要チェック(関連リンク:Iron Sky The Coming Race) 。

 なお、監督自らのプロモーション映像が馬鹿すぎなので必見だ。北朝鮮に拉致されて、捕虜っぽくビデオの前で正座させられている。というのも、作品内で、圧倒的な攻撃力で攻めてくる敵の黒幕を探る世界各国の代表に、北朝鮮代表が「あれは将軍様が設計し組み立てたものだ」と言ったとたん「嘘つくんじゃねーよ」と大爆笑されるシーンが原因とか。

 

 7月まで祝日がなくつまらない日々ですが(のび太的思考)、気休めに本気のおバカ映画はいかがでしょうか?(三宅

アイアン・スカイ(字幕版)」をiTunesで見る
(HD版レンタル:500円、SD版レンタル:400円)

サニー 永遠の仲間たち
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 MacPeopleの読者コーナー「漢エビハラの俺に訊け!」のイラストを描いてくださっている川崎タカオさんにお勧めされてから、ずっと気になっていた本作。iTunes Storeの新作映画に追加されていたので、見てみることにしました。

 高校時代に「サニー」というグループで仲良く過ごしていた7人の仲間たち。それから25年間会うこともなく、それぞれが大人になります。そんなある日、専業主婦として忙しくしていたナミは余命2カ月の病に侵されたチュナと再会。死ぬ前にみんなに会いたいと願うチュナのために、ナミはほかのメンバーを探し始める、というストーリーです。

 かつての素朴で素直だった高校生のころの面影がないほどに、事情を抱えて大人になったメンバーたち。私自身や私の友人と重ねて見てしまい、切ないシーンもたくさんありました。

 また、一緒にいた当時に何を話していたかも覚えていない中学・高校時代の友人たちなのに、久しぶりに再会するとおしゃべりが止まらなくなる"あの感じ"がそのまま描かれていて、懐かしく不思議な気持ちになりました。ただ10代の多感な時間を共有したというだけで、どうしてこんなにも簡単に絆が生まれるのでしょう?

 そんな女子の友情を、コメディー要素もあり、感動もありと、しっかりと魅せてくれる作品です。見終わったあとには、かつての自分や友人を思い出し、楽しかったことだけでなく悲しかったことや腹が立ったことまで、さまざまな記憶が蘇ってくることと思います(藤村)。

サニー 永遠の仲間たち(字幕版)」をiTunes Storeで見る
(HD版レンタル:500円、SD版レンタル:400円) 

フォーン・ブース
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 1時間半ほぼすべてが電話ボックスで完結する異色のサスペンス。そう説明されると「え? おもしろいの?」と疑問を抱くと思います。私もそうでした。が、心配ありません。

 全米No.1ヒットを記録したというのは確かです。万人受けする雰囲気でもないのにやや不思議ですが、ヒットの理由は観ればわかります。主人公のステューは、調子のいいメディア・コンサルタント。片時もケータイを手放さず、口八丁でテレビや雑誌の仕事を取り付けている。彼は妻の存在を隠して女優志望の若い女性パムと付き合っており、毎日同じ時間に同じ公衆電話から電話をかける。ある日、電話を終えた公衆電話が鳴ったので思わず受話器を取ると、「電話を切ったら殺す」という謎の男の声。そこからがストーリーの始まり。

 この映画のすごいところは「電話くらい切っちゃえばいいじゃない」が決してできない状況への追い込みと、主人公に「この方法を試せば脱出できるんじゃないの?」という生ぬるさがない点。底意地の悪い見方をする人でも簡単には崩せな状況がしっかり作られ、脚本の練り込まれ方が見事です。

 もし自分だったら?と考えると、おそらく彼と同じ行動を取るに違いありません。警官隊に包囲されても電話ボックスから決して出られないだろうし、電話の声の主の指示に従って卑猥な言葉で人を罵ることもするだろう、と。姿の見えない声だけの犯人の指示だけで、どうして? そこは作品を観ていただきたいです。

 劇中の時間と映画の時間が同じように進行する手法も生きています。最後の解決まで、まさに手に汗握る、いや、イヤな汗をかきつつ焦る感じが最高です!(山口) 

フォーンブース Phone Booth (日本語字幕版)」をiTunes Storeで見る
(HD版レンタル:400円、SD版レンタル:300円)

96時間/リベンジ (Taken 2)
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  近年、アクション俳優として密かに存在感を高めている俳優、リーアム・ニーソン。歳を食ってからのほうがアクション作品への出演が増えたという珍しいキャリアの持ち主で、すでに還暦を迎えておられます。リーアム・ニーソンて知らない? 「スター・ウォーズ エピソード1」でクワイ=ガン・ジンを演じた人です。ほら、オビ=ワンの師匠の。って余計わかんないか。まあ見た目は派手じゃないです。でも訳アリ風の渋いオッサンを演じさせるといいい仕事します。本作もしかり。

 前作「96時間」(2008年)の続編ですが、前作を見ていなくてもまったく問題なく楽しめます。ニーソンの役どころは、離婚した妻への未練と、娘への親バカ愛がたっぷりのオッサン。ただし普通のオッサンではなく、凄腕の元CIA工作員という設定。前作では悪の組織に誘拐された娘を奪還する話でしたが、今回はその組織に元妻をさらわれます。さらわれすぎです。ちなみに脚本は、最近は監督業よりも製作や脚本を担当することが多い、金髪ぽっちゃり監督ことリュック・ベッソン。

 元工作員のスキルを駆使して妻を奪い返し、悪の親玉を追い詰めるわけですが、テンポがよくほどよいスリルもあり、前作に劣らぬ良質のアクションエンターテインメントに仕上がっています。前作でやられキャラでしかなかった娘が、本作ではピンチに陥ったダディを救うべく大活躍する点も面白い。リュック・ベッソンの脚本は、設定がトンデモ過ぎて笑えないものも多いのですが、本シリーズはそのあたりのチューニングがよく出来ています。荒唐無稽すぎずリアル過ぎずの塩梅がよろしい。というわけで、スカッとしたアクション作品を楽しみたい人にお勧めです(諸富)。

96時間/リベンジ (Taken 2) [字幕版] 」をiTunesで見る
(HD版レンタル:500円、SD版レンタル:400円)

桃さんのしあわせ
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 いろいろと考えさせられる映画でした。ざっくりとしたストーリーは、主人公(アンディ・ラウ)が生まれる前から60年近く家政婦として働いていた女性を看取るというもの。多くの家庭は家政婦さんはいないと思うので、自分を育ててくれた母親や姉などを思い浮かべることになると思います。雇用主と使用人という関係はもちろん、親子の絆までも超えた愛情に満ちあふれた作品です。

 とにかく働き者の桃さんが、身体が自由に動かせなくなったときの家政婦の仕事と葛藤するシーンにはグっときました。やりたくてもやれないというのが、どれほど苦しいことか。そして、自分を必要のない、役立たずの人間と思い込んでしまう。老人ホームで繰り広げられるさまざまなドラマを、少し客観的に見つめている桃さんの表情がすごく寂しげで、介護って誰のためにやるんだろうと感じました。

 主人公と桃さんの生活が切り替わりながら進行していくのですが、掃除して当たり前、食事を作ってくれて当たり前の空気のような存在の桃さんが居なくなったあとの主人公の喪失感はハンパないでしょうね。食事のときに「うん」「ああ」ぐらいしか返事しない主人公が、桃さんの存在の大きさに気付いたあとの献身的な介護。

 この映画の設定を、夫や妻、上司や部下に置き換えてもいろいろ見えてくるかもしれません。家事をやらせて当たり前、家事をするのが当たり前、仕事を指示して当たり前、仕事の指示を受けて当たり前——など、実はまったく当たり前じゃないのかもしれません。人に何かをやってもらう(任せる)のは、信じて頼るという気持ちが大事です。自分がやりたくないからやらせる、楽したいからやらせるというのは、まったく程度の低い話だなぁと。信頼関係が成り立たなければ、相手のことを考えた仕事なんてできるもんじゃないです。とにかく桃さん役の女優さんの演技がすごくステキでした吉田)。

桃さんのしあわせ(字幕版)」をiTunesで見る
(HD版レンタル:500円、SD版レンタル:400円)

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