週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

ITで東北復興を支援する ビジネスプランコンテスト決勝レポート

2013年03月18日 23時59分更新

ビジネスプランコンテスト決勝レポート

 3月8日、東京 渋谷にて、ITを使った復興支援プランを考えるMobile Creators Summit主催『東北復興ビジネスプランコンテスト』の決勝戦が行なわれた。このコンテストは福島県、宮城県、岩手県の3県で行われた予選会で勝ち抜いた合計9組から、優勝1チームと部門賞3チームを決めるもの。その様子をレポートする。

 

■スマホで生活音を視覚情報にする

ビジネスプランコンテスト決勝レポート

 優勝したのは、岩手県立大学の猿舘朝さん。提案したのは、耳の不自由な方のためのAndroidアプリ『生活に必要な「音」をお知らせ”おんせん”』。

ビジネスプランコンテスト決勝レポート

 これは、Android端末で生活音を認識し、文字情報やランプの点灯、振動などに変換して伝えるシステム。先の震災では、耳の不自由な方に津波警報の音が伝わりにくく、犠牲となったしまった方が出たため、それを解決するためのアプリ。同様のシステムは既存であるものの、Android用アプリにすることで、専用のハードウェアが不要で安価に提供できるという。現在、アプリの実装を進めているとのこと。猿舘朝さんには賞金100万円が贈られた。

 

■SNSに投稿した写真をアルバム化

ビジネスプランコンテスト決勝レポート

 会津大学の古沢宏太さん、岡本拓也さんはスポンサー部門賞の『カラオケの鉄人賞』を受賞。アルバム作成サービス『あなたの物語(日記)自動生成サービスの提案』を発表。

 これはTwitterやFacebook、YouTube、Tumblrに自分で投稿した写真などをひとつのアルバムにまとめて表示するサービス。アルバムの1ページが自動収集で出来上がったら、メールで送信される。ウェブやスマホアプリへの展開を検討しているとのこと。

 

■ムダな時間を遊びながら減らすアプリ

ビジネスプランコンテスト決勝レポート

 宮城大学の濱野友也さん、和田修弥さん、横山広武さん、遠藤梨奈さんはスポンサー部門賞の『パソナテック賞』を受賞。ムダな時間を少なくするアプリ『脱!もっタイム』を発表した。勉強などのやる気が出ずムダな時間を作ってしまうのを減らす支援アプリ。勉強などスケジュールを登録しておき、そのスケジュール通りに行動できると、オリジナルキャラ『もったん』がアプリ内で1匹増える。この『もったん』は励ましの言葉を表示してくれるため、使っているユーザーは励みになる。現在公開に向けてアプリを制作中とのこと。

 

■家族の絆を深めるサービス

ビジネスプランコンテスト決勝レポート

 会津大学の谷川知子さんはスポンサー部門賞の『Kii賞』を受賞。発表したのは『こころ温まるアプリ HOT-COCOA』。家族の状態を一覧で見られ、メッセージや無料通話ができるようにするもの。地震が起きたときに家族の安否確認に役立つという。特定日数間ログインしないと、メールでその旨を知らせたり、定型文を用意してキーボード入力が苦手な家族でも使いこなせるようにするという。また、チャットルームで複数人数の会話も可能。家族の絆をITで深めるという発想は、震災の経験を生かしたものと言える。

 

■東北復興に求められるのはアイデアを持ったベンチャーの登場

ビジネスプランコンテスト決勝レポート

 日本マイクロソフト代表執行役社長の樋口泰行氏による、『東北から世界へ21世紀のIT技術者へのと期待』というテーマの基調講演が行なわれた。樋口氏によると、日本はまだまだベンチャー企業の設立数が少ないという。アイデアを持ったベンチャー企業が東北に登場してこそ、東北がビジネス面でより元気になっていくだろうと語った。

ビジネスプランコンテスト決勝レポート

 また、コンテストの参加者に大学生が多いためか、樋口氏は自身の体験を元に、IT業界を支えるビジネスマンの在り方について語った。それによると、”良い製品”だけを作る事に没頭していたのでは、よりよいビジネスマンは生まれない。技術やノウハウをベースとして顧客とのコミュニケーション能力やスタッフに対するマネジメント能力を付けてこそ、自分の考えたアイデアがビジネスとして成立でき、よりスキルの高いビジネスマンになれるとのこと。

 今はまだ小さなアイデアかも知れないが、いずれここから東北を明日を担うビジネスが育っていって欲しいところだ。

●関連サイト
Mobile Creators Summit 公式サイト

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう