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グローバル版らくらくスマホで日本から世界に挑む富士通:MWC2013

2013年03月01日 21時00分更新

 MWCに出展した日本メーカーのなかで、韓国や台湾メーカー並みの巨大ブースだったのが富士通だ。そのほとんどのスペースで、らくらくスマートフォン「F-12D」のグローバル版『STYLISTIC S01』を展示していた。

富士通 MWC 001
↑端末展示スペースをこれほど用意している日本メーカーは富士通だけです。
富士通 MWC 002
↑基本スペックは日本版とほぼ同じ。押したような感覚でタッチ操作をするディスプレーも同じく採用。
富士通 MWC 003
↑ドコモ版と違いPlayStoreが利用できます。

 STYLISTIC S01はフランスで6月に発売予定。価格は未定とのことです。

『STYLISTIC S01』

<スペック>
OS Android4.0
CPU MSM8255(1.4GHz)
メモリー 1GB
内蔵ストレージ 4GB
ディスプレー 4インチ(480×800ドット)
カメラ 810万画素(インカメラ 30万画素)
バッテリー 1800mAh
本体サイズ 64(W)×10.9(D)×130(H)mm


 昨年までのブースとはガラッと変わった印象の富士通。そこで、今回の出展と海外戦略について、ビキタスビジネス戦略本部長代理 商品企画・プロモーション担当の松村孝宏氏にお話を聞いてみました。

富士通 MWC 005
↑昨年までとは展示スタイルを変えており、「開場するまで人が来るんだろうかと本気で心配してました」と語る富士通の松村氏。

今回の出展はかなり力が入ってますね
松村氏 昨年までは富士通の持っている技術ですとか、日本で展開していたモデルをメインに展示していました。今年は『STYLISTIC S01』という、仏のオレンジから発売するモデルを展示できたことが大きいです。オレンジは老舗キャリアでビッグブランドですから、「オレンジが出す端末はどれだ」と、開催中はたくさんのかたがブースにいらっしゃいました。

ほかのキャリアからの引き合いもありますか?
松村氏 はい、数十ヵ国のキャリアから反応がありました。やはりオレンジのブランド力は強いなと。

数あるラインアップの中で「らくらくスマホ」を選んだ理由は?
松村氏 海外キャリアに話を聞くと、日本と同じくシニア層向けの市場が確実にあると。しかしどうにもうまくいかないというのが現状のようです。実際オレンジも何度かシニア向け端末を提供しているそうですが、成功には至っていないとのことです。
 そこでシニア向けとして国内実績のある、らくらくスマホでチャレンジしてみようということになりました。

価格や目標販売台数などは?
松村氏 価格などについてはオレンジと交渉中です。販売形式によって価格も変わってきますし、地域によってシニアユーザーの数や購買力も違う。そういった点を調査している段階ですね。富士通としてはケータイの海外展開にはノウハウがない状態なので、ひとつづつ手探りで学んでいる状態です。
 ただ料金プランに関してはPlayStoreも利用できるので、日本のように特別なプランではなく、オレンジがすでに用意しているプランでの契約になると思います。

PlayStoreの扱いが日本とは違うのはキャリアの関係でしょうか?
松村氏 そうですね。日本ではドコモの方針でPlayStoreをはずしています。この辺りの仕様は、それぞれのキャリアにあわせて行くことになると思います。

タッチパネルの反応はいかがですか?
松村氏 押し込む感覚でタッチすることを知らないで触ると戸惑われますが、ちゃんと理由を説明したうえで、操作してもらうと納得してくれますね。それに日本モデルからのフィードバックも反映させているので、操作性はさらに向上しています。

らくらくホンのような製品はTizenなど別のOSのほうが作りやすいのでは?
松村氏 そうですね。富士通はTizenアソシエーションの理事会メンバーですし、Tizenでの市場が開けてきたときに乗り遅れないように研究開発を続けて行きます。ただ私どもは、どこかのプラットフォームに固執しているわけではありません。国内でWindowsPhoneを作っているのもうちだけです。私個人的にもWindowsPhoneってすごい良いOSだと思っていまして、企業向けには絶対ニーズがあります。富士通としても続けていきたいでが……どうにかなりませんかね(笑)。

国内モデルとしてはやはりTegraシリーズでのアンドロイド端末がメインですか?
松村氏 これもOSと同じで、どこかのCPUにこだわっているわけでないです。ただ国内モデルに関しては、ハイエンドなものにチャレンジするというこだわりがあります。そのために、いちはやくクアッドコアをリリースするなど、同じく常にハイエンドCPUというものにチャレンジしていたTegraシリーズを採用してきたわけです。
 ただユーザからの厳しいフィードバックも確かにいただいています。これはNVIDIA側にも伝わっているはずですので、今後に期待していただきたいです。

ありがとうございました。


 ハイエンドやミドルクラスで海外に進出している日本メーカーは、現状ではかなり厳しい状況。そこにシニア向けという個性のある端末でチャレンジする富士通。らくらくスマホの結果で今後の日本メーカーの目指す方向が見えてきそうです。

●関連サイト
富士通 FMWORLD

(2013年3月1日22時追記)本文中、Tizenの表記が間違っていました。お詫びして訂正いたします。

MWC2013まとめ

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