週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

変わりゆく“歌ってみた”、変わらないばーちゃんの味【ニコ動今昔物語】

2013年02月21日 20時00分更新

 週刊アスキーの連載ページ『ネット早耳かわら版』に掲載している“ニコニコ動画 今昔物語”クロス連載。週刊アスキー3/5号(2月19日発売)では、“歌ってみた”カテゴリーで主に替え歌を投稿している“recog”(レコグ)さんをインタビューしております。今週号は、“歌ってみた”の変化について。

ニコ動今昔物語歌い手編

 最初は趣味でつくった歌をネットに投稿していたり、同人の集まりで披露していたネットの歌ジャンル“歌ってみた”は、2006年12月、ニコニコ動画の登場で大きく変わります。みんなを笑わせたり、すごいと思わせるユニークな作品を投稿すれば、多くの人が聴いてコメントもくれるという評判が伝わると、プロじゃない一般の人を評する、いわゆる“野生の才能”が集まってきて、替え歌や声まねなどが数多く投稿されるようになりました。

 ニコ動で人気の楽曲をメドレーにした“組曲”、『初音ミク』などのボーカロイド曲が流行するようになると、今度はおもしろさだけでなく、いかにそれを歌いこなすかという流れも生まれます。多くの歌い手は顔を隠していたので、ユーザーが声やキャラから想像してイラスト化する動きも定着しました。

 人気の歌い手が出てきて、ユーザー主催の同人ライブをやったり、同人イベントに出展したり。2009年から、ニコ動の新機能発表会“ニコニコ大会議”で前面に歌い手が出るようになったこともあり、歌ってみたのファン層が厚くなっていきます。音楽業界もそんな熱量を見逃さず、“歌ってみた”からメジャーデビューするという話もめずらしくなくなりました。

ニコ動今昔物語歌い手編

↑歌い手が大きく注目されるひとつのきっかけとなったのが、2009年2月の“ニコニコ大会議2009-2010 ニコニコ動画(9)全国ツアーファイナル2Days in 東京”。このあとにニコニコ大会議はサービス発表部以外のステージものが有料化し、ライブとして組みやすい歌ものが主流になっていく。

 そんな状況が大きく変わった“歌ってみた”について、recogさんは「結局、路上でやってるかネットでやっているかの違いだけですから。小中学生が将来なりたいものに“ニコ動の歌い手”と挙げた話も聞きますが、ニコ動からデビューした人が、先人になって引っ張っていくというのを見て書いたんじゃないでしょうか」と冷静に見ている。

 さらに「プロを目指すとか、自由にやるとか、人それぞれの価値観があるわけですよ。『あこがれのあのPさんに声をかけてもらいたいから歌う』って人もいるはずです。『歌わせてもらいました!』って連絡すれば、そこからコラボしたいと思ってもらえるかもしれない。きっかけはなんであれ、それぞれの人がアップする動画に、それぞれの価値観があるんです。昔のただ観てもらえればいいという時代からはベクトルが変わった」と続ける。

 そんなrecogさんは、初期からずっと替え歌で勝負し、今でも動画をひんぱんに投稿して総合ランキングに入るのに、変わらないというめずらしいポジションだ。「変わらぬばーちゃんの味を僕は守っていく。頭にタオルとか巻いて『べらんめえ、こんな動画なんか上げられるか!』みたいなね」と強く語っていたのが、印象的だった。

■関連サイト
週刊アスキーチャンネル(ニコニコチャンネル)

■週刊アスキー 連載ページ『ネット早耳かわら版』
 リニューアルしてパワーアップしたネット情報満載の連載ページ。SNSを使いこなすテクニックやウェブアプリやサービスの紹介、ソーシャルメディアの話題など、盛りだくさんの4ページでお届けしている。

■著者紹介-広田稔
 ウェブサイト“ASCII.jp”でMacやネットサービスなどのネタを担当。初期からニコニコ動画を取材し、2007年には笛のお兄さんの「Fooさん」を取材(関連サイト)していたりして、有り体にいえば“ニコ厨”(ニコ動好きな人)、好きが高じて『ニコニコ動画めもりある ~ニコニコ大会議編~』という書籍を執筆。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう