2013年01月24日20時00分

“ニコ生は危険”というイメージはなぜ生まれたのか【ニコ動今昔物語】

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 週刊アスキーの連載ページ『ネット早耳かわら版』に掲載している“ニコニコ動画 今昔物語”クロス連載。週刊アスキー2/5号(1月22日発売)ではニコニコ生放送のユーザー配信者(生主)で、ドワンゴの公式番組やテレビでも司会者として活躍する“百花 繚乱”さんインタビューの最終回を掲載しています。

ニコ動今昔物語ニコ生編

 テーマは、ニコニコ生放送の炎上について。ある程度ネットに詳しい人の中には、“ユーザー生放送イコール炎上”するような人がそろってるというイメージを持ってるかたもいるかもしれません。ニコ生で起こったセンセーショナルな事件は読者受けがいいため、ブログ系ニュースサイトでよく取り上げられてネットの話題になりやすいですが、大方の生主はごくごく普通だったりします。

 なぜニュースに取り上げられるような過激なことをしてしまうようになってしまったのか。その原因について百花 繚乱さんは、ニコ生の放送枠が増えたからと分析していました。ユーザー生放送の開始当初は平和だったという話を受けて、百花 繚乱さんはこう答えます。

「今はなぜ平和じゃないのかというと、放送枠の数が5500近くまで増えて、視聴者が分散してしまったから。そうなると思い立ってニコ生を始めても、実際に見に来てくれる人は2、3人しかいない。来場者が少ないとモチベーションも続かないし、つまらない」

 放送枠とは、同時配信数のこと。ユーザー生放送が始まった'08年12月の時点では50枠だったものが、ユーザーから「月額料金を払っているのに生放送ができない」(ユーザー生放送が配信できるのは有料会員のみ)という苦情が増えたため、サーバーを増強して枠を増やし、今では5500枠近くになったという訳です。百花 繚乱さんはこう続けます。

「人を呼んで自分がおもしろがるために、他人と違うことをしなければいけない。そこで特技を披露するならまだしも、犯罪だったり、モラルに反するような超えてはいけないハードルを超えてしまう。そういう人たちが増えてしまったゆえ、ニコ生は危険という認識が広まって、負のスパイラルに陥っていく。そういう負にばかり注目が集まり、『じゃあ俺も』、『自分も』とどんどん悪い方にいってしまっている。昔のニコ生は、何がおこるかわからない自由空間だったのがよかったけど、自由には責任が伴っている。その自由がどんどん違う方向にはき違えられてしまって、“生主イコール危険”というイメージができてしまった」

ニコ動今昔物語ニコ生編

↑ニコ生の同時配信数はトップページで確認できます。原稿執筆時の1月23日23時現在では5903番組。あれ、5500より増えてる!?

 配信側だけでなく、見る側も変わってきています。いわゆる“自治厨”です。

「ほかの生主の名前を出したらダメとか、観る側にもそういう謎のルールを主張する人が出てきて、生主を縛ってしまっている。例えば『外配信をすると通報される』とか、本当に細かいルールができ始めて生放送主ができることが狭まってきた」

 世間に受け入れられて人が増えてしまったことで初期から変わっていくというのは、ニコ生だけでなく世の中でも割とよくある話。しかし、最初のニコ生のよさ──素朴な一体感──を知ってる百花 繚乱さんは、生主にも観る側にもその同じ体験をしてほしいと願っています。

 ひとつの解決方法として百花 繚乱さんが提案していたのは、放送枠を減らすこと。

「1日100枠限定祭りとかやったら、すごく盛り上がると思うんです。今は生主が増えてしまいすぎて、せっかくおもしろいのに日の目を見ない人も大勢いる。枠が多いというのは、そのチャンスがもらえないのに等しい」

 一応、niconico運営も、生主の祭典『ナマケット』を定期的に開催していますが、百花 繚乱さんは「無意味だと思う」とバッサリ。

「そもそも埋もれた生主に注目して、みんなで一緒に盛り上がろうというお祭りとして始めたのに、その裏でユーザー生放送が普通にできてしまうのはおかしい。ニコ生ができた当時、まだシステムが不安定でバグのせいか放送枠が4枠しかなくなる“事故”があった。『あれ、俺は生放送できないのにやってる人がいる。観に行ってみよう』という流れで、おもしろさが伝わって伸びた人もいる。だからたまには枠を減らすイベントをやってみては?」

ニコ動今昔物語ニコ生編

↑ナマケットは、ナンバーワンの王座をかけて生主が競うというイベント。これでチャンスをつかみ、niconicoで知られるようになった才能も多い。

 こうした提案は、二コ生の司会者として成功した今もユーザー生放送を続けていて、niconico運営ともつながりの深い百花 繚乱さんだからこそ出てくるもののはず。筆者的には平和で和気あいあいとしたニコ生の方が好みなんですが、一方で世の中では犯罪すれすれだったり、モラルに反した行動を見て興奮したかったり、「これはひどい」と叩きたい人もいたりして本当に難しいところです。人間の煩悩まであぶり出して世に問うようなユーザー生放送がどんな展開を見せるのか、やっぱり目が離せないですぞ!

■関連サイト
週刊アスキーチャンネル(ニコニコチャンネル)

■週刊アスキー 連載ページ『ネット早耳かわら版』
 リニューアルしてパワーアップしたネット情報満載の連載ページ。SNSを使いこなすテクニックやウェブアプリやサービスの紹介、ソーシャルメディアの話題など、盛りだくさんの4ページでお届けしている。

■著者紹介-広田稔
 ウェブサイト“ASCII.jp”でMacやネットサービスなどのネタを担当。初期からニコニコ動画を取材し、2007年には笛のお兄さんの「Fooさん」を取材(関連サイト)していたりして、有り体にいえば“ニコ厨”(ニコ動好きな人)、好きが高じて『ニコニコ動画めもりある ~ニコニコ大会議編~』という書籍を執筆。

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