週刊アスキー

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週アス付録ウルトラマウス開発秘話

2012年12月15日 14時00分更新

 12月10日に発売した15周年特別記念号に続き、12月17日(月)に発売します1月29日増刊号には、特別付録『ゆびきた~っすウルトラマウス』がもれなく付いてきます! 仕込みを終え、放心状態の仕掛け人アックン・オッペンハイマー氏を直撃しました。

Ubiquitous UltraMouse
UltraMouse
↑12月17日発売の週刊アスキーは、この指マウスがもれなくついて“590円”でございます。“15周年特別付録”ですからね。おそらく次は20周年までできません。
ACCN Oppenheimer
UltraMouse
↑地下の倉庫の隣の部屋でソワソワしている副変ACCNさんに気持ちを落ち着けてもらおうと話しかけたら、この長さに……申し訳ございません。

──先週号、今週号ともAmazonの予約からたいへん好調だそうで。

 いえいえ、本当にありがとうございます。15周年記念の2誌は、かなりしつこく告知させていただきましたので、半ば洗脳され、ついポチってしまった方も多いのではないでしょうか。

──今回も入手困難となりそうでしょうか?

 おかげさまで毎回、付録号はスグ売り切れてしまうので、今回は十分な数をご用意しています。17日当日でしたら、まず大丈夫と思いますが、不安な方はAmazonでご予約(関連サイト:Amazon)いただけますと。もし、当日コンビニになかったら書店へ足を運んでみていただけますと、出会える確率が高まるかと思います。ご迷惑おかけして申し訳ございませんが、我々としましてもここまで豪華な付録はなかなか展開できませんので、この機会をお見逃しなくゲットいただけますと幸いです。

──今回、マウスということですが、これは本の付録としては初ですか?

 はい、旧アスキーがマウスの“ボール”というのを一度やっているそうですが、私はハタチなので何のことやら……え、マウスってボールで動いていたんですか? そうなんですか……。おそらく、マウスそのものが付録として書店に並ぶのは初だと思いますよ、保証はしませんが。

──なぜマウスにしたのですか?

 これまで週アスの付録ってスマホ向けか、スマホとPCの中間にあるモノが多くて、それはそれで時代を反映していたわけですが、今回はパソコン雑誌の15周年記念付録ですからね。やはりPCで使うモノにしたいと幹部合宿で殴り合いながら決まったんですよ。私は見ていただけですが。

──ずいぶん変わった形のマウスですね。

 実は当初、フツーのマウスに”週刊アスキー15th”ってプリントしようとしたんです。コストも抑えられますし。そしたら、「フツーの付けてどないすんねん!」って編集長にどやされ、やっぱラクはできねぇな、チッと、型からつくることになりました。おかげでイトーくんがせっせと稼いでくれた広告費が……いえ、なんでもございません。

タブレット時代の指マウス
UltraMouse
↑人差し指または中指にはめて、LEDを机などに接地させて使います。LEDを人のおでこに当ててロックオンとかは絶対やらないでくださいね。まさか、そんな幼稚なことはしないとは思いますが、念のため。

──指にはめて使うということですが、使いやすいのですか?

 特殊な形状なので最初は戸惑うかもしれませんが、慣れれば問題ございません。ポインターの速度など絶妙なチューニングを施してあり、机の狭いスペースや膝の上などで活躍してくれるでしょう。

膝の上などでスイスイ使える
UltraMouse
↑膝っていうか、ももですな。まぁ、どこでもいいんです、ちょっとしたスペースがあれば。タブレットを片手に、もう一方の手でスイスイやってたら、かなりモテると思いますよ(ただしイケメンに限る)。

──開発に苦労された点は?

 たくさんありますが、いいですか?

──ページが長くなるので、手短かにお願いします。

 いいじゃないですか、それこそウルトラマウスのホイールの出番!ってことで。

──そういうのいいんで、早く。

 着手したころはまだWindows8発売前でしたが、出るのはローンチ後ですから、Android含めタブレット全盛になっているだろうと。そこで、そういった端末でも使えるマウスにすべく、指にはめて使うタイプを採用した……ということにしておいてください。

──タッチパネルなのにわざわざマウスを使うでしょうか?

 Windows8のデスクトップモードなどは、やはりマウスで操作したほうが使いやすいです。スクロール操作なども、たとえばこのインタビューのように無駄にダラダラ長い記事を読むのに指でスクロールするより、マウスのホイールでスクロールさせたほうが、ホラ、全然ラクでしょ? やってみてください、なう。

──ホントそういうのいいんで、ほかには?

 デザインですね。とにかくクールでイカス……あ、なんか死語ばっかですが、ナウいヤツに仕立てたくて、それじゃあジョナサン・アイブに頼もう! ということになったのですが、いつも留守電なってて、時間も迫ってたのでウチのADサイバー佐藤氏にソレっぽいのを考えてもらいました。

魔法のような雑誌付録
UltraMouse
↑完全オリジナルです。いえ、ホント……。

──カラーはどのようにして決められたのですか?

 デザインと一緒に数パターン挙げてもらい、いつも通り部内アンケートですが、いつも通り最終的には赤好きんちゃん編集長が独断で決めましたよ。黒字に赤だと色が沈んでしまうので、何回もサンプルを出してもらい、コントラストを上げていきました。15周年ロゴは早い段階で決まっていたのですが、「“欲しい”ってイイよね!」の文字が小さすぎてつぶれてしまうので、コレを除いた付録限定バージョンの15thロゴになっているんですよ。どーでもいいでしょう。

デザインサンプル(一部)
UltraMouse
↑カラーの組み合わせ、ロゴのサイズ、位置など、実物のサンプルをつくってから微調整を重ねていきました。

──ホントどーでもいいですね。ということは、アンケート結果は違う色だった?

 いいえ、なんとなく過去の経験からみんな「どーせ赤だろ」と思ったのか、あるいは本当に黒地に赤がいいと思ったのか、アンケートでもトップでした。まぁ編集長はアンケート結果は見ていないので偶然です。じゃ、なんのためのアンケートかというツッコミはせんください。ちなみに私はロゴとリングをオレンジにしたかってん、こっそり何個かつくってしまいました。ミンナタチニハ ナイショダヨ。

吟味に吟味を重ねたリング
UltraMouse
↑週アスを読んでくれそうな日本人の平均的な指のサイズから形状、直径、硬さを算出。女性には少々大きめかもしれませんが、フツーのマウスのように手で覆うようにして使うこともできますので。

──ソレ、どうするんですか?

 どうしましょ。そうそ、3つだけですが、表紙のしょこたん先生にサインしてもらったんです。それは、今週号のどこかで読者プレゼントしております。

しょこたんバージョン?
UltraMouse
↑特色バージョンに、さらに中川翔子さんのサインが入った死ぬほどレアなウルトラマウスが3つ存在するんです。これは、今週号の読プレとなっております。なお、ポラは付きませんゴメンナサイ。こちらのサイン入りポラはですね、さらに後日、何らかの方法でもたらされる予定でして……まぁ、週アスを読み続けていただけましたらと、スミマセン出し惜しみして。

──編集長にバレちゃうじゃないですか。で、残りは?

 ん、どうしましょかね……。まぁ、そんなたくさんはないんですが。そのうちなんかしますよ。

──デザインとカラーが決まったあとは、すんなりと?

 いいえ、ギリギリまで試行錯誤の嵐でした。クセになるようなクリック感を出したくてね。“カチカチッ”ではなく“カチカチッ”って文字で書くと一緒なんだけど、微妙に違うの! ってゆーニュアンスを工場に伝えるのに、もう埒が明かないので遙か遠方、異国の地にある製造工場を何度も往復しました。

──ほかには?

 質感ですね。マットな高級感を出したくて、素材の色にすればコストを下げられたのですが、あえてそれはやらなかった。あと、リングの色はロゴとそろえたのですが、リングは素材、ロゴは塗装なのでコレがまたなかなか合わない。リングといえばその硬さもギリギリまで悩みましたね。硬いと痛い、柔らかいと頼りない……まぁナニと一緒ですな。リング自体のサイズと合わせ、ホント量産直前までウーンウーン唸ってました。

試行錯誤の証
UltraMouse
↑右手前が最終的に採用したデザインです。地下の倉庫には、この倍以上試作サンプルが眠っているという……。

──意外と優柔不断なんですね。

 それを言わないで……。でもスッと決まったこともありますよ。

──聞いてあげましょう。

 ケーブルの材質と長さです。絡まみにくい編み込み式のモノ、長さはモバイルでもジャマにならない約1メートル、カラーは本体色に合い、かつ汚れの目立たない黒……と、ね。

上質なケーブル
UltraMouse
↑本体の着色同様、コスト度外視でクオリティーを追求。大丈夫なのか? そんなワケないしょう、ヤリ逃げReadyです。

──悩みようがなかったと。

 ケーブルだけはね。リング以上に悩ましかったのがシールですわ。

──シールとは?

 底部の、机との設置面に貼られてるヤツです。潤滑シールとでもいいましょうか、マウスにはたいていあるじゃないですか。

──ああ、はいはい。それの何が?

 形状、厚みとか、ホントすべてですよ。全体に貼ってみたり3点にしてみたり、考え得るあらゆる形状を試しました。そして、最も滑りのいい、使いやすくてガタつきのない形状を編み出したのです。これこそ本当に試行錯誤の連続だった……。

男ハタチ、シールに泣く
UltraMouse
↑写真は一部ですが、潤滑シールの形状、材質、厚みなど切磋琢磨の末に決めたモノであります。ACCNの机には溝が、ズボンはすり減って穴が空いているのを目撃した人もいるとかいないとか……いや、いない。

──シールにもドラマがあるのですね。

 ええ、このシールには最後まで悩まされることに。形状が決まったあと、いよいよ量産が始まるわけですが、工場が気を利かせて試作段階よりも“強いのり”でこのシールを貼ってくれたのです。そしたら、それが仇になってしまいまして。化学反応でシールが反り返って一部ロットで剥がれた状態で梱包されてしまったのです。結構な数を梱包からやり直すハメになりましてね。マジで冷や汗モノでしたよ。

──モノづくりって、たいへんですね。

 ホントたいへんなことですよ。マウスひとつでここまで工数あるわけですからね。PCとかスマホとか伝統工芸品とかつくってらっしゃる方には、本当に頭が上がりませんわぁ。

──ほかに言い残したことは?

 アキバの15周年イベントでこの指マウスを初披露したのですが、結構みなさん使い方わからないっていうので、まぁ社内でも初めて試す人は「?」って感じでしたけど、ちょっと心配になってきてて……。こう見えて結構気が弱いので、ちょっとでも心配事があると体調もよくない感じになってくるんですよ。当の付録号にはしっかりと使い方を載せよう! って心に誓ったハズなのですが、うっかり忘れててね。うえけん先生の解剖図なんて載せてしまった……まぁコレはコレでスゴイので見てほしいんですけど、結局使い方がわからないんじゃ……イテテテ、お腹が……。

──大丈夫ですか?

 ダメですね。まぁ、マウスなので、そう悩むことはないと思いますが、カーソルの動く方向だけ意識してください。上部(使用時)のケーブルの付け根に矢印が掘ってあるんです。コレ、一個一個私が掘りました。もちろんウソですが。この矢印の方向に動かすと、カーソルが画面向かって上の方向に移動しますので。慣れれば、もちろんこんなん見ないで使えるようになりますよ。

FORWARDの意味は?
UltraMouse
↑矢印の示す方向が上だと覚えていただければ問題ございません。「慣れれば手足のように自在にカーソルを動かすことができるだろう」と、アックン・オッペンハイマーは述べています。

──なんか必死ですね。

 必死ですよ。いつまでも地下の倉庫の隣の部屋に幽閉されているわけにもいきませんからね。

──次も考えられてるんですか?

 考えてますよ窓のない部屋で。考えてるどころか、具体的に動き始めています。これ以上はまだ何も言えませんが、期待して。ボクを信じて。

──ますますうさんくさいですね。

 仕事のことは大丈夫よ。プライベートは期待されると困る。

──本日はお忙しそうではないところ、ありがとうございました。ところで、コレってまた自作自演ですかね?

 そうですね、誰も聞いてくれないので仕方ありません。

 

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