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ノキアのLumia920をニューヨークで購入 日本語化にも挑戦

 11月初旬から欧米での販売がスタートしたノキアのWindows Phone 8端末『Lumia 920』だが、ちょうどこのタイミングでパリから、ロンドン、ニューヨークまでをまわる機会があったため、端末購入までの経緯と現地の携帯事情を軽く紹介していこう。

■Lumia 920を探して欧州の都市を渡り歩く

 当初の話では、最初の週末となる11月2~4日にかけて欧米での販売が開始されるとの話があったが、同時期に滞在していたパリで各ストアをまわっていたところ、それらしい端末の販売は見かけなかった。だが8日の木曜日になり、多くの店舗ではまだパネルのみでモックさえ飾られていない状態で、“Orange”、“SFR”、“Bouygues”といった大手携帯キャリアのストアでは影も形も見られなかった。ただ凱旋門近くの『The Phone House』というケータイ専門店を尋ねたところ、ここではLumia 820とHTC 8Xの販売がスタートしており、「Lumia 920も来週(つまり12日以降の週)には入荷する可能性がある」と話していた。この時点ではパリでLumia 920を販売している店舗はなかったようだ。販売がスタートした場合の価格は契約なしのSIMロックフリー版で649ユーロ、HTC 8Xが599ユーロとなっている。

Lumia920
Lumia920

 パリの凱旋門近くにあるThe Phone House。店内にはLumia 920の展示(モック)はあるが、実際の販売開始は8日時点で来週以降だと説明された。

 この後、9日にロンドンに移動したところ、Lumia 920やWindows Phone 8に関する展示を比較的多く見かけるようになった。例えば携帯キャリアの“O2”と“3”では、HTC 8Xの取り扱いを開始していた。Lumia 920は“EE”(Everything Everywhere:旧T-Mobile UKとOrange UKのジョイントベンチャー)の店舗で見かけたが、こちらは年契約ユーザーのみの販売に限定され、日本からの一般旅行者が買えるようなものではないようだ。そのためポンド通貨建ての本体価格表示もない。Lumia 920はプレミア商品扱いになっているようで、英国で著名なケータイ専門店である『Carphone Warehouse』でも取り扱っていなかった。『Phones4U』では取り扱っているものの、金曜日(9日)の発売開始時点ですでに売り切れており、対象もEEを対象にした年契約ユーザーに限定されているという。そのため例によって本体価格表示がない。以上から、筆者がロンドンに滞在した11月9~12日の期間で契約なしのSIMロックフリーLumia 920を購入する術はなく、すでに売り切れ店舗が多いが、販売されている端末もEEとの年契約が前提となっていた。

Lumia920
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 ロンドンではEEの店舗でLumia 920を取り扱っており、そのうちのいくつかでは在庫が確認できた。だが年契約ユーザーのみが対象で、単体での販売はないという。英国ではこのほか、O2と3の店舗でWindows Phone 8端末(HTC 8X)を扱っているようだ。

 このほか、Phones4UではサムスンのATIV SというWindows Phone 8端末を扱っていたが、この端末はこの店舗でしか見られなかった。なお筆者がまわったストラトフォードのWestfieldというショッピングモールでは、このPhones4Uのほか、サムスンのメーカーストアが設置されていたが、ここでATIV Sの取り扱いは行っておらず、スマートフォンはAndroid端末のみと説明された。ある意味でLumia 920よりレア度の高い端末かもしれない。

Lumia920
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 現在英国で、店舗でのLumia 920の単体購入が可能なのはPhones4Uのみ。ただし発売日にすぐに売り切れてしまったという。同店舗ではこのほかWindows Phone 8端末として、サムスンのATIV Sを確認できた。

■最後はニューヨークでLumia 920を購入

 欧州での取材旅行を終えて日本への帰路についた筆者だが、チケットの都合上いったん米国を経由する必要があり、次のフライトへの乗り換えのためにニューヨークに昼から夕方まで3時間半ほど滞在する時間があった。欧州で買えないことを前提に、この短時間でLumia 920を買う方法をシミュレーションしてみた。飛行機の便が遅れたり、行列等で入国手続きに手間取ると滞在時間が減るうえ、ジョン・F・ケネディ空港(JFK)は搭乗受付時間が非常に厳しく、最低でも出発の1時間前には空港にいないと予約をキャンセルされてしまう。実質的には2時間ちょっとくらいしか余裕がないわけだが、JFKからマンハッタンへは片道1時間以上かかるため、空港の近場で購入可能な店舗を探すことにした。米国ではAT&TがLumia 920の独占販売を行っており、基本的にしばらくはAT&T経由で購入するしかない。2年契約縛りが条件になるものの、その代わり本体価格が99ドルと、パリでの649ドルと比較すれば破格で、米国で他のハイエンドスマートフォンが2年契約で200ドル以上で販売されていることを考えれば、かなりの販売推奨金がのせられていることがわかる。事前にGoogleマップで、空港から地下鉄で20~30分程度のForest Hillsという駅の近くにあるAT&T Storeに狙いを定め、そこでの購入をトライしてみた。

Lumia920
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 こんどはニューヨークへ。飛行機の3時間半の乗り継ぎ時間を利用して空港に比較的近いAT&T Storeを尋ねると。本体色が黒のみだが在庫が残っているという。

 狙いは的中で、比較的小さな店舗ながら「黒だけは在庫がある」という。聞いたところ、売り出し開始はロンドンと同じ9日の金曜日で、この日にほとんどの端末が出てしまい、ニューヨークにたどり着いた13日時点で残りわずかの状態だったという。まだ売り出し開始直後ということもあり、扱っているLumia 920のカラーバリエーションは黒のみで、他の色はまだ用意できていないとのこと。この唯一の端末を選んで購入し、現在iPhone 4で利用している米国のAT&T回線をそのままLumia 920に引き継ぐことにした。iPhone 4ではテザリングプランを契約しており、初期状態で4GBのデータ通信容量が使用可能になっている。Lumia 920はLTEに対応しており、このプランをそのまま引き継ぐことで最大4GBのデータ容量をLTEとテザリングで利用可能になる。初期設定を含む開通手続きは携帯ストアの店員がほとんど行ってくれており、同時に購入したSpeck製の専用ケースに挿入して手渡ししてくれるところまで進めてくれた。今回は本体が99ドルに、ケースが38ドル、それに税金の12ドルを加えて約150ドル程度の支払いだった。

Lumia920

 念願のLumia 920本体を99ドルで購入。ほかの所での価格を考えれば、この99ドルという値段は契約縛りつきながらかなりの安値だ。

Lumia920
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  本体の箱はAT&T仕様。ひっくり返すとLumia 920の写真がデザインされている。中身も非常にシンプルで、入っていた本体を取り出すと、中にはmicroSIMを挿入したベゼルを引き出すためのピンが入っており、さらに内蓋を外すと電源ケーブルが入っている。イヤホンはついていない。

■日本語の入出力は可能だが、完全な日本語化は不可能

 AT&T版Lumia 920ではヘッドホンなどは付属せず、販売時に店員に「オプション品2個を買うとヘッドホンがタダでついてくる」と勧められたが、安価なオプションを2つ購入するだけで70ドル近くいってしまうため、割りが悪いと断っている。また本体のタッチパネル部には「TXTNG & DRIVNG … IT CAN WAIT」のシートが貼ってあり、「運転中のテキスト(メール)は止めましょう」と米国らしいメッセージとなっている。

Lumia920
↑「テキスト(メール)を打ちながらのドライブ……ちょっと待て」との警告ラベル。
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↑起動直後の待ち受け画面。画面上部のサインでLTE接続されていることが確認。
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↑本体背面。Pure ViewのLEDフラッシュカメラとCarl Zeissのロゴが確認できる。
Lumia920
↑本体底面。マイクロUSB端子、マイク、スピーカーがある。
Lumia920
↑本体右側面。左からカメラ撮影ボタン、電源ボタン、ボリュームボタンとなっている。
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↑本体上面。イヤフォン端子が中央に配置されている。

 本体の日本語化を実施してみようとしたところ、システム設定の言語項目には日本語がなく、システムメッセージそのものを日本語化することはできないようだ。ただしWebやメール、SNSのアップデートなど、日本語の文書自体は表示できる。キーボードの項目を確認してみたところ、2種類の日本語キーボードが確認できたので、これを選択すると日本語入力が可能になった。ただし完全な日本語化はできないようで、メッセージの一部はいわゆる“中華フォント”で表示されたりと、不完全な日本語化を行ったAndroidスマホのようになっている。また前述のようにiPhone 4の回線を引き継いでテザリングの利用が可能になっているため、Lumia 920でもそのままテザリング(インターネット共有)が可能になっている。しかもLumia 920ではLTEが使えるため、非常に快適だ。AT&TのLTEはまだ展開開始1年で、都市部や空港などにエリアが限定されるが、実測で下りが15Mbps前後、上りが1.2Mbps程度は出ており、米国の携帯回線にしてはかなり高速な部類に入っている。

Lumia920

 日本語化に挑戦。システム設定そのものは日本語化できないが、Webページやメール、SNSのアップデートなどで日本語表示は可能。

Lumia920
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 キーボードの追加を選ぶと、日本語では2種類のキーボードが選択可能になっている。2つにチェックを入れてシステムアップデートをかけると、再起動後に日本語キーボードが選択できるようになる。これで日本語入力が可能だ。

Lumia920

 インターネット共有、つまりテザリングも可能だ。筆者の場合iPhone 4時代の設定を引き継いでいるため、月間4GBのデータ容量をテザリングで利用可能。

 最後に本体リセットの簡単なTIPSを紹介しておこう。使用開始して2~3時間ほど経過したところ、急にLumia 920がフリーズして一切の操作を受け付けず画面を表示したまま停止してしまった。調べたところ、カメラ+電源+ボリューム小の3つのボタンを同時に長押ししていると、本体がわずかにバイブレーションして強制リセットがかかるようだ。Lumia 920では本体カバーを開けてバッテリを取り出すといったことができないため、もしものために覚えておきたい。

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