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あこがれのフルサイズコンパクト ソニー『サイバーショットRX1』実写レビュー

2012年11月12日 10時00分更新

RX1

 ついに11月16日(金曜日)、ソニーのモンスターコンパクトカメラ『RX1』が発売なので、製品版を借りてさわってみましたよええ。もちろん買う気マンマンですが、25万円というハードルの高さ(というか棒高跳びクラス)は、いまだオサイフの前に立ちはだかりますね。でも予約してしまってます、はい。

RX1

 前回の記事では、発表資料をもとに解説しましたが、その後、仕様の変更がありました。

●オートフォーカスモード
 静止画撮影時にAF-CつまりコンティニュアスAFがなくなりました。理由はさだかではないですが、たぶん正確な合焦を行なうためだと思います。動画撮影時はもちろんAF-Cが効きます。

 それに伴って、カメラの前面にあるAFモードダイヤルのデザインが変わり、「S/C/DMF/MF」の4モードから、「AF/DMF/MF」の3モードになっています。

 当初のカタログをゲットしている人は、レアモノになるので大事に保存しておきましょう。

●シャッター速度
 最高のシャッター速度は当初1/2000秒でしたが、絞り値によって、より高速シャッターが切れるようになりました。F2.0~は1/2000秒のままですが、F4.0からは1/3200秒、F5.6以上に絞ると1/4000秒が使えます。レンズシャッターなので、よくあることですよね。

 前置きが長くなりましたが、実際に手にすると、まず「レンズ重っ」と感じます。さすがは天下のカールツァイス様、ガラスをてんこ盛りに使ってます。本体にストラップをつけて下げると確実に前にオジギをします。

 電源を入れて、シャッターを半押しし、AFを働かせると、ピッと合焦します。一眼レフに比べると一瞬のラグを感じますが、コンパクトならフツーな速度でしょう。そして、シャッターを切ったときの“静けさ”がいい。一眼レフのミラー動作音がないのはもちろん、ミラーレスでもフォーカルプレーンシャッターの動作音がしますが、RX1はレンズシャッターなのであくまでも静かです。昔でいうと、マミヤのRZでガシャコンと6×7判の写真を撮っていたのが、マミヤ7を使ったら静かであっけなくなった感じ(ってレアですかね)。RX1で写真を撮っていると、“レンズシャッター式のレンズ交換デジカメ”があるといいなーと思います。

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↑これが、今回とったりつけたりしてみたオプションです。つまり、すべて別売です。


光学ビューファインダーキット『FDA-V1K』 価格4万9350円

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↑ツァイス様のロゴがキラリと光るビューファインダーでございます。クラシックな感じで使うにはいいですね。もちろん光学性能はすんばらしくて、歪みがありません。35ミリの画角のカメラをもっている人は使い回しがききます。まあ逆もありですが。
 

電子ビューファインダーキット『FDA-EV1MK』 価格4万4100円

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↑はいはい、自分的にはゼッタイいっしょに買うと心に決めているEVFです。NEX-7やα99に内蔵しているのと同じ、XGA(1024×728ドット)=235万ドットという、現行機種では最高の解像度を誇るモノですね。液晶ではなく有機ELパネルを使っています。

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↑アイセンサーを内蔵していて、目を近づけると自動的にカメラ背面の液晶とEVFが切り替わります(カメラのメニュー設定で自動にするか否か選べます)。手動のときはファインダーの横のボタンで切り換えます。反対側には視度調節のレバーが付いてます。
 同じパネルを使っていても光学系によって見え方が変わりますが、α99まではいかず、NEX-7に近いです。アイポイントの許容範囲は少し広くなっていました。(これはまだ製品版ではなかったので“仮”ですが)。

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↑アイキャップが2種類付いていて、ひとつはNEX-7と同型の硬くてコンパクトなタイプ。もうひとつは大型でソフトなタイプ。両方使ってみましたが、大きいほうは裸眼で顔に付ける感じでした。メガネで使うとアイポイントが離れすぎて、映像がケラれます。

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↑自分的に気に入っている、上からノゾくスタイル。ローアングルで撮るときに、いちいちしゃがんだり、寝ころんだりしなくて済みます。パナソニックのLXシリーズではいつもやっていますが、αやNEX-7では残念ながらできませんね。外付けならではの機能といえるでしょう。


レンズフード『LHP-1』 価格1万3230円

RX1

↑う~ん、レンズフードはメタルでいい雰囲気です。 そして、いいお値段です。本体に付属してほしかったですね~。ふつ~付属ですよね~。

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↑穴が空いているのは軽量化のためと、光学ファインダー使用時に視界をさえぎらない工夫ですね(たぶん)。クラシックカメラの雰囲気です。


サムグリップ『TGA-1』 価格1万9950円

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↑親指を置いて、安定感を増すというオプション。再生ボタンが隠れてしまいますが、パタンと反対側に倒れます。アクセサリーシューが上部に付いているので、さらにアクセサリーを付けられますが、電気接点はないので、EVFなどは機能しません。また、この上に光学ファインダーを付けると、さっきのレンズフードの穴の見え方がちょっとズレて気持ち悪いです。

RX1
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↑というわけで、自分的にはレンズフードとEVFを装着したこのカタチで使うと思います(買えたらですが)。この状態で持ち歩いて撮っていたのですが、カバンに入れようとすると、たて・よこ・うえの3方向に突起ができてしまい、収納しにくいのがちょっと難点です。ま、首から下げてれば気になりません。

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↑現行の愛機NEX-7に、換算36ミリとなる『ゾナーT* 24mmF1.8』を付けて並べてみました。重量は576グラムで、RX1にEVFを付けると498グラムですから、78グラムの差ですね。ちなみにRX1のレンズも天下の『ゾナーT*』で35mmF2.0です。

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↑背面で並べてみると、液晶の見え方が違っていました。NEX-7は3型で16対9のワイド比率で、92万ドット。RX1も3型ですが4対3の比率で123万ドットです。3対2の比率で撮影すると、このようにRX1のほうが大きく表示されるわけですね。

 さて、画質ですが、NEX-7もRX1も2400万画素なので、拡大したときの解像感は同じです。ですが、ですが、RX1のほうが階調がきちんと表現されていて、ノイズも少なく、1画素の面積の違いを感じます。

 α99も借りて使っていたのですが、RX1はそれと非常に似た絵が得られました。なぜなら、撮像素子はα99とほぼ同じで、新技術によって従来より実受光面積が広くなり、感度とダイナミックレンジが向上しているからです。また、センサー前のローパスフィルターもα99と同じで、モアレと偽色は低減しますが、解像感は低下させない新型を搭載しておられます。

 そして、α99よりスゴいのは、専用レンズの描写です。一眼レフではレンズと撮像素子の空間があるため、光学設計に大きな制約があります。ミラーレスではそれが狭くなりますが、それでも素子とレンズ後端は安全のために空間があります。

 ところが、RX1のような一体型カメラは、レンズが固定ですから、素子の直前にもレンズが設置できます。実際にカットモデルを観察しましたが、後玉はとても大きいモノでした。

 なので、RX1は周辺部の描画がすばらしく、収差も階調低下も非常に少ないです。もちろん、NEX-7+ゾナー24ミリよりも周辺部の画質は格段に上です。RX1のウェブサイトにMTF曲線が掲載されていますが、フルサイズ用のGレンズ35ミリF1.4(約19万円)の性能を上回っているそうです。

 そして、忘れていけない“ボケ”ももちろんフルサイズ級です。近接では紙一重のピントになるから気をつけて撮らないといけません。静止画を撮るときは手振れ補正はありませんから、ブレにも注意です。

 フィルムの頃でいうと、35ミリ判のフィルムを常用していて、はじめて6×7判を使ったときと同じで、小型素子を積んだフツーのコンパクトカメラのノリで気を許すと、ブレ・ボケ写真の増産になるかもと心配しました。が、実際に使ってみると、カメラの自重がそこそこあるのと、AF機能が正確なので、ブレもボケもめったに出ませんでしたね(もちろんシャッタースピードによるのですが)。


オマケコーナー

RX1

↑さて、コレはなんでしょうか? 革っぽい、けっこう厚みのある素材で、超高そうなんですが……

RX1

 はい。ファインダーのケースです。光学ファインダーもEVFも、この立派なケースが付いてきます。立派すぎて、ちょっと感動しました。ソニーのロゴが入っていますが、できればRX1のロゴにしてほしかったかな~。ひょっとしてRX2とか3とか出るのかな~と。
 

オマケの週間リスキーコーナー

 35ミリレンズが固定であるというのは、欠点ではありません。世界に轟く名カメラマンたちはライカ(たぶん)に35ミリレンズ(たぶん)1本で、名作をたくさん撮っています。昔は、一眼レフといっしょにズームレンズなどを買おうものなら、先輩から「そんなもんで撮ってたらいつまでたっても写真はウマくならんのだよキミ~」などとたしなめられましたよね。35ミリ1本勝負でいきましょう。

RX1
RX1

 などと舌の根も乾かぬうちに、ワイコンを付けました。リスキーなので自己責任ですよ。

 こちらは、“コニカミノルタ”という会社が出していた高級カメラ用のものと思われる製品で、もちろんもう売っていません。径がちょうどRX1のフィルター径と同じ49ミリだったので付けました。製品名は『ACW-100』で0.8倍なので、ちょうど28ミリの画角になります。

 もちろんAFが効いて、写真もフツウに撮れました。インナーフォーカスなので、AFで前玉が動かないので安心して付けられますね。んが、マクロモードにするときは、リングを回すと前玉が数ミリ前に出るので、“勝手にコンバーター遊び”は注意して実施しましょう。くれぐれも自己責任でおねがいします。
 

おせっかいコーナー

 
本体にはバッテリーチャージャーは付いてません。付属のACアダプターをカメラに接続して、本体で充電します。もはやそれがアタリマエなのかもしれませんが、この価格のカメラなら、チャージャーを付けてほしいところですね。

 ちなみに、バッテリーパックはRX100と同じ『NP-BX1』で、フルサイズ機としてはちょっと心もとないサイズです。価格5880円ですから、チャージャーの『BC-TRX』(価格5880円)といっしょに、予備を買っておくことをオススメします。

RX1

 さ、16日の週末は超ド級のコンパクトカメラを首から下げて、紅葉を撮りにでかけたいですね~~。(って、はたして買えるのか>自分)


(2012年11月13日12:40追記:記事の初出時、シャッター速度の説明の一部に誤記がありました。お詫びして訂正いたします。記事は修正済みです)

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