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Japan Robot Week 2012で災害対応ロボット開発の最新成果を初公開

2012年10月18日 22時30分更新

 2012年10月17日~19日、東京ビッグサイト東3ホールで、『Japan Robot Week 2012』が開催された。Japan Robot Week 2012は、最新のサービスロボットの展示会と大型フォーラムを同時開催し、ロボット産業の活性化を図るために開催されたイベントである。

 展示会場をひと通り回ってきたので、特に面白かった講演やロボットを紹介したい。

福島第一原発内の調査に使われた国産ロボット

 18日の午前中、メインステージで、NEDO(独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)が実施している『災害対応無人化システム研究開発プロジェクト』に関する中間報告が実演を交えた形で行なわれた。千葉工業大学の小柳栄次氏は、同氏がこれまでに開発した災害対応ロボット『Quince』、『Rosemary』の後継機として、先行探査型移動ロボット『Sakura』を新たに開発した。QuinceとRosemaryは、福島第一原発内の調査に使われた国産ロボットであり、そのノウハウがSakuraに活かされている。Quince、Rosemary、Sakuraともに、移動にクローラ(キャタピラのこと)を採用し、高い走破性を誇る。

 また、CYBERDYNE社長の山海嘉之氏は、ロボットスーツ『HAL』の新たな社会活用法として、『災害対応用HAL』を公開した。もともとHALは、医療福祉分野での利用を前提に開発されたものだが、福島第一原発の事故を受け、災害対策用アシストロボットとして改良を行なったものだ。災害対策用HALは、約50kgの積載物を搭載可能で、放射線遮蔽装備やクーリングシステムを備える。

災害対応ロボット『Quince』
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↑小柳栄次氏が開発した災害対応ロボット『Quince』のデモ。階段もものともせず移動できる。実際に、複数台のQuinceが福島第一原発の調査に投入され、成果を上げている。

最新ロボット『sakura』
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↑小柳栄次氏の最新ロボット『sakura』。福島第一原発の施設の中でも、最も探査活動が困難とされる地下施設内での情報収集を目的に設計されている。

『HAL福祉用』
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↑医療福祉分野で使われる『HAL』。スリムでスマートだ。

『災害対応用HAL』
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↑今回新たに開発された『災害対応用HAL』。強化フレームや放射線遮蔽装備で、見た目がものものしくなっている。

20kgのおもりを2つつけた状態
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↑身体の前後に20kgずつのおもりをつけても、軽々と動き回ることが可能だ。

人の手のような優しいタッチで洗髪動作を行なうロボット

 家電メーカーの中でも、特にサービスロボットの開発に力を入れているのが、パナソニックである。会場には、これまでパナソニックが開発した『ヘッドケアロボット』や『ロボティックベッド』などが展示されていた。ヘッドケアロボットは、人の手のような優しいタッチで、頭全体のシャンプーからコンディショナー、乾燥まで、一連の洗髪動作を行なうロボットである。ヘッドケアロボットには、24個の指先を持つロボットハンドが搭載されており、頭の形にあわせてもみ洗いしてくれるのだ。ロボティックベッドは、電動ケアベッドと電動車椅子が融合したロボットであり、利用者の操作で、電動車椅子から電動ケアベッドへ、逆に電動ケアベッドから電動車椅子へと、簡単に合体/分離できることが特徴だ。

 また、杉浦機械設計事務所は、アパレル向けのトルソ型ポージングロボット『腕付トルソ君シリーズ hina-co』を展示していた。hina-coは、なめらかな動作を実現した、11歳サイズのポージングロボットであり、さまざまなポーズを取らせることができるので、ファッションショーやショーウィンドウなどで、人々の注目を集めることが可能である。
 

『ヘッドケアロボット』
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↑パナソニックの『ヘッドケアロボット』。寝ているだけで、一連の洗髪動作を優しく行なってくれる。

『ロボティックベッド』
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↑パナソニックの『ロボティックベッド』。電動ケアベッド部分と電動車椅子部分から構成されており、変形しながら合体や分離が可能。

『腕付トルソ君シリーズ hina-co』
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↑杉浦機械設計事務所が開発したアパレル向けトルソ型ポージングロボット『腕付トルソ君シリーズ hina-co』。なめらかにポーズをとることができる。

『Japan Robot Week 2012』の開催は19日まで。まだの人はぜひ!

Japan Robot Week 2012(公式サイト)

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