2012年08月13日14時00分

壮絶バトルに場内大興奮!グランツーリスモ アジアチャンピオンシップ 2012激熱レポ

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■アジア各国のランキング上位者が一堂に集結

 いやもう、こんなに手に汗握るバトルは実車でもそうはない。ハイレベルな戦いに会場は大いに沸いた。

 8月11日、横浜の日産グローバル本社ギャラリーにてGT5のイベント『グランツーリスモ アジアチャンピオンシップ 2012』が行なわれたので、グランツーリスモシリーズをこよなく愛する私、いーじまが行ってきたぞ。
 このイベントは、事前にオンラインで行なわれていた『GTアカデミー 2012』最終ラウンド(8-5)でランキング上位のドライバーたち15名と、マレーシアで開催された『GT5 Asia Online Tournament 2012 Super GT Cup』の優勝者が、アジア最速の座をかけてガチバトルする決勝戦。日本、韓国、台湾、香港、タイ、マレーシア、シンガポール、インドネシアから招かれた16名が実際に顔を合わせて勝負するから、家でひとり、黙々とタイムを削っていくのとは訳が違う。会場の雰囲気に飲まれず、冷静でいつもの自分の力を発揮できる集中力のある者が、この勝負の頂点に立てるのだ。

会場は日産本社ギャラリー エキシビションマッチ用タイムアタック こんな小さい子も
GT5Event GT5Event GT5Event
GT-Rをはじめ、日産車が数多く展示されているスペースの一角で執り行なわれた。 会場では事前にエキシビションマッチに抽選で参加できるためのタイムアタックを実施。筑波サーキットをGT-Rで1分4秒以下で走る。 背丈がギリギリぐらいの子供もプレー。しっかり走っていた。

 今回ここに集まったドライバーたちは以下の通りだ。

No. ドライバー 国・地域
1 Y.Atsumi 日本
2 T.Kawajiri 日本
3 M.Kochibe 日本
4 M.Seki 日本
5 T.Takahashi 日本
6 K.Yamada 日本
7 T.Yamanaka 日本
8 S.Yoshida 日本
9 Singi CHOI 韓国
10 Chihyuan LI 台湾
11 TSANG Wing Kit 香港
12 NATHAKUJORN Sachai タイ
13 MOO Shuaan Jinq マレーシア
14 LEONG Daniel シンガポール
15 SAFARY Rifky インドネシア
16 ANDIKA RAMA Maulana インドネシア

 

 イベントにはGTシリーズのプロデューザーである山内一典氏も登場。今日のレースにあたり、「グランツーリスモにとって、そこで走ってくれるドライバーの存在はものすごく大事。そういったドライバーがいるからグランツーリスモの価値がどんどん上がっていくと思う。今日はアジア地域からとてつもないドライバーたちが集まってくれたので、その走りをひとりの観客として楽しみたい」と語った。

 集まったドライバー16名もそれぞれ抱負を語る。この手のGTシリーズのイベントはすでに何度か行なわれているので、お互い知っている者どうしも多く、意外とリラックスしているようだ。ここに集まったドライバーは、10代がほとんど。これに関して山内氏は「グランツーリスモのファンは実は高齢化しているんじゃないかと思っていた。日本のスポーツカーファンというのも高齢化してきていますし。でもGT5がリリースされたあと、ずいぶんと世代交代がおきて、若い人たちに遊んでもらえているのは驚きました」。

山内氏が登場 日本とアジア諸国からの精鋭16名
GT5Event GT5Event
「観客のひとりとして楽しみたい」と語った山内氏。 アジアナンバー1を決めるべく集まった16名。海外勢は異国での緊張感と大会による緊張感に勝たなければならないので厳しい。

■予選はTokyo R246

 さて、いよいよ予選。8名ずつに分かれてタイムアタックを行なう。それぞれ上位4名が決勝へ進出となる。

GT5Event
予選
スタート方式 ピットスタート
スタート間隔 各車15秒おき
周回数制限 4周(アウトラップを含む)
コース Tokyo R246
クルマ 370Z(GT Academy)'08
タイヤ Comfort:Soft

 

 この時点まで、ドライバーにはコース、クルマなどの情報は一切なく、事前に予習をすることはできない。グループ分けはくじ引き。各ドライバーが引いたカードの番号順にスタートしていくことになる。

 くじ引きの結果グループAは以下のようになった。

No. ドライバー 国・地域
1 K.Yamada 日本
2 S.Yoshida 日本
3 Y.Atsumi 日本
4 M.Kochibe 日本
5 NATHAKUJORN Sachai タイ
6 T.Kawajiri 日本
7 Chihyuan LI 台湾
8 SAFARY Rifky インドネシア

 

 今回のレースの模様を実況してくれたのが、レース実況でおなじみの中島秀之アナ。かつてGT3のときに実況を行なったことがあるそうだが、あの声で実車レースさながらの語り節は、会場を大いに盛り上げてくれた。

 予選のコースは、市街地コースのなかでも人気の高いコースだけに、ドライバーのみんなは再三走ったコースのはず。壁にヒットしたり縁石の乗り上げ方、アクセルワークで差が出てくる。アウトラップで車両感覚をつかみ、3周の間で最善の走りをしなければならない。タイヤダメージがオンなので、アウトラップで十分にタイヤも温める必要もある。

 ちなみに、ほとんどのドライバーは靴を脱いでプレーしている。これは私もそうだが、スロットルの感覚が靴だとわかりづらいのと、ふだんは家の中でプレーしているため、靴を履いてドライブすることはない。なので、普段と同じスタイルでないと最高のドライビングはできないのだ。

 さて、予選の戦いのほうだが、最高レベルのドライバーがそろっているだけあり、0.1秒を争う僅差の戦い。周回ごとにトップが入れ替わるデットヒートの結果、トップを取ったのは、周回ごとにしっかりタイムを縮めていった山田選手。タイムは2:02:742で2位のNATHAKUJORN Sachai選手とは0.212秒の差。ボーダーラインの4位と5位との差はわずか0.058秒という激戦だった。

 わずかの差で4位に入った河尻選手は、今回唯一ステアリングコントローラーではなくデュアルショック3を使うドライバー。山内氏は「ステアリングの方が速いと思ってつくっていたのですが、コントローラーを使いこなして、ステアリングと同等かそれ以上に走るドライバーが出てきてしまった」と解説していたが、やったことのある人ならわかると思うが、微妙な切り角の維持やアクセルワークはとても難しい。コントローラーのほうが、カウンターを当てやすいのは確かだが、運転のしやすさや微妙なコントロールはステアリングのほうが優位なので、コントローラーでステアリング勢と同等の走りを披露する河尻選手のスゴサが光っていた。

靴を脱いでプレーする選手たち
GT5Event
会場はもちろん土足だが、プレーするときは靴を脱く人が続出。微妙なスロットルの感覚はやはり素足がいちばん。
POS. ドライバー タイム
1 K.Yamada(日本) 2:02:742
2 NATHAKUJORN Sachai(タイ) 2:02:954
3 S.Yoshida(日本) 2:03:486
4 T.Kawajiri(日本) 2:03:823
5 M.Kochibe(日本) 2:03:881
6 Y.Atsumi(日本) 2:04:265
7 Chihyuan LI(台湾) 2:06:430
8 SAFARY Rifky(インドネシア) 2:08:128

 

GT5Event

 続いてグループBはアジア勢が多い戦いとなった。

No. ドライバー 国・地域
1 LEONG Daniel シンガポール
2 MOO Shuaan Jinq マレーシア
3 T.Yamanaka 日本
4 T.Takahashi 日本
5 Singi CHOI 韓国
6 M.Seki 日本
7 ANDIKA RAMA Maulana インドネシア
8 TSANG Wing Kit 香港

 

 グループBでの注目はGT5 Asia Online Tournament 2012 Super GT Cupの優勝者、インドネシアのRAMA選手。確実にタイムを縮めていき、3周目に2:02:589でトップに躍り出た。このタイムは全体でもベストタイムだ。やはり、このようなイベントで優勝するドライバーは精神力と集中力が違う。彼は靴だけでなく靴下も脱いでプレーするタイプ。私も裸足派だけにその気持ちはわかる。2位の高橋選手との差はわずか0.069秒差だった。

POS. ドライバー タイム
1 ANDIKA RAMA Maulana(インドネシア) 2:02:589
2 T.Takahashi(日本) 2:02:658
3 T.Yamanaka(日本) 2:03:492
4 Singi CHOI(韓国) 2:03:978
5 TSANG Wing Kit(香港) 2:05:340
6 M.Seki(日本) 2:05:496
7 LEONG Daniel(シンガポール) 2:05:890
8 MOO Shuaan Jinq(マレーシア) 2:06:234

 

 予選の結果、決勝に進んだのは以下の8名だ。

POS. ドライバー タイム
1 ANDIKA RAMA Maulana(インドネシア) 2:02:589
2 T.Takahashi(日本) 2:02:658
3 K.Yamada(日本) 2:02:742
4 NATHAKUJORN Sachai(タイ) 2:02:954
5 S.Yoshida(日本) 2:03:486
6 T.Yamanaka(日本) 2:03:492
7 T.Kawajiri(日本) 2:03:823
8 Singi CHOI(韓国) 2:03:978

 

 今回16名の走りを観てみたが、それぞれにドライビングスタイルがあって興味深い。先ほどの“靴を脱ぐ”のもそうだが、ほかには視点の違い。大半のドライバーがバンパーカメラ視点(私もそう)だったのだが、ボンネットだけ出した視点や後方視点(自車が見える状態)で走るドライバーもいた。さらに、音を重視してヘッドホンを装着するドライバーも多かった。実際の運転ではGやタイヤの滑る感覚は体で感じ取るが、ドライビングシミュレーターといえども、そこまでは無理。となると目と音で情報を感じコントロールすることになるので、音は重要になるのだ。

ヘッドホン装着も
GT5Event
音も判断基準のひとつ。ヘッドホンを装着してプレーする人が多かった。ちなみに、山田選手は装着していない。

 決勝に向けて山内氏は「モーターレーシングは、大胆さと慎重さの両方が必要。あるいは勇気と小心さが必要。その辺りがほかのスポーツとは違い、いきすぎたらダメだしいかなすぎてもダメだし、そのギリギリのハイレベルな戦いが決勝では観られると思うので、そこを楽しみにしている」とコメントした。

■GTアカデミーの欧州初代ウィナー、ルーカス・オルドネス選手が降臨

 決勝の前にグランツーリスモによるレーシングドライバー養成プロジェクト“GTアカデミー”の欧州初代ウィナーであるルーカス・オルドネスが登場。山内氏とトークセッションが行なわれた。

ルーカス・オルドネス選手 山内一典氏
GT5Event GT5Event
1985年、スペイン・マドリッド生まれ。大学でMBA取得を目指していた2008年『グランツーリスモ』によるレーシングドライバー養成プロジェクト『GTアカデミー』の欧州初代ウィナーに輝き、ドライバーとしてのキャリアを歩み始める。 グランツーリスモを生み出した人であり、プロデューサー。ポリフォニー・デジタルの代表取締役プレジデント。

 

―日本は初めてですか?
ルーカス「今回で2度目です。去年の11月にルマンカップの最後のレースが中国で行なわれたので、その帰りに近くまで来たのでポリフォニー・デジタルへ行きたいと思い、山内さんに連絡してスタジオへ訪問しました」

―スタジオへ訪れた感想は?
ルーカス「みなさんにお会いできるだけでスゴイ体験でした。日本に来ること自体夢でしたし、山内さんに会うことも夢みたいな話でした。そしてものすごい労力をかけて制作している現場を見られたのも、ものすごい体験でした」

―ということは、それまで山内さんはお会いしたことがなかった?
山内「そういうわけではなく、GTアカデミーのファイナル、ドバイの24時間レースを訪れて、ルーカスがデビューレースをするところを観ています。そのときは、ごくごく普通の若者で、ものすごく緊張してレースをしていました。それから2年経ってルマンで会ったときは、もう全然違う人になっていてとてもたくましくなっていました」
―GTアカデミーをやろうと思ったきっかけは?

山内「もともと、日産ヨーロッパとSCEヨーロッパがちょっとおもしろいからやってみようという企画から始まったものだが、最初のウィナーになったルーカスのキャラクター、才能がすごかった。それによって、後に続くGTアカデミーの規模が大きくなっていって今に至る感じですね」

―ドライバーあこがれの舞台ルマンを走るというのはどういう気分なのか?
ルーカス「GTアカデミーに入ってから、レーシングドライバーになる夢を見ていましたが、まさかルマンを走る、24時間レースに参戦することができるなんて思ってもみませんでした。2011年に実際走って、夢が叶って大きなステップになりました。2位という結果も出せましたし、すごく勉強にもなりましたし、日産にとってもプレイステーションにとってもグランツーリスモにとっても、偉大な瞬間だったと思います」

―今年のニュルブルクリンクでの24時間レースは山内さん自身も出場して大変だったのではないですか?
山内「今回、クルマを日本から持ち込んだため、準備だけで2ヵ月ぐらいかかりました。市販ベースのクルマでレースに出るという試みだったので、スリックタイヤを履かせてセッティングするというのが非常に大変でした。運転がスーパー難しいクルマだったのがいちばん苦労しました」

―山内さんから見てルーカスさんの走りはいかがでしたか?
山内「かなり優秀なドライバーなので、私とは比べものにならないのですが、ルーカスはニュルが初めての走行だったにもかかわらず最初から全開の走りをしていたので、スゴイと思いました」

―ルーカスさんのニュルの印象は?
ルーカス「ニュルは世界最高のコースで、一番長くて一番難しくて一番危ないという三拍子そろったコースですが、今回山内さんにこのコースを走る機会を与えていただき、さらにそこでGT-Rを走らせられるという喜びがありました。GT-Rは速いクルマなのですが、ほとんどロードカーのようなクルマだったので、運転もトリッキーでしたし、セットアップも時間がかかって、2ヵ月間ものすごい労力をかけて仕上げました。最終的にはクラス優勝して、グランツーリスモチームとしては最高の結果を残せたのではないでしょうか」

―総合でも30位という好成績でしたが、ルーカスさんから見てドライバーとしての山内さんはどうでしたか?
山内「4年前ドバイで山内さんと運転したいと言っていたけど、今回のルマンでやっと実現して、すごくいい体験でした。山内さんとそのチームは、本物のクルマをシミュレーターとして再現することに特化しているので、セットアップにとても詳しい。それを見ていてとても勉強になりました。いい結果も残せたのですばらしいと思います」

トークセッション
GT5Event
ルーカス選手と山内氏がGTアカデミーやルマン、ニュルの24時間レースについて語った。

■ここからは質問のコーナー

―今後どのようなレースに参加しますか?
山内「今年は今年のテーマがあり、ルーカスをはじめGTアカデミーの卒業生といっしょにレースに出ることと、レースエンジニアはすべてポリフォニー・デジタルのソフトウェアエンジニアで構成することです。ですから、マシンのセットアップや走りの分析をポリフォニー・デジタルのチームが行なったことで、ものすごい経験になり、未来のグランツーリスモに確実に生かせるという手応えを感じています。今後も何か目的が定まったものがあれば、リアルなレースに出てみたいと思います。ただ、ニュルブルクリンクはすごく危ないところなので、ほどほどにしておかないとまずいかなと思ってます(苦笑)」

―今後出てくるダウンロードコンテンツは?
山内「はい、準備はしています(笑)」

―ルーカスさんは人生は変わりましたか?
ルーカス「180度変わりました。スペインで普通にどこでもいる大学生だったのですが、GTアカデミーに関わってから、4年後に日産のプロドライバーとして山内さんとニュルで24時間走れて、何もかも変わってしまった。GTアカデミー自体も成長していてうれしく思う」

―6はいつですか?
山内「鋭意作成中です(笑)。うっかりいつ発売とか言ってしまうと、遅れたとかなんだのとかの話になるので、もう言わない(笑)」

 ということで、最後の山内氏のコメントには場内も笑いに包まれたが、GT5はアップデートやダウンロードコンテンツを重ねているので、まだまだ楽しめるんじゃないかな。あと、ルーカス選手にはあこがれますね。もう私の年齢では手遅れですが、今回のイベントのように、アジアにも速いドライバーはたくさんいるわけで、アジアでもGTアカデミーのようなしくみができるといいですね。

 トークセッションに続いて、エキシビションマッチを開催。ルーカス選手と山内氏、そして会場で筑波サーキットをGT-Rで走り、規定タイムをクリアした人の中から抽選で選ばれた6名が参加した。コースはニュルブルクリンクGP/Fだ。

エキシビションマッチ
コース ニュルブルクリンクGP/F
周回数 3周
クルマ GT-R N24 GT Academy '12
タイヤ Racing:Hard

 

GT5Event

 グリッドは、山内氏は7番目、ルーカス選手が最後尾の8番目からスタート。スタート直後のヘアピンで、ルーカス選手が前のクルマに衝突するなど、多少混乱はあったが、その後はトップの人が独走する状態で進行。ルーカス選手はほかのクルマを匠にかわしていき2位まで浮上したが、トップとすでに5秒以上の差があったためか、攻めすぎてコースアウトする場面も。山内氏は序盤後方に沈んだままだったが、最終的には5位でフィニッシュした。ルーカス選手はトップと約10秒差の2位だった。

エキシビションマッチ 優勝した小松さん
GT5Event GT5Event
最後尾からスタートした山内氏とルーカス選手は、団子状態から抜け出すのに苦労していた。 エキシビションマッチでみごと優勝。ルーカス選手から追われてもその差をなかなか縮めさせなかった。

 戦いを終えての感想は、山内氏「疲れましたけどがんばりました。ニュルブルクリンクの直前までは走っていたのですが、ここ2ヵ月走っていなかったので、毎日ちゃんとやらないとダメですね」。ルーカス選手は「最初のコーナーは実際のレースでもアグレッシブにみんな攻めるところですので、接触は日常茶飯事。そこを何とか切り抜けて自分のリズムを取り戻そうとしましたが、そのときにはすでにトップがはるか先を走っていたので、プッシュして追い上げようとしましたが、プッシュしすぎてコースアウトしてしまったので、2位になんとかなれてよかったです」

■決勝は3レースのポイント制

 いよいよ決勝戦。コースとマシンが異なる3ラウンドのポイント制で行なわれた。

1位 10pt 5位 4pt
2位 7pt 6位 3pt
3位 6pt 7位 2pt
4位 5pt 8位 1pt

 

いよいよ決勝
GT5Event
予選を勝ち抜いた8名がステージに。みんな「クリーンなレースを」と語っていた。

 第1ラウンドはHigh Speed Ringを5周。スターティンググリッドは、予選での順位となった。

決勝第1ラウンド
コース High Speed Ring
周回数 5周
クルマ SILVIA spec-R Aero(GT Academy)'02
タイヤ Comfort:Soft

 

GT5Event

 High Speed Ringは長いストレートとバンクのある高速コーナーが特徴で、8台のレースとなると、スリップストリームの使い方も勝負の鍵となる。

 各車、白煙もも上げずにキレイにスタート。スリップをうまく活用しインコースをついた3位の山田選手が、最初のコーナーでトップに躍り出ると、第2コーナーもうまく抜けて一歩抜けた状態となった。2位以下は大混戦で、接触もあったが、3周目から河尻選手とRAMA選手が抜け出した。そして山田選手はミスもなくファーステストラップを刻みそのまま1位を走行したが、2位争いは最終周の1コーナーでRAMA選手が河尻選手を追い抜きデットヒートを繰り広げ、最終コーナーでアウトから河尻選手が追い抜いて2位フィニッシュ。このとき会場からは歓声が上がるほど手に汗握る戦いだった。

 故意にぶつけることもなくとてもクリーンな戦いで、観ている側もドキドキするいいレースだった。1位の山田選手は、スタート直後の1コーナーのライン取りがレース巧者的で、通常はアウト-イン-アウトが速いのだが、あえてアウト-イン-インを走り次のコーナーでほかのクルマにインに入られないライン取りをしている。2コーナーをアウトへ膨らまずにしっかり走った結果、ほかのクルマとここで差を築けたのが大きく、スリップストリームに1度も入られずに逃げ切った。

 河尻選手の最終コーナーでの追い抜きは、実はここのコーナーは、アウト-アウト-アウトが速く走れることを知っていての走りだろう。コーナーへ進入するときの減速とコントロールが難しいので、レースになると安全策をとってインへ切り込んで走るが、そこを果敢に攻めた河尻選手のスゴサに拍手だ。

アウトから抜いていく
GT5Event
最終コーナーでアウトから抜いていった白の河尻選手。会場がどよめいた。
POS. ドライバー タイム
1 K.Yamada(日本) 6:57:236
2 T.Kawajiri(日本) 6:59:968
3 ANDIKA RAMA Maulana(インドネシア) 7:00:252
4 NATHAKUJORN Sachai(タイ) 7:05:429
5 T.Yamanaka(日本) 7:06:402
6 S.Yoshida(日本) 7:07:085
7 T.Takahashi(日本) 7:09:755
8 Singi CHOI(韓国) 7:26:797

 

■決勝第2ラウンドはDeep Forest Raceway

 続いて第2ラウンドはDeep Forest Raceway。その名の通り森の中を走るこのコースは、高速コーナーとRの違う複合コーナーの組み合わせがとてもいやらしく、コーナーへの進入から脱出するまでいかに高い速度を維持できるかで差が開く。

決勝第2ラウンド
コース Deep Forest Raceway
周回数 8周
クルマ 370Z Tuned Car(GT Academy)'08
タイヤ Sports:Hard

 

GT5Event

 スターティンググリッドは、第1ラウンドの結果のリバースグリッド(8位だった人が1番)となるので、韓国のCHOI(チェ)が1番グリッドとなる。
 スタート直後の1コーナーは接触が見られたが、CHOI選手がトップを守り森の中へ。2位以下は団子状態で進んでいったか、森を抜けた長いコーナーでCHOI選手が壁に接触、2位を走行していた高橋選手がトップに出た。そして7位スタートの河尻選手が3位までポジションアップ。2周目でRAMA選手が河尻選手を抜いて3位となり、4位に河尻選手、5位に山田選手となった。

 3周目以降は、2位の高橋選手、3位のRAMA選手、4位の河尻選手が接近戦。各車の駆け引きが非常におもしろい。その間にトップの吉田選手は差を広げ1秒半ほどのギャップを築く。山田選手はコースアウトで6位に一度落ちたものの、すぐに挽回。6周目に河尻選手が高橋選手をかわし2位になると、壁に接触したRAMA選手、高橋選手を抜いて山田選手は3位に浮上した。そして運命の最終周、それまでトップを守っていた吉田選手がなんとトンネルを抜けたコーナーでテールを流す痛恨のミス。その横を河尻選手、山田選手が通過し最終コーナーへ。トップの河尻選手が若干テールを流したところをすかさず抜きにかかる山田選手。しかし0.012秒の差で2位となった。

わずか0.012秒差
GT5Event
ゴールの競り合いでわずかに及ばなかった黄色の山田選手。表示が一瞬山田選手1位となったが、白の河尻選手が勝った。

 いやぁ、これだけの精鋭ぞろいの中で、最後尾からトップの位置を伺うまで上り詰めていく山田選手の走りはスゴイ。同様に河尻選手もミスが少なく、虎視眈々と相手のミスを突き上り詰めていく冷静な判断力もすばらしい。第2ラウンドも観ている側がドキドキする展開で、ハイレベルの戦いに酔いしれた。

 第2ラウンドの結果は以下の通り。

POS. ドライバー タイム
1 T.Kawajiri(日本) 11:30:787
2 K.Yamada(日本) 11:30:799
3 S.Yoshida(日本) 11:31:683
4 T.Takahashi(日本) 11:35:643
5 ANDIKA RAMA Maulana(インドネシア) 11:36:342
6 NATHAKUJORN Sachai(タイ) 11:38:348
7 T.Yamanaka(日本) 11:45:804
8 Singi CHOI(韓国) 11:49:860

 

ポイントランキング

POS. ドライバー ポイント
1 K.Yamada(日本) 17pt
1 T.Kawajiri(日本) 17pt
3 ANDIKA RAMA Maulana(インドネシア) 11pt
4 S.Yoshida(日本) 9pt
5 NATHAKUJORN Sachai(タイ) 8pt
6 T.Yamanaka(日本) 6pt
7 T.Takahashi(日本) 5pt
8 Singi CHOI(韓国) 2pt

 

■最終ラウンドはGrand Valley Speedway

 そしていよいよチャンピオンが決まる最終戦。コースはGrand Valley Speedway。全長約5キロのロングコースでシケインを含めた低速コーナーが多く、コーナーへの進入から脱出までのアクセルワークがポイント。ホームストレートが長いので、直前のコーナー脱出速度も鍵になる。

決勝第3ラウンド
コース Grand Valley Speedway
周回数 10周
クルマ GT-R R35 TC
タイヤ Tacing:Hard

 

GT5Event

 スタート直後の1コーナーで多少の接触があったものの、ハイスピードなS字を抜け、ヘアピンの時点で4番スタートのRAMA選手が抜け出した。1周が終わった時点でRAMA選手、Sachai選手、CHOI選手とアジア勢がトップ3に。2周目に入るとCHOI選手がミスし高橋選手が3位に。4位に河尻選手、5位に山田選手とポイントランキング1位の2人が続いた。

 しかしこの時点ですでにRAMA選手が1分52秒台で2位のSachai選手が55秒台なため、2人としては、早く2位、3位をかわしたい状況だ。すかさずその周のシケインで山田選手は河尻選手をパス、続いてホームストレートの立ち上がりでミスをした高橋選手もパスをして3位に浮上。河尻選手は3周目の1コーナーでミスをして6位に順位を落としてしまう。

冷静沈着に淡々と走る山田選手 裸足のRAMA選手
GT5Event GT5Event
ほんと、インからでもアウトからでも、隙さえあればアタック。しかし後ろからアタックかけられても冷静かつ瞬時に判断して回避していく。 靴下も脱いでプレーするRAMA選手は、アジア勢の中で抜群のドライビングテクニックをもっている。

 RAMA選手は、46秒台にいれトップを独走。5周目のホームストレートでようやく2位に上げたがすでに4.7秒の差がある。しかしここからが山田選手が本領を発揮。前が開けたことで自分のペースで走れるようになり、45秒台へタイムアップ。6周目は44秒台へ入れてきた。トップとは1秒近く速く、差を除々に縮め、残り2周で2秒切るまでに。後方では河尻選手と高橋選手のデッドヒートを繰り広げ河尻選手が3位に。そして最終ラップで0.5秒差まで追いついた山田選手は、隙を突いてトップに立ちそのままゴール。3戦中2勝をあげた山田選手がチャンピオンとなった。

最終ラップでトップに
GT5Event
インからRAMA選手を抜き去る山田選手。RAMA選手もクルマをぶつけずに走ったのはさすが。

 いやぁ、RAMA選手のインを突いてすぱっと抜き去る山田選手の走りはすばらしいの一言。そして最後まで果敢に攻め続けるその姿勢にも感服した。RAMA選手もクリーンな戦いでクルマをぶつけることもなく、ギリギリまで攻めたのだが、一歩及ばなかった。

 実車でもなかなかお目にかかれない白熱したバトルに山内氏は「ホントにすばらしいですね。2戦目、3戦目がそうですが、重要なオーバーテイクはアウトから行なわれる。ものすごいハイレベルだからこそ、そういうことが起きるんですね」。ルーカス選手は「山田さんが冷静沈着で除々にペースを上げていき、RAMAさんもすばらしい走りをしていましたが、力強くあきらめずに機会をうかがい、最終周でチャンスをものにしたおもしろいレース展開でした」とコメントした。

POS. ドライバー タイム
1 K.Yamada(日本) 17:48:202
2 ANDIKA RAMA Maulana(インドネシア) 17:48:739
3 NATHAKUJORN Sachai(タイ) 17:53:727
4 T.Kawajiri(日本) 17:57:696
5 T.Takahashi(日本) 17:58:667
6 S.Yoshida(日本) 18:00:798
7 T.Yamanaka(日本) 18:05:204
8 Singi CHOI(韓国) 18:10:966

 

最終ポイントランキング

POS. ドライバー ポイント
1 K.Yamada(日本) 27pt
2 T.Kawajiri(日本) 22pt
3 ANDIKA RAMA Maulana(インドネシア) 17pt
4 NATHAKUJORN Sachai(タイ) 14pt
5 S.Yoshida(日本) 12pt
6 T.Takahashi(日本) 11pt
7 T.Yamanaka(日本) 8pt
8 Singi CHOI(韓国) 3pt

 

 ということで、山田選手が優勝、2位に河尻選手、3位にRAMA選手という結果になり、全員に盾と特性ダイキャストモデルを授与された。山田選手は、「勝つことしか考えてませんでしたが、3戦全勝できなくて残念です。皆さんここに残るだけのこともあり、クリーンで、自分がいちばん荒かったのではないかと反省しなければならない面もありますが、楽しいバトルでした」とコメント。オンラインでみんなとゲームを楽しむには、フェアでクリーンなレースをすることが第一。強いドライバーほどマナーに忠実だ。また、アジア諸国からわざわざ日本まできて戦ってくれた8名は、不利な状況ながらクリーンでかつ力強い走りを披露してくれてとても楽しませてもらった。

今回戦った選手たち
GT5Event
最後に記念撮影。次回開催したら、この中からまた優勝者が出るのだろうか?

表彰式で笑顔を見せる3人

GT5Event GT5Event GT5Event

左から山田選手、河尻選手、RAMA選手。特製の盾とダイキャストモデルが手渡された。

 大会後は、グランツーリスモに楽曲を提供しているdaiki kasho氏が、今回のためにバンドを率いてスペシャルライブを実施。そんななかでちょっとしたサプライズ。8月5日に誕生日を迎えた山内氏に、ハッピーバースデーの曲とともに、花束とダイキャストモデルを贈呈。会場から温かい拍手がわき起こった。

daiki kasho氏率いるライブを開催 山内氏にハッピーバースデー
GT5Event GT5Event
グランツーリスモに収録されている曲を含むハードロックな曲を披露。シャイな会場のみんなも、最後は小節をあげてのっていた。 先日誕生日を迎えた山内氏に花束とダイキャストをプレゼント。ほんとにサプライズだったらしい。

 なお、この大会の模様はUstreamで中継され、録画が見られるようになっている。ぜひみんなたちも、この熱きバトルを観てほしい。

■Ustreamによる公式中継録画
予選の模様
トークセッションから決勝
ライブの模様

■エピローグ

 4時間ほどのイベントだったが、あらためてグランツーリスモシリーズはおもしろいと感じた1日だった。山田選手は、これまでもグランツーリスモのイベントで優勝をしてきた人物だ。ハンドル名のYAM23といったほうがわかりやすいだろう。私もGT4の時代は、そこそこ争えたが、GT5になってからは悲しいかな、トップから1秒遅れはざら。とても上位には絡めない。

 若い世代の自動車離れが叫ばれているご時世だが、GT5の上位を占めているのは、その若い世代というのも、おもしろい現象だ。山田選手は23歳、河尻選手にいたっては17歳と自動車の運転免許すら取れない年齢。そんな実際のクルマを運転したことのないドライバーが勝ってしまうグランツーリスモは、実際に運転する前のよい教材として、そしてスポーツカーがかっこいいと思う若者が増えるための材料として、これからもつくり続けてほしい。

■イベント終了後に山田選手に話を伺った

GT5Event

 YAM23のハンドル名として活躍しているのはGT4の時代から知っていたが、本人に会うのは今回が初めて。リプレイを見ても特に奇をてらった走りはせず、正確なコントロールとアクセルワークで、いつも上位(というかほとんど1位)にいた。
 「今回は周回数が多かったので、あせらず冷静に行きました」と語る山田選手。後ろにピタッとくっついて冷静に相手のミスを突き、次々抜いていくさまは、自信と多少のミスでは動じない強い心臓があるからこそだろう。ちなみに、私(ハンドル名はWipeOut)を知っていたか聞いたところ、「GT4のときにいたかたですよね」とうれしい返答が。GT4のときも同様のイベントが鈴鹿であり、実は私も招かれたのだが、都合がつかなくて断った経緯が……。いやぁ、こんな走りは心臓小さいのでできません。そして、GT5は若い世代に譲りました、とは言いませんでしたが、なんとか上位に食い込めるようになれるといいなぁ努力することを誓ったのであった。

超おまけ
GT5Event
山内氏と記念撮影。完全に仕事を忘れていますね。あははは。

■関連サイト
グランツーリスモ公式サイト

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