2012年06月07日12時30分

Windows8のエコシステムをPCメーカーが集まる台湾でアピール:COMPUTEX TAIPEI 2012【塩田紳二氏寄稿】

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 台湾で開催中のCOMPUTEXの基調講演にマイクロソフトのOEM担当副社長であるスティーブン・グッゲンハイマー氏が登場。多くのPCやマザーボードメーカー、ODMのある台湾で、年内に登場すると言われているWindows8を搭載するOEMメーカーの機器などを紹介した。

COMPUTEX TAIPEI 2012

↑基調講演を行なうOEM部門副社長のスティーブン・グッゲンハイマー(Steven Guggenheimer)氏。

 実はマイクロソフトは、イベントへの参加を原則的にプライベートイベントに限定するという方針をかかげ、毎年1月のCESへの参加も今年が最後であると決めた。台湾には、多くのPC関係の企業があり、世界中のPCの多くを台湾企業が製造している。米国のメーカーでも、実際の製造は台湾のODM企業であったりするため、世界中のPCはほぼ台湾メーカーが製造しているといってもいい。もっとも実際の製造を行なう工場は、現在では中国本土にあることが多いようだが。

 このためマイクロソフトとしても、COMPUTEXはそうそう軽視できないイベントとなりつつある。また、最近では、スマートフォンやタブレットなどの製造も台湾企業が関係しており、PCメーカーの一部は、Androidスマートフォンやタブレットを製品化している。

■MSが“タッチ”操作に本腰を入れ、ハードに変化が生まれた

COMPUTEX TAIPEI 2012

↑ステージには、多数のWindows8搭載予定の新製品が並ぶ。

 Windows8は、従来のウィンドウズデスクトップ実行環境に加え、タブレットのような指先で操作する“タッチ”に対応した“メトロ”と呼ばれる実行環境をもっているのが特徴だ。MSはWindows8でタブレット市場への本格的な進出を狙う。これまでもWindowsを搭載したタブレット(スレートPCとマイクロソフトはかつて呼んでいた)も製品化されたことはあったが、マウス同様に高い精度で画面上の位置を指定できる“スタイラス”を使うものだった。ウィンドウズデスクトップは、高い精度で画面上の位置を指定できるポインティングデバイスを前提にしており、Windows7でタッチ機能が導入されたものの、やはりウインドー操作がやりにくいなどの問題があった。

 これに対して、マイクロソフトは、タッチを前提にしたまったく新しいユーザーインターフェースをもつメトロ環境を、従来のウィンドウズカーネルの上に構築し、タブレットでの操作が簡単に行なえるようにした。ただし、このメトロ環境は、従来のデスクトップ環境とは独立しており、メトロスタイルアプリケーションしか動作しない。また、このメトロ環境から見れば、従来のデスクトップ環境は、ひとつのアプリケーションのような扱いになる。

 6月はじめにマイクロソフトは、従来“リリース候補(RC)版”と呼んでいたバージョンを“リリース・プレビュー(RP)版”として、一般向けに配布を開始した。リリース候補は、製品になる直前の段階で、基本的な仕様が固まったことを意味する。

 今回のCOMPUTEXでは、Acer、ASUS、Lenovo、東芝など、多くのメーカーがWindows8を前提にしたハードウェアを発表した。メトロを意識し、タブレットであったり、キーボードが合体してクラムシェル型にもなるタブレット、クラムシェル型とタブレット型に変形が可能な“コンバーチブル”型、タッチパネルを装備したクラムシェル型などと、従来よりもハードウェアのバリエーションが増えたのが今年の新製品の特徴だ。

 これまでのPC新製品は、クラムシェル型かデスクトップがほとんどだったことを考えると、今年はバリエーションに富んでいるといえる。そのためか、製品発表にもある程度の熱気が感じられる。逆にいうと、これまでWindowsが大きく変化することがなかったため、ハードウェアも変化しなかったといえるだろう。

■Windows8ベースのエコシステムへの移行が始まる

COMPUTEX TAIPEI 2012

↑PCメーカーの新製品をひとつひとつ紹介していくグッゲンハイマー氏。

 マイクロソフトの講演には、いくつかのポイントがあるが、基本はWindows8だ。現在のWindowsは、クライアント版のWindowsを開発しつつ、同じソースコードからサーバー版や組み込み版を派生させている。クライアントのWindowsが変わるということは、Windows Serverも変わるし、組み込み版Windows(Windows Embedded)も変わるということだ。

 今回は、Windows8自体についての発表はなかったが、組み込み版Windows(Windows Embedded Standard 8)のコミュニティー向けテクニカルプレビュー(CTP)の第2版が公開されたことをアナウンスした。組み込み版Windowsは、機器の中に入ってしまい、画面なども独自につくることが多く、あまり目にすることがないのだが、電子広告や家庭向け制御機器、カーナビゲーションなど広い分野で利用されている。交通機関などの液晶ディスプレーを使った案内板などにも使われており、ときどき、エラーのダイアログやブルースクリーンになっているのを見かけることがある(笑)。

 話を戻すと、Windows8のリリースプレビュー版が出たということは、マイクロソフトは現在、リリース版(RTM)に向けた作業を行なっており、3ヵ月程度で開発が完了すると考えられる。また、メーカーもハードウェアの設計を完了し、製造を開始するための準備に着手している段階だろう。

 今回のCOMPUTEXには、こうしたハードウェアが発表され、会場に展示されている。このタイミングで、次世代のWindowsの話もできないし、最終段階であるため、Windows8に新しい機能が追加されることもない。なので、スピーチとしては、これまでの“おさらい”的なものになってしまうのは仕方のないところ。

COMPUTEX TAIPEI 2012

↑マイクロソフトがPCだけでなく、スマートフォンやXbox、そして組み込みWindowsを使うさまざまな機器などに対応していくことでそれまで市場別に分離していたエコシステムが融合していきはじめたとする。

 基調講演では、マイクロソフトとOEMやサードパーティーなどにより、これまで分離していたPC、携帯電話、TV、デバイスのエコシステムが融合しはじめており、マイクロソフトのエコシステムは、AppleともGoogleとも違うと説明した。そのほか、Windows Server 2012、Azure、前述の組み込みWindowsなどに触れていき、最後にWindows8を搭載予定のハードウェアを紹介した。この中では、OEMのハードウェア紹介に比較的時間を割いていた。

COMPUTEX TAIPEI 2012

↑マイクロソフトのエコシステムは、1社独占のAppleとも、GoogleのAndroidとも違い、広い範囲をカバーし、さまざまなビジネスが可能であるとした。

COMPUTEX TAIPEI 2012

↑サーバー、組み込み、スマートフォン、そしてWindowsとすべての分野でマイクロソフトとOEMは、次の段階へ進む準備ができたと結論づけた。

 メーカーや関連企業の多い台湾では、Windowsのリリースは、大きなビジネスチャンスとして受け止められ、日本などとは少し違った雰囲気がある。マイクロソフトも、「みんなでがんばりましょう」的な雰囲気を醸し出しており、現地での受けも好意的なようだった。

■関連サイト
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