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五感を刺激 ジャズと華道のエロスが融合 “Laforet Sound Museum”を味わってきた!! 

2011年11月14日 21時30分更新

 会場に到着すると階段を上がる前からかぐわしい香りが! 入る前から期待がどんどん高まっていきます。ワイン(500円)片手に会場に入ると10個のガラス製花器にグロリオサ(ユリ科)が贅沢に生けられ、かつ水の中まで花がたっぷり。ステージには同様の花が天井から床まで、野性的ながらもエレガンスさも合わせもった姿で観客を迎え、その美しさに息をのむほど。いわゆる一種生けと呼ばれるひとつの花を使った生け花の手法を用いていました。

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 ゆっくりと客席が暗くなると菊地成孔氏と南博氏が登場。冒頭で菊地氏が、「『花と水』というアルバムを2009年に出しまして、2年越しの今回の公演を楽しみにしていました。震災の影響で無期延期となり、二度とないかなと思っていましたが、今日できることをうれししく思います。」と挨拶。そして「NO MCのままで70分近く続きますので、おそらく3割の方が眠られるのではないかと思います。しかし今の日本で、音楽によって気持ちよく眠ることは貴重だと考えます。眠くなりましたらいくらでもどうぞ、寝顔を見ながら演奏しますので。遠慮なくお休みください」とも語りました。

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 南氏の繊細なピアノの調べから始まった本編は、菊地氏のサックスと混ざり、そして共鳴しあうことでゆっくりと狂気に変わり、さまざまな表情を観客に提示。生けられたグロリオサがライトによって、妖艶にも、そして聖母マリアのような美しさにもなるのと同じように、まさに変幻自在な音色。そして花のもつエロスとジャズのもつエロスが絡み合い、観客をゆっくりと、そして確実にジャズの深遠に誘っていました。曲間もなく、つながり続ける演奏で気づくと70分が過ぎていました。

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 香りやサウンドで、視覚、嗅覚、聴覚などさまざまな五感を刺激した今回の公演。菊地氏自身が「最初で最後かもしれない」と話していましたが、もう一度味わいたいと観客の誰もが思ったはず。

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●関連サイト 
ラップネット 
菊地成孔公式HP「第3インターネット」
南博公式HP 
AMKK(東信、花樹研究所)

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