週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

東芝のUltrabook『dynabook R631』のエンジニアから聞き出した“薄型化技術”の秘密とは!?

2011年11月02日 20時59分更新

文● 石井英男  編集●ナンジョー 撮影●岡田清孝

dynabookR631

(写真左から)
デジタルプロダクツ&サービス第一事業部 国内企画・マーケティング部 中村勇太さん
設計開発センター デジタルプロダクツ&サービス設計第1部 西岡壽也さん
設計開発センター デジタルプロダクツ&サービス設計第1部 グループ長 辻浩之さん
設計開発センター デジタルプロダクツ&サービス設計第1部 平井裕一さん

Ultrabookの本本命とも言える東芝『dynabook R631』の開発エンジニアに、薄型化技術の秘密を聞いた。

薄さを極限まで極め音にもこだわった

編集部 他社のUltrabookに比べて、dynabook R631が特に優れている点を教えてください。
 東芝は以前からずっと薄さと軽さにこだわってきました。R631はその薄さを極限まで極めた製品で、世界最軽量最薄(※)を実現しています。また、通常サイズの有線LANやアナログRGBのD - Sub15ピンを搭載していることも利点です。プロジェクターを使う場合など、アナログRGBが必要だという声も多く聞きました。
平井 音にもこだわっています。薄型モデルとしては大型のスピーカーを搭載し、音がしっかり出るようにスピーカーボックスの容量を確保しました。
編集部 ビジネス用途向けPCとしての性格も強いと思いますが、ビジネスでもサウンドは重要なんですか?
中村 最近はウェブカメラを利用してスカイプで社内会議を行なうお客様も増えてきています。大きな会議室でプレゼンテーションする場合でも、大きな音を出せることが要求されます。
編集部 薄型軽量化を実現した秘密を教えてください。
平井 もともと弊社では、『ダイナブックSSシリーズ』以来、いち早くマグネシウム合金による薄型筐体成型技術を培ってきました。今回もその技術を利用していますが、従来のパームレスト下のハニカムリブ構造に加えて、新たにキーボード下にハニカム梁構造を採用し、薄型化とねじれに対する剛性を両立させています。
編集部 開発で特に苦労されたことはありますか?
西岡 私は基板の回路設計を担当しましたが、部品の高さ制限が非常に厳しかったです。小さな部品を使うとコストが上がるので、それを最小限に抑え、コストと実装のバランスを取るのに苦労しました。特に苦労したのはCPUの裏に置くコンデンサーです。ちょうど中央を境に高さ制限が変わってますので、背の高い部品と低い部品を混在させ、シミュレーションで最適な数と配置を決めました。
平井 薄くするためにヒンジを従来より細い直径4ミリのものを採用していますが、そのトルク調整に苦労しました。トルクを最適化して、片手でも本体が浮き上がらずに液晶を開けるようにしています。
編集部 どのような方をユーザーとして想定されていますか?
中村 まずはITリテラシーの高い方を想定していますが、それだけではなく、スタイリッシュで軽いので、さまざまな層がターゲットになると考えています。パソコンは一家に一台からひとり一台の時代、2台目需要も大きいと思っていますので、
どんどん拡販していければいいなと思っています。
編集部 今後の進化についてはいかがでしょうか?
 現在のUltrabookは、ホップステップジャンプでいえばホップにあたる製品で、今後も進化していきます。薄さについても、終わりがあると思っていません。さらに薄さを極めることができると思いますので、今後もご期待下さい。

※13.3インチワイドモデルとして。2011年9月東芝調べ。

dynabook R631の内部を公開

dynabookR631

  従来の十字型梁構造に代わり、新開発のハニカム梁構造を採用(写真はスケルトンモデル)。部品をハニカムの間に実装することで、剛性と薄型化を両立させている。

dynabookR631

 バッテリーには薄型の角型リチウムイオン電池を採用。いちばん厚い部分に、LANとD-Sub15ピンのコネクターを実装することで、豊富なインターフェースを実現。

●『dynabook R631』SPEC
CPU:Core i5-2467M(1.6GHz、ターボ・ブースト時最大2.3GHz)
メモリー:4GB(2GB+2GB、交換不可)
SSD:128GB
液晶ディスプレー:13.3インチワイド(1366×768ドット)
通信機能:IEEE802.11b/g/n、WiMAX、
インターフェース:USB3.0、USB2.0×2、D-Sub15ピン、HDMI、ギガビットLANなど
その他:130万画素ウェブカメラ、指紋認証センサー、インテル ワイヤレス・ディスプレイ、バックライトキーボードなど
OS:Windows7 Home Premium SP1(64ビット)
付属ソフト:Microsoft Office Home and Business 2010
バッテリー駆動時間:9時間
サイズ/重量:約316(W)×227(D)×8.3~15.9(H)mm/約1.12kg

●関連サイト
東芝

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう