2011年10月25日13時00分

“スローガンではなく、想像力をもつこと” ROVO×SYSTEM 7 勝井祐二氏インタビュー

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 SYSTEM7とのコラボレーション作品を先日発表し、話題となっているROVO。メンバーの勝井祐二氏に今回のコラボ、ならびに作品に対する想いをたっぷり伺いました。なお週刊アスキー11月8日号(10月25日発売号)では愛用品とプレイリストを掲載中。併せてチェックしてくださいね。

1025 Phoenix Rising photo02
ROVO

強いメッセージになる

――今回のROVOとSYSTEM 7のコラボレーション作品、本当に素晴らしいですね。

勝井 今回のコラボレーションには必然性があると思うんです。両方のバンドにとっても、そして日本での音楽環境も含め。今やるべきことをやっていると思います。今年は震災があり、まだ解決されていない問題がある中で、世界中の音楽ファンから尊敬されているSYSTEM 7が来日。そして僕らみたいな日本人の音楽家とコラボをし、日本から新しい音楽を発信する。これは世界に向けての強いメッセージになると思うんです。震災から時間は少し経ちましたが日本に来ることをやめた方はたくさんいますし、その中で彼らのようにあえて何度も来日し、大きなプロジェクトに向けて進んでくれる音楽家も存在する。僕らもそれを真正面から受け止めるべきだと考えているんです。

――音楽で日本再生という印象を作品から強く感じました。

勝井 アルバム名自体が『Phoenix Rising』という象徴的な言葉を使い、“不死鳥”や“再生”、“希望”を表わしていますからね。でも、その言葉を話したり、聞いたりするだけで、気が済んでしまうのは避けたい。それは思考が停止してしまうことだから。音楽はすごくイマジナリーで、いろいろ想像力に働きかけ未来をつくる存在。だから今、僕らが本当に必要なことは“スローガンではなく、想像力をもつこと”だと思うんです。なので考えることを続けるためにも、やるべき場所で、しっかりした形で僕らの演奏表現を観てもらいたい。そしてライブで音楽と意志、時間を共有したいんです。CDをつくっただけでも意味はありますが、やはりいっしょにライブをすることにさらに意味があると思いますね。生身の人間と人間で顔を合わせて時間を共有することが本当に大事なことだと考えているので。

――確かに実際に体験し時間を共有すれば多くを得ることができますし、より音楽家の意志を知りたいという気持ちにもさせられますよね。

勝井 いちばん恐いのは知ったつもりになることなんですよ。両バンドとも長く活動していますし、「だいたいあんな感じだろう」と知っているような感覚で済ませてほしくない。さっきも話しましたが、生身の人間同士、顔を合わせないとわからないことがたくさんあるから。音楽もそうだし、今日本で起こっている困難な問題についても同じだと思います。僕、音楽イベントで福島に行き、名産の桃を食べたんです。すごくおいしかったし、いろいろ考えさせられて。体験することで現実と向き合えたし、見ないとわからないと改めて強く感じたんですよ。だからこそ、演奏する姿を通して、自分たちの意志を伝えたいんです。
 

1025 Phoenix Rising photo03
SYSTEM7

曲が僕らのカラダの一部になった

――ところで、今回はROVOがSYSTEM 7の『Hinotori』をカバー、SYSTEM 7がROVOの『ECLIPSE』をREMIX。そしてオリジナル音源を収録。それぞれ、出来上がっていかがでしょうか?

勝井 今回『Hinotori』をカバーするにあたって、音楽的に意識したことはリズムですね。原曲がものすごくよくできたテクノで、一小節の中の四分音符すべてに均等にアクセントがある4つ打ちが基本なのですが、それを再現したりなぞらないようにはしました。4つ打ちとは異なるリズムにしながらも、一緒に演奏する可能性が高いので、合体したときに元のビートがあってもなくても成立するようにしたいなと考えていたんです。

――逆に自身の『ECLIPSE』をSYSTEM 7がRIMIXした感想はいかがでしょうか?

勝井 すばらしいなと思いましたね。僕らの曲は構成が複雑なのですが、構成をなぞるのではなく、僕がバイオリンで弾いているメロディーをフィーチャーしているんです。そしてギターでユニゾンし、さらにメロディーを発展させるようなギターフレーズを展開し、エンディングを迎えていて。彼らなりに広げようという意志がすごく感じられました。僕らに対する返答というか。

――返答というと?

勝井 実は僕らのほうが先にカバーをつくりSYSTEM 7に渡したんです。そのあとに彼らはRemixをつくってくれて。僕らがやったことに対して答えを返してくれているんですよ。

――すばらしいやりとりができたということですね。

勝井 そうですね。あと先日SYSTEM 7が来日した際にリハーサルをしたのですが、『Hinotori』と演奏した際、彼らからバトンのように曲を手渡された感じがしたんですよ。最初は彼らのオリジナルバージョンから始まり、だんだんROVOのカバーに変化していく。それがとてもうまくいって。「これはすごい! 今までにないようなことができたな」と思ったんです。なんだか、曲が僕らのカラダの一部になったような。だから秋のコラボツアー以降も自分たちのレパートリーとして演奏し続けたいと考えているんです。

――演奏し続けることが使命だということでしょうか?

勝井 そうですね。使命、役割だと思ったんです。

――不思議なことに曲も『Hinotori』が陽、『ECLIPSE』が陰になっていますよね。

勝井 そう、どちらの曲もタイトルの意味に生と死、しかもその後の再生を内包しているんですよね。一旦陰ったものが、また再生し元に戻っていくという。それも含めて不思議なものを感じますよね。作品のこれからも含めて。曲順も陽陰陽陰、光と影、光と影だと流れがよくて。やはり作品全体がなるべくしてそうなったんだと思いますね。

――さまざまな事象が重なり必然性を感じるこの作品、今後のライブをきっかけに、体験、共有の連鎖が起こるのがとても楽しみです。

勝井 そう、本当に連鎖のきっかけや、入り口になってほしいですよね。いろんな人に聴いて、観てほしい。今僕らがこれをやることが必ず新しいきっかけにつながるはずだと予感がしているんですよ。ようやくすべてが始まったなと、その象徴がこの作品だと思ってますね。
 

【ニューアルバム】
ROVO×SYSTEM 7ニューアルバム

『Phoenix Rising』

再生に向けての第一歩が始まる

テクノバンドSYSTEM 7とのコラボはカバーとリミックス、そしてオリジナルを収録。壮大で生死を感じる美しい音から再生が始まる予感が聴こえる。
●発売中 ●2300円 ●ワンダーグラウンド・ミュージック
 

【プロフィール】
メンバーは勝井祐二(Vin.)、山本精一(Gtr.)、芳垣安洋(Dr./Per.)、岡部洋一(Dr./Per.)、原田仁(Ba.)、益子樹(Syn.)。10月29日に京大西部講堂、11月5日に渋谷O-EASTにてROVO×SYSTEM 7コラボレートツアー“Phoenix Rising TOUR”を開催する。
●関連サイト ROVO公式HP

【SYSTEM 7プロフィール】
Steve HillageとMiquette Giraudyによるユニット。1991年より活動している。2007年に手塚治虫の『火の鳥』にインスパイアされ、アルバム『Phoenix』を発表した。
●関連サイト SYSTEM 7公式HP
 

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