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アンドロイドの存在感が増すソフトバンク 今後を占う鍵はメーカーの取り込みか?

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会場にはウルトラマンも駆けつけ、『ULTRA PHONE』に華を添えた。

 ソフトバンクモバイルは9月29日、冬春商戦向けの新端末ラインアップを発表した。主なテーマは【ULTRA PHONE】、【for Girls】、【4G】の3点だ。

 

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新製品の第一テーマは【ULTRA PHONE】。
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第二テーマは【for Girls】。
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第三テーマは【4G】。

【ULTRA PHONE】とは、“ULTRA SPEED”と呼ばれる下り最大21MbpsのHSPA+に対応したAndroid搭載スマートフォンのこと。

 HSPA+のデータ通信は、利用開始して間もない1.5GHzを利用しているため、高スループットを見込める。従来の3GであるHSDPAにも近い規格で、「カバーエリアが広い通信サービス」(ソフトバンク代表取締役社長、孫正義氏)のも特徴だ。

 ULTRA PHONEのカテゴリーに入るのは、次期AndroidOS“Ice Cream Sandwich”を採用するとみられる『AQUOS PHONE 104SH』、カメラ機能に優れた『LUMIX Phone 101P』、720×1280ドット解像度の4.5インチ液晶を搭載した『AQUOS PHONE 102SH』。このほか、女子高生や女子大生をターゲットにした『HONEY BEE 101K』も、ULTRA SPEEDに対応している。

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“Ice Cream Sandwich”に対応すると目される『AQUOS Phone 104SH』。

 一方で、孫氏が「2~3年前はマニアのものだったが、今は一般ユーザーが当たり前のように使う」と述べたように、スマートフォンの普及にともない、そのユーザー層も徐々に変化している。

 ソフトバンクのスマートフォンは、新規契約者の53パーセントを女性が占めているという。そこで、打ち出したテーマが【for Girls】だ。

 『HONEY BEE 101K』のほか、スライド式でテンキーを載型した『AQUOS PHONE 101SH』がこのカテゴリーに含まれる。発表会では、29日発表のディズニー・モバイル端末も孫氏に紹介された。

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ウィルコムで人気のあった『HONEY BEE』もスマートフォン化。
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テンキー搭載の“スマケー”は、第二弾でスライド型になった。

3つめのテーマが【4G】で、ソフトバンクは11月から『AXGP』を使った新サービスを開始する。

 AXGPとは、かつてウィルコムが開発していた“次世代PHS”の『XGP』を進化させた通信規格。中国のチャイナ・モバイルや、インドのバーティ・エアテルらが推進する『TD-LTE』という規格と「100パーセントの互換性がある」(孫氏)という。

 通信速度は下り最大110Mbps、上り最大15Mbps。このAXGPに対応したモバイルWiFiルーターが『ULTRA WiFi 4G 101SI』で、下り最大76Mbpsでの通信が可能だ。また、このルーターは、DC-HSPAやW-CDMAでも通信できる。

 なお、現時点で料金体系は未定。「2012年度末までに政令指定都市の99パーセントをカバーする」(孫氏)というタイトスケジュールのため、開始当初のエリアが広くない点には注意が必要だ。

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AXGP対応機器の第一弾は、モバイルルーター『ULTRA WiFi 4G 101SI』。
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会場でのAXGPデモの様子。下り平均105Mbpsもの速度が出ている。

 ソフトバンクモバイルは、このほかミドルレンジの『AQUOS PHONE 102SH』や、7色展開の『STAR7 009Z』、クラウドストレージと連携する『DELL STREAK PRO 101DL』を発表。従来型ケータイの『PANTONE 4 105SH』や、家庭のドアや窓に取り付けられる『みまもりホームセキュリティ 101HW』も披露した。

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『みまもりホームセキュリティ 101HW』のように、従来のケータイの枠を超える端末も発表。

 今回の発表会を取材して感じたのは、ソフトバンクの中でAndroidの重要性が増しているということ。約1年前の発表会では「あくまでもiPhoneが主力」と述べていた孫氏も、今回は「iPhoneは依然として最重要機種のひとつ」と述べるにとどまっている。

 この発言からは、同じく主力とはいえiPhoneが唯一絶対の存在ではなくなっていることがうかがえる。実際、孫氏も「販売という意味では、必ずしも積極的に売っているわけではなかった」と過去を振り返っていた。

 これに対し、冬春モデルではいち早く“Ice Ceream Sandwich”(を搭載すると思われる)端末を用意するなど、Androidでも他社を出し抜く取り組みを行なっている。ハイエンドかつ最先端OS一辺倒ではなく、女性向け端末やカラーバリエーションを充実させるなど、ラインアップ構成もバランスがいい。

 ただし、現状のラインアップは必ずしも磐石ではない。というのも、Androidの市場は依然として海外メーカーの力が強く、最新OSは『Nexus S』などのリードデバイス(お手本となる端末)を製造するサムスンなどに先行提供される。『AQUOS Phone 104SH』は、OSこそ最新になる見込みだが、発売は春ごろの予定でソフトウェアの開発にもまだ着手していないという。

 昨年の会見では「つねに最新のバージョンにこだわる」と述べていた孫氏だが、サムスンやHTC、LGエレクトロニクス、モトローラ、ソニー・エリクソンといった、“Androidに強いメーカー”を取り込めていないのは、Androidに注力する上での不安材料だ。

 サムスン、LG、ソニー・エリクソンが端末を供給するドコモや、HTC、モトローラを引き込んだauなどのライバルに対して、どのようにアドバンテージを見い出すのか、今後の展開を期待して見守りたい。

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囲み取材での孫氏。新型iPhoneについての質問には、すべて「ノーコメント」を貫いた。
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