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【山根博士緊急寄稿】WindowsPhone7.5はマイクロソフト“最後のチャンス”

2011年07月27日 18時19分更新

 7月27日、auからWindowsPhone7.5搭載スマートフォン『IS12T』が発表されました。すでに海外市場ではサムスン電子やHTCなどからWindowsPhone7製品が発売済みですが、最新バージョンのOS“7.5”を初期搭載した製品としてはこのIS12Tが世界初の製品となります。

 WindowsPhone7.5端末が日本で発売される噂はこれまでにもありましたが、まさかこの夏に、しかもauから、というのは予想していませんでした。

auは“ワクワク感”で強みを出していくとのこと
【山根博士緊急寄稿】WindowsPhone7.5はマイクロソフト"最後のチャンス"

 auはスマートフォン戦略でドコモ、ソフトバンクに大きく出遅れました。そこで積極的にAndroid端末を投入するだけではなく、“au=Android”と大きくアピールすることで、スマートフォンに強いキャリアという印象を植えつけることに成功したと言えます。また『INFOBAR A01』や『G'zOne IS11CA』など特徴のあるスマートフォンの投入ではほかのキャリアを引き離しています。

 日本の各キャリアは今年に入ってからスマートフォン戦略を大幅に強化していますが、auはAndroidという枠にこだわらず、スマートフォンのバリエーション展開を増やすという考えでWindowsPhone7.5を採用したようです。

 iPhoneやAndroidと比較してどれが優れているか、ではなくスマートフォンそのものの選択肢を増やすことが結果としてスマートフォンの利用者を増やすことにつながるとの判断なのでしょう。

 WindowsPhone7.5のユーザーインターフェースはタイル状のアイコンを使い、アプリケーションではなく情報やコンテンツそのものが、そのタイルのなかに表示される斬新なものです。今までのスマートフォンを使っているユーザーは若干最初は戸惑うかもしれませんが、難解な操作は不要なのですぐに慣れるでしょう。

 また初めてスマートフォンに乗り換えるユーザーの中には、3タイプのOSを比較してその中からWindowsPhone7.5が使いやすいと考える人もいるはずです。スマートフォン市場はまだまだ黎明期であり、フィーチャーフォンから乗り換えるユーザーがこれからどんどん増えますから、いまのこの時期にまったく新しいOSが登場することは決して“遅すぎる”とは言えません。

防水機能は日本では必須……このあたりはさすが日本製です
【山根博士緊急寄稿】WindowsPhone7.5はマイクロソフト"最後のチャンス"

 しかし日本ではいま“ガラスマ”と呼ばれる、ワンセグやおサイフ機能など日本独自の機能やサービスを搭載したスマートフォンの数が増えています。もちろんそれらを搭載しない製品も売れていますが、いずれも海外メーカーのグローバルモデルです。

 日本製品にはないデザインや使い勝手が売れている理由と考えられますが、今回auから発表されたIS12Tは日本のメーカーである富士通東芝モバイルコミュニケーションズ製になります。日本製なのにガラスマではない、というあたりが日本の消費者にとって購入をためらう理由のひとつになってしまう可能性も否定できません。

国内SNSへも対応、キャリアメールは追って対応
【山根博士緊急寄稿】WindowsPhone7.5はマイクロソフト"最後のチャンス"

 またメールの対応は当初はPCメールのみであり、EZwebメールの対応は10月上旬になるとのこと。買ってすぐにいままで使い慣れていたメールアドレスが使えないのは大きな痛手です。

 せっかくWindowsPhone7.5標準機能の“Peopleハブ”に加え、mixiなどのアプリもIS12T発売と同時にリリース予定など、国内外のSNSサービスへの対応がしっかりしているだけにEZwebメール対応の遅れは残念。

 iPhoneやAndroidと単純に比較すると、WindowsPhone7.5は優れている面も劣っている面もどちらもあります。そしてIS12Tは日本人が求める機能に一部対応していないのも事実です。それを踏まえたうえで、WindowsPhone7.5の使いやすさを端末メーカー、OSメーカー、キャリアの3者がタッグを組んで伝えていくことがIS12T成功の鍵を握ると言えそうです。

 そしてIS12Tの売れ行きがよければ、ほかのメーカーやキャリアから後続製品が次々に出てくることになるでしょう。海外メーカーのAndroidスマートフォンが国内でも販売好調であることから、IS12Tの売れゆき次第によっては、海外製のWindowsPhone7.5端末が日本向けに投入される期待も持てます。そうなればスマートフォン戦略を大転換したノキアの日本再参入もありうるかもしれません。

 一方、IS12Tの販売が不調ともなれば、日本ではWindowsPhone7.5そのものに対してネガティブな印象だけが残ってしまいます。国内第3のスマートフォン勢力として大きな存在になるか、あるいは完全に国内から撤退してしまうか、WindowsPhone7.5の道は100かゼロかの道しか残されていないように感じます。

 携帯電話利用者のほとんどが高機能端末を利用し、スマートフォンブームに沸く日本だからこそ、マイクロソフトはWindowsPhone7.5端末を世界に先駆けて投入したとも考えられます。IS12Tの販売動向は、日本市場だけではなく世界中からも注目が集まりそうです。

※ケータイ研究家山根康宏氏はケータイジャーナリスト石川温氏、週刊アスキー副編集長ACCNとともに、本日午後8時30分から予定されている、WindowsPhone発表記念Ust中継に出演します。この記事では書けなかった爆弾発言が飛び出すこと間違いなしのUst中継をぜひご覧ください!

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