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4K UHD Blu-rayやSACDの再生にも対応!!

待望かつ優れた実力の新進ディスクプレーヤー、MAGNATAR「UDP900」「UDP800」を検証

2024年04月01日 13時00分更新

 ディスク再生にこだわりたいユーザーには寂しい時代になってしまった。

 動画配信サービスの普及もあってパッケージソフトの発売は減少傾向にある。その再生に使うプレーヤーの発売も激減しており、市場に出回っている製品も実売数万円の安価な製品が中心になってしまった。4K UHD Blu-ray Discの再生自体は、BDレコーダーや最新ゲーム機でも可能だが、品質にこだわった専用機はほぼ見かけなくなっている。

MAGNETARは新しい会社だが、
ディスクプレーヤー作りのノウハウや実績は十分!

 そんな中、話題と注目を集めているブランドがMAGNETAR(マグネター)だ。2021年に中国・深センで設立された新興ブランド。その母体はDVD時代から高品位ディスクプレーヤーの製造を手掛けてきたメーカーで、ユニバーサルディスクプレーヤーを開発するためのノウハウや技術も豊富に蓄積しているという。

 とはいえ、ユニバーサルディスクプレーヤーの開発はなかなかハードルが高い取り組みである。製品に盛り込む技術そのものの更新に加えて、再生互換性を保つために各国で販売されているパッケージソフトを広く検証する必要もあり、資本規模が大きく実績のある会社でないと継続は難しい。高画質、高音質の技術だけでは参入できない分野なのだ。

 MAGNETARの輸入代理店で、国内におけるパートナーとも言えるのがエミライだ。エミライはOPPO Digital Japanとして、世界的に人気のあったOPPO Digital製のユニバーサルプレーヤーを取り扱っていた。単に輸入した製品を販売するだけでなく、ローカライズやユーザーサポート業務も担当しており、国内で流通するパッケージソフトの再生互換性をチェックしたり、日本仕様のOSD(オンスクリーンディスプレイ)の制作にも関わったとしている。

 オーディオ機器にはないビジュアル機器ならではのノウハウを持つ、ユニーバーサルプレーヤーの扱いに慣れた輸入代理店が取り扱うという点も安心感につながりそうだ。

どちらも物量投入型だが、UDP800は薄型、UDP900はよりリッチ

 ラインアップは薄型の「UDP800」(実売30万円弱)と本格的な仕様の「UDP900」(実売55万円前後)の2つ。販売は当面、専門店に絞る計画のようだ。ともに4K UHD Blu-ray Discを含む、BD/DVD/SACD/CDの再生に対応したユニバーサルディスクプレーヤーだ。SACDやDVDオーディオのマルチチャンネル再生にも対応する。また、ネットワーク機能としてDLNAのガイドラインに沿った動画/音楽コンテンツの再生も可能だ(ストリーミング系サービスは非対応)。

UDP800の前面。上下で色を変えた配色になっているのがユニーク。

UDP900の前面。こちらはさらに大胆なパターンの配色になっている。

 (後述するGUIを含む)主要機能は共通化されている。Dolby Vision、HDR10、HDR10+などに対応し、SoCはMediaTekの「MT8581」(4コア)、ドライブはソニー製でSACD対応ドライブメカを使用している。

違いが出るのは、アナログオーディオ出力や電源、シャーシ構造

 逆に違いが出るのは、アナログオーディオ出力だ。

 薄型のUDP800も、アナログ音声出力(2ch)としてバランス/アンバランスの2系統を備えるが、UDP900ではさらに8chのマルチアナログ音声出力も備えている。オーディオ出力回路の作りも大きく異なっていて、UDP800のDACチップはTI(バーブラウン)の「PCM1795」だが、UDP900はESS Technologyの「ES9038PRO」(2ch用)と「ES9028PRO」(7.1ch用)だ。

 電源もUDP800が2ステージフィルターを採用するローノイズトランス電源であるのに対して、UDP900が電源の干渉を防ぐため、メインボード用(高効率なスイッチング電源)とオーディオ回路用(低ノイズなリニアトランス電源)の電源を分けたデュアルパワーサプライとなっている。つまり、UDP900はリニア電源とスイッチング電源の2系統を分けて使っているが、UDP800はリニア電源のみということだ。

UDP800の背面。入出力端子は左からLAN、HDMI×2、UDB、同軸/光デジタル出力、RS232C、XLRバランス音声出力、RCAアンバランス音声出力、電源端子となる。

UDP900の背面。UDP800に加えて、USB DAC入力、7.1chマルチ音声出力が加わっている。

 筐体のサイズが異なっていることから分かるように、シャーシの設計も大きく変わっている。

 比べるとUDP800はスタンダードな作りだが、UDP900は振動の低減や剛性にこだわった本格的な設計のシャーシになっていて、底面部は2層構造、内部もメカ部/メインボード部/電源部/オーディオ回路部が独立した構造になっている。仕切りとなる補強板は各部のノイズ電波を遮断するシールドとしても機能する。また、UDP800のサイトパネルと天板は一枚板を折り曲げた簡素な作りだが、UDP900ではサイドパネルと天板がそれぞれ独立していて、板厚も異なるというこだわりようだ。

UDP800の底面。脚部となるインシュレーターは金属と振動吸収性を持つ樹脂を組み合わせたハイブリッド構造。

UDP900の底面。大きな違いはわかりにくいが、フロントパネルの厚みやサイドパネルとの結合方法などが異なる。

 こうした違いから見ていくと、基本的な機能は共通化しつつ、スタンダードな機能を提供するのがUDP800であり、UDP900ではよりマニアックに、ノイズ低減、振動対策を施し、画質・音質に徹底的にこだわったモデルであるのが分かるはずだ。付属リモコンもボタンの配置などは共通だが素材や配色が異なっている(自照灯のランプ色はどちらも白色)。

UDP900の天板をクローズアップ。MAGNETOARのロゴがあるほか、ネジの見えない構造で組み立てられている。

付属のリモコン。左がUDP900用で右がUDP800用。

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