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スマホ基地局を安くする ドコモとNECが世界展開する「オープンRAN」とは

2024年02月28日 12時00分更新

ソフトバンクはAIをRANの世界に持ち込む

 一方、ソフトバンクもオープンRANや仮想化の流れに乗ろうとしている。同社が積極的に絡んでいるAIをRANの世界に持ち込もうと「AI-RANアライアンス」という団体のボードメンバーになったのだ。

 基地局の設備を単に無線ネットワークを稼働させるだけでなく、AIを推論できるようにアップデートさせていく。これにより、ネットワークのトラフィックが多い昼間は基地局として稼働しつつ、トラフィックが落ちる夜間は基地局としての役目を減らしつつ、余っている処理能力をAIの推論などに回す運用を目指すものだ。

 キャリアのネットワークというセキュリティの高い設備でAIを処理することで低遅延で高速通信を組み合わせたAI処理を提供できるようになるという。

 AI-RANアライアンスのボードメンバーにはエリクソン、ノキア、サムスン電子といった既存ベンダーからAWSやNVIDIA、マイクロソフトといったAIに強い会社が名を連ねている。 

乗り換えコストの高さが課題に

 ただ、オープンRANや完全仮想化ネットワークは世界の通信事業者から関心は高いのだが、なかなか導入に踏み切るところがないというのが現状だ。

 やはり、すでに安定的に運用されているネットワークから乗り換えるというのは相当、ハードルが高いのだろう。

 楽天モバイルや1&1のように新規参入でネットワークを新たに立ち上げるのであれば、むしろ、安価に構築できるということもあり、導入しやすいのだが、すでに稼働しているネットワークを持つ通信事業者としては及び腰になりがちだ。

 設備を切り替えることでどれだけコストを下げられるのか、またAIを活用することで、新たな収益源を確保できるのかを証明できるかが、普及のカギとなってきそうだ。

 

筆者紹介――石川 温(いしかわ つつむ)

 スマホ/ケータイジャーナリスト。「日経TRENDY」の編集記者を経て、2003年にジャーナリストとして独立。ケータイ業界の動向を報じる記事を雑誌、ウェブなどに発表。『仕事の能率を上げる最強最速のスマホ&パソコン活用術』(朝日新聞)『未来IT図解 これからの5Gビジネス』(MdN)など、著書多数。

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