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話題のPalworldもフルHDで90fpsに迫る性能!

環境によってはGTX 1650に匹敵!?Ryzen 7 8700G&Ryzen 5 8600Gの実力は脅威

2024年01月29日 23時00分更新

Phoenix 1とPhoenix 2で足回りの仕様が異なる

 まずはRyzen 8000Gシリーズのスペックを確認しておこう。CPUにZen 4、GPUにRDNA 3という構成が最大の特徴だが、これはモバイル版のRyzen 7000シリーズがルーツとなる。つまりダイの構成は既存のRyzen 7000シリーズのチップレット構造(5nm CCD+6nmm IOD)ではなく4nmのモノリシックダイとなっている。

 全モデルTDPは65W、動作クロックは同コア数&同TDPのRyzen 7000よりやや低め。さらにL3キャッシュがRyzen 7000シリーズの半分、といったところが注目すべきポイントだ。全モデルがOC可能であり、PBO(Precision Boost Overdrive)も利用できる。

 Ryzen 8000GシリーズはPCI Expressの規格がGen4どまりであるという点にひっかかりを覚える人もいるだろう。ただPCI Express Gen5接続のRadeonやGeForceはまだ出ていないし、Gen5接続のSSDは発熱面で扱いにくい。Gen5でなければならないという人でなければ、Ryzen 8000Gシリーズでも十分なパフォーマンスは得られる。

 この点から、マザーボードはPCI Express Gen5をフルに使うことが前提のハイエンド系(X670EやX670)ではなく、PCI Express Gen4どまりのB650やA620といった廉価版チップセットをオススメしたい(別にX670Eでも問題なく使える)。

 そしてRyzen 8000Gシリーズを理解する上で重要なのが、上下2モデルでスペックが大きく違う、ということだ。Ryzen 8000Gシリーズの開発コードは“Phoenix”となっているが、上位2モデルが“Phoenix 1”、下位2モデルが“Phoenix 2”となる。

 Phoenix 1は全コアがZen 4で構成されているのに対し、Phoenix 2はZen 4とZen 4cのハイブリッド構成を採用する。Zen 4cはブーストクロックも低いためZen 4cコアが多いほどCPU性能は控えめになる。

 またRyzen 8000Gシリーズの目玉であるAI処理専用のユニット“Ryzen AI NPU”については、Phoenix 1ベースの上位2モデルにしか搭載されない点は注意が必要だ。

Ryzen 8000Gシリーズと、その近傍の製品とのスペック比較。PCI Expressのレーン数はユーザー側で利用可能なものだけをカウントしている

Ryzen 7 8700Gの情報:「CPU-Z」で情報を取得。L3キャッシュは16MBである

Ryzen 5 8600Gの情報:L3キャッシュはコアあたりではなくCCX単位で決まるため、こちらの方がコア当たりのL3キャッシュ量は多い

 内蔵GPUは上位モデルほどCU(Compute Unit)の多い内蔵GPUが割り当てられている。Ryzen 7 8700Gには「Radeon 780M」、Ryzen 5 8600Gには「Radeon 760M」が組み込まれるが、CU数はそれぞれ12基/8基と回路規模にかなりの開きがある。ゲーム性能を重視するなら言うまでもなくRyzen 7 8700G一択だ。Phoenix 2ベースのRyzen 5 8500Gになると、もはやRyzen 7000シリーズと大差無いCU数になる。こうなるとゲーム用には厳しいだろう。

 また、GPU内蔵エンコーダーはRadeon RX 7000シリーズと共通であるため、最下位のRyzen 3 8300GであってもAV1のハードウェアエンコードに対応している。

Ryzen 7 8700Gの内蔵GPU:「GPU-Z」で情報を取得。Radeon 780Mが搭載されている。内部的にはPCI Express Gen4 x16で接続されているようだ

Ryzen 5 8600Gの内蔵GPU:こちらはRadeon 760Mとなる。Shader数(CUの中に入っている回路)が780Mより少ないだけでなく、ROPやTMU(テクスチャーユニット)も780Mより削られている

 Ryzen 8000Gシリーズの内蔵GPUがRDNA 3になったことで描画性能は従来のAPUより格段に上となるが、それ以上に重要なのはRadeon専用のフレーム生成技術「AFMF(AMD Fluid Motion Frames)」が利用できるという点だ。

 とはいえ内蔵GPUなので画質は低~最低設定、解像度はフルHDまでが性能的な限界だが、内蔵GPUだけでここまでできるのは衝撃的だ。ある程度の画質劣化も伴うがFSR 2(FidelityFX Super Resolution 2)やRSR(Radeon Super Resolution)、ないしはHYPR-RXを併用することで、さらにフレームレートを絞り出せるだろう。

Radeon 780Mや760MはRDNA 3ベースであるため、Radeon Software上でAFMFを有効化すれば、ゲームのフレームレートを大幅に引き上げられる。AFMFが逆効果なゲームもあるため、Radeon Softwareでゲーム毎にオン・オフするとよい

 ゲームをプレイしていて内蔵GPUの性能に限界を感じたら、ビデオカードを別途装着することで描画性能を上げられる。Ryzen 8000Gシリーズの場合、ディスクリートのGPU(ビデオカードのGPU)と接続するPCI Expressのレーン数が、前述のPhoenix 1か2かという問題にリンクする。

 Phoenix 1の場合レーン数は、ディスクリートGPU用である8レーン+CPU直結のM.2スロット用の4レーン×2で合計16レーンだが、Phoenix 2の場合はディスクリートGPU用である4レーン+M.2スロット用の4レーン+2レーンで合計10レーン構成となる。

 PCI Express Gen4 x16接続のビデオカードをx8に絞ってもほとんど性能は変わらないが、x16をx4に絞ると性能への影響は避けられない。将来ビデオカードを増設する可能性を考慮するなら、Phoenix 2ベースのRyzen 5 8500Gは避け、Phoenix 1ベースのRyzen 5 8600GやRyzen 7 8700Gを選ぶべきだろう。

Ryzen 7 8700G(左下のRadeon 780Mに注目)環境にRadeon RX 7800 XT(RX 7800 XT)を組み合わせた状態でのGPU-Z。Bus Interface欄を見ると「PCIe x16 4.0@x8 4.0」、つまりGen4のx16接続であるRX 7800 XTが、Ryzen側の制限によりGen4のx8接続でリンクしていると示されている

GIGABYTE「X670E AORUS MASTER」のマニュアルより引用。ビデオカード用のx16スロットはPhoenix 1ではGen4 x8接続だが、Phoenix 2ではGen4 x4接続となると記述されている

同様にCPU直結のM.2スロットに関しても、Ryzen 8000GシリーズはGen4接続となる事に加え、下位のPhoenix 2ベースの製品では片方のM.2スロットがx2接続となる。ただし、CPU直結のM.2スロットが1本しかないマザーボードで運用する場合は、x4×2とx4+x2の差異は意味をなさない(片方しか使えない)点にも注意したい

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