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生成AI、学習時の著作権使用料は“支払い義務なし”の可能性が有力に?

2023年11月27日 07時00分更新

生成AI規制は「表現の自由」めぐる議論に

 ルール作りが進む一方、生成AIによってもたらされる社会が抱えるリスクに対してはどのように対処していけばいいでしょうか。

 生成AIの強みは、文章であれ画像であれ、何と言っても人間が作るペースよりも、速く量を生成できることです。しかし、量を理由として生成AIでの表現規制をすると、結果的に他の「表現の自由」の規制へと派生していかざるをえません。

 たとえばフェイクニュースは、現在の法制度の枠組みでも、違法と考えることができるものであり、AIだからという理由で新規に取り締まる法律を作るのではなく、現状の法制度の運用で対応することが重要だと思われます。

 また、生成AIに絞って著作権法上の特別な制限を加えるべきという考えは「著作者がもつ権利を保護するとともに、著作物の公正な利用を確保することで、文化の発展に貢献する」という著作権法の意図からも大きく逸脱しているとも言えます。

 ただ、それではリスクを絞りきれないので予防措置をするべきだとするEU型の考え方と、大きなリスクのみ政府が関わり多くは民間企業の改善に任せようとするアメリカ的な考えとは、今後も日本国内でも綱引きが続くのだろうと思われます。

 

筆者紹介:新清士(しんきよし)

1970年生まれ。株式会社AI Frog Interactive代表。デジタルハリウッド大学大学院教授。慶應義塾大学商学部及び環境情報学部卒。ゲームジャーナリストとして活躍後、VRマルチプレイ剣戟アクションゲーム「ソード・オブ・ガルガンチュア」の開発を主導。現在は、新作のインディゲームの開発をしている。著書に『メタバースビジネス覇権戦争』(NHK出版新書)がある。

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