折りたたみスマホは極寒の環境で使ってはいけない?
寒い室内では水冷PCの水が凍ることも
バッテリー以外を見てみると、折りたたみスマホのディスプレーが初期のモデルで寒さに弱く、非常に寒い環境下で折りたたんだときに破損する現象がユーザーによって報告されている。サムスンの機種では「Galaxy Z Fold」「Galaxy Z Flip」がそうで、マニュアルには「0~35度の環境で利用でき、マイナス10~50度の環境で放置していて問題がない」旨が書かれている。破損はさらに寒い環境下で発生した。
ファーウェイの折りたたみスマホ「HUAWEI Mate X」の注意書きでも、やはり「マイナス5度以下の気温で折り曲げないでください」という表記があり、東北三省の人々に衝撃を与えた。「HUAWEI Mate Xs 2」では対応温度が5度拡大しており、「マイナス10度以下(以下同)」になっていることが確認できる。
その後のファーウェイ製品ではこうした記載は見なくなったが、Honorが今年発表した「Honor V Purse」では同じ注意書きが確認できる。寒冷地で折りたたみスマホを利用しようと購入を検討してるなら、しっかり下調べするのが得策だろう。
さらに小ネタだが、寒冷地あるあるを調べたところ、「暖房が効いてない室内では水冷PCの水が凍る」「有線イヤホンをつけて外出するとケーブルが凍って固まる」「家庭用ネットワークカメラを外に設置すると稼働しない(業務用はこの限りではない)」「MP3プレーヤーが壊れる」「シェアサイクルが冬を前に業者に回収される」といった話が出る。
自転車が街から消える一方で、フードデリバリーについては稼働が増える。他の地域では配達時間に厳格だが、寒冷地ではシステム側での時間に余裕を持たせたり、配送拠点でドライバー向けにスマホ用のカイロをはじめとした防寒具やモバイルバッテリーを提供するなどしているようだ。
厳しい寒さに襲われる中国東北地方の冬場は、IT機器への影響も大きく、他地域より不便を強いられていた。しかし、研究開発を重ね年々少しずつ普通に使えるようになっている。スマホがそうだったように、EVもいずれは改善されそうだ。
山谷剛史(やまやたけし)
フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で、一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。書籍では「中国のインターネット史 ワールドワイドウェブからの独立」、「中国のITは新型コロナウイルスにどのように反撃したのか? 中国式災害対策技術読本」(星海社新書)、「中国S級B級論 発展途上と最先端が混在する国」(さくら舎)などを執筆。最新著作は「移民時代の異国飯」(星海社新書、Amazon.co.jpへのリンク)
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