まず蓄光・発光パワーに驚いた!
新品ブラックベイ プロに見た進化する機能性
洞窟探検冒険腕時計とは言っても40年以上昔の1655に夜光塗料(トリチウム)の効果は100%期待できないのは当然だった。しかし新品のブラックベイ プロはその効果は大きく、正直驚いた。夜、ダイニングテーブル上に置いたブラックベイ プロの真上に位置するLEDシーリングライトを消した瞬間、3時位置(日付)を除く11個のアワーマーカーと4本の針が圧倒的な蓄光力で輝き始めた。当然だがアンティークの1655では一度もお目にかかったことのない光景だった。
ブラックベイ プロのアワーマーカーを接写拡大すると分かるが、逆三角形の12時、スリムでスクエアな6時、9時以外は円形で全て厚みのある立体的な発光セラミック(セラミックス+ルミノバ)を採用したデザインだ。これにより文字盤上の光量を増加させている。また針とマーカーは純白ではない少しエイジングされたようなマット仕上げの優しいオフホワイト。これらの相乗効果で1655に比べて効果の高い視認性の向上をもたらしている。
通称「デカバラ」と呼ばれたアンティークなチューダーの腕時計では、リュウズや裏ブタにはロレックスのアイコンである「時計職人の5本指」と共に大きな文字で「ORIGINAL OYSTER CASE BY ROLEX GENEVA」と記されているものが多い。今回のブラックベイ プロでは、自社オリジナルのキャリバー(ムーブメント)を採用していることが明快に記述されている。
またブラックベイ プロの大きなリュウズには、チューダー家の家紋である「チューダーローズ」をデザインし、アイコン化されたバラが採用されている。筆者のアンティークチューダー腕時計の12時のマーカーとして採用されている「バラ」とほぼ同じイメージのモノだ。ダイアル上の12時位置とブレスレットのロック部分に採用された、チューダーの新しいモチーフである「盾」と「バラ」の共存は素晴らしい。
新世代のブラックベイ プロは、ブレスレットのオーナーへの最適化も進化している。ポリッシュ&サテン仕上げの肉厚のスチール製リベットブレスレットは、ダブルロック機構の採用と相まって腕への装着性能が高く装着・脱着は簡単確実だ。
そして何よりオーナーに便利なのは「T-fit」アジャスティングシステムと呼ばれる、工具不要でできるセルフサイズ調整機能だ。オーナーは簡単な操作で、ブレスレットの長さを5段階、合計8mmまで瞬時に調節することができる。
T-fitを中間位置にセットした後、マイナスドライバーを使ってコマを取り外してピッタリサイズに調整しても、季節によって変化する腕への装着感を簡単に前後4mmまでなら最適化できる。乾燥した冬、湿気の多い夏に、その日の気分で工具なしにブレスレットの長さを調節できる機能は素晴らしい。
約15年使った1655を断捨離して買い替えたチューダーブラックベイ プロ(79470)をここ1ヵ月ほど毎日楽しく愛用している。39mmの比較的コンパクトなベゼルサイズ、実測163gの重量、数回やったマニュアル測定で日差3秒+、自動巻き70時間のパワーリザーブ、660ft(200m)の防水、まだ海外に行けていないので実際には試せていないGMT機能、全てが1655の延長線上に位置する洗練された機能感覚だ。
どうも筆者はロレックス エクスプローラーII(1655)が好きというより、色味の異なる一番長いGMT針を含め4本針の腕時計が、好きなのかもしれない。そういう意味ではロレックスバブルの現代に市場性の高い腕時計を断捨離して、世界中にまだまだ一杯ある素晴らしい4本針腕時計を楽しむにはベストなタイミングだったと言えるだろう。
今回の衝動買い
・アイテム:チューダー「ブラックベイ プロ」
・購入:ジャックロード(中野ブロードウェイ)
・価格:54万7800円
T教授
日本IBMでThinkPadのブランド戦略や製品企画を担当。国立大芸術文化学部教授に転職するも1年で迷走。現在はパートタイマーで、熱中小学校 用務員。「他力創発」をエンジンとする「Thinking Power Project」の商品企画員であり、衝動買いの達人。
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