基本性能は大きく変わらない
Steam Deckの新モデルとなれば、性能アップへの期待が高まらないはずはない。だがこのSteam Deck OLEDに「Ryzen Zシリーズ」のような新世代SoCの採用はない。SoCはCPUがZen 2の4コア/8スレッド、GPUがRDNA 2ベースの8CU(Compute Unit)と、Steam Deck LCDのSoCから変更はない。
メモリーはLPDDR5-5500からLPDDR5-6400に強化されている。SoCのスペックが据え置かれたのはコストの問題もあるが、Steam Deck LCDとOLEDでSoC性能を変えないことで、ゲーム開発者がSteam Deck向けにチューニングをする際の作業負担を減らしすことを目的としている。性能も重要だが、別の方面でより良いエクスペリエンスを提供する、というのがSteam Deck OLED設計の狙いいだ。
そのエクスペリエンスとはバッテリー駆動時間や発熱の改善だ。Steam Deck OLEDのSoCはプロセスルールを7nmから6nmにシュリンクすることで、LCD版のSoCよりも省電力かつ低発熱動作を可能にした。
さらにSteam DeckのSoCはSteamOSでは使わない不要な回路(DSPなど)を除去し調達コストを下げているという。同じSoCとは言うものの、シリコンレベルでは着実に進歩しているのだ。
SoCのプロセスルールを6nmにシュリンクしたことでSoCの低発熱化と低消費電力化という2つのメリットが生まれた。特に後者のメリットは大きく、Steam Deck OLEDではバッテリーの持続時間がLCD版に比べ30~50%向上しているとValveは謳っている。
バッテリーの占有面積はさほど変化していないが、容量も40Whrから50Whwに拡張されており、バッテリー駆動時間延長に大きく貢献している。バッテリー駆動時間は携帯型ゲーム機の生命線であるだけに、このアップデートは多いに歓迎すべきものだ。
OLEDはバッテリー駆動時間延長や軽量化にも貢献
Steam Deck OLEDのディスプレーは“ゲームの本来あるべき姿を楽しむ”ためのものだとValveは語っている。今やSteamで配信されている著名タイトルの多くはHDRに対応しているため、Steam Deck OLEDを使うことでゲーム開発者が本来見せたかった表現で楽しむことが可能になる(これは画質が伴っての話ではと思うのだが……)。
Steam Deck OLEDで採用されたOLEDは解像度こそ1280×800ドットのままだが、最大輝度1000nitのHDR表示に対応しただけでなく、リフレッシュレートが最大90Hz対応、表示エリアも7.4インチに拡大したことでLCD版よりも華やかかつ滑らかな画面表示が可能となった。リフレッシュレートを90Hzにとどめた理由はコストのほかに、現状のSoCのパフォーマンスを考慮した上のことだ。
OLEDの採用はバッテリー駆動時間にも良い影響を与えている。パネル自体が省電力であるほか、パネルアセンブリーが薄型化したことでバッテリー容積も増やせるようになった。Steam Deck OLEDの重量はLCD版よりも30g軽いが、OLEDの採用も軽量化に一役買っているようだ。
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