iPhone 15 ProでApple Musicのロスレス楽曲を聴いてみた
B&WのPx7 S2eほど、音質のレベルとノイズキャンセリング機能による遮音性能が高いヘッドホンで聴けばロスレス再生の醍醐味がよくわかります。先に触れたロスレスオーディオ設定のオン・オフを切り換えながら、YOASOBIの楽曲『たぶん』を聴き比べてみました。音楽の情報量の違いに意識を向けてみると、ロスレス再生の方がボーカルや楽器の音像が力強く描かれます。空間に立体感が生まれ、奥行き方向に音場の見晴らしが生まれます。そしてロスレスの方が低音の肉付きがふくよかで、質感が滑らかになります。ロスレスをオフにすると、Cメロの箇所のエレキベースのテクスチャーがざらっとしてきます。B&Wのヘッドホン以外で聴いても、比較的再現性が高い箇所だと思いますので、機会があれば気にしながら聴いてみてください。
この連載で先日取り上げた「Beats Studio Pro」も、iPhoneにUSBケーブルで接続して最大48kHz/24bitまでのロスレス再生が楽しめます。本機の場合はUSB接続にするとノイズキャンセリングと外部音取り込みモードがオフになる仕様であることから、ノイキャンを効かせたまま聴けるPx7 S2eとは雰囲気の違うサウンドになります。USB接続によるロスレス再生も、対応するヘッドホンによって異なるサウンドキャラクターが楽しめるものです。
日本国内でロスレスのコンテンツが聴ける音楽配信サービスには、Apple Musicのほかに代表格としてAmazon Music Unlimitedもあります。iOS版アプリで聴く場合はアプリの「設定」から「ストリーミング設定」を開いて、Wi-Fi接続時とモバイルデータ通信時の音質を選びます。「HD/Ultra HD」を選択すると対応する楽曲がロスレス以上の音質になります。楽曲の再生画面にあるHD/Ultra HDアイコンをタップすると、楽曲の元の音質や、iPhone 15 ProとUSBケーブルで接続されているヘッドホンに届く段階までの音質がどうなっているのかが確認できます。
2020年12月にアップルが発売したワイヤレスヘッドホン「AirPods Max」にも、iPhone 15ファミリーとのUSBデジタル接続によるロスレス/ハイレゾロスレス再生への対応が待望されています。筆者はそれが遠くない将来に、モデルチェンジによって実現するのではないかと見ていますが、その日が来たらライバルのヘッドホンともぜひ聴き比べてみたいと思います。
製品ジャンル | ワイヤレスヘッドホン |
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ブランド | B&W |
製品名 | Px7 S2e |
実売価格 | 6万円前後 |
形式 | 密閉 |
ドライバー | 40mm口径 ダイナミック型 |
Bluetooth | aptX Adaptive/aptX HD/aptX/AAC/SBC |
連続再生時間 | 約30時間 |
質量 | 約307g |
筆者紹介――山本 敦
オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。取材対象はITからオーディオ・ビジュアルまで、スマート・エレクトロニクスに精通する。ヘッドホン、イヤホンは毎年300機を超える新製品を体験する。国内外のスタートアップによる製品、サービスの取材、インタビューなども数多く手がける。
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