週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

新型ロータリーエンジンを組み立てる匠は3名! 工場のデジタル化と職人の合わせ技で完成する

2023年09月14日 11時00分更新

◆エンジンは発電、モーターは駆動に使われる

ロータリー

8C型ロータリーエンジン

ロータリー

MX-30 Rotary-EVのPHEVユニット構造図

ロータリー

実際に組み込まれた様子

 それでは今回復活したロータリーエンジン「8C」を見てみましょう。8Cは前出のとおり、PHEVユニットの発電用として完全新規設計されたエンジンで、動力はジェネレーターの発電用に用いられます。いわゆるシリーズハイブリッド動作のため、エンジンから生まれた動力が駆動輪に伝わることはありません。

ロータリー

8Cの説明スライド

 8C型は、排気量830ccの自然吸気1ローターで構成。最高出力は53kW(71馬力/4500回転)、最大トルクは112N・m(4500回転)を発生します。マツダが市販車で1ローターのエンジンを搭載するのは初めてのこと(軽自動車の排気量が360ccだった頃に1ローターの3Aエンジンを開発していたことはあるようです)。一方で、1ローターあたり830ccという排気量もロータリー搭載市販車では過去最大。ついでに申し上げると、ロータリーエンジンを横置きにマウントするのも初のこと。まさに「異例づくし」であり、それゆえ「新時代のロータリーエンジン」といえます。

ロータリー

13Bの主要部品

 RX-8に搭載されていた13B-MSP RENESIS(13B型)と比較してみましょう。13Bは排気量654ccのロータリーを直列に2個繋げた総排気量1308ccとしたエンジンで、その起源は1973年のマツダ・ルーチェにまで遡ります。

ロータリー

上が8C、下が13B。8Cの方が薄いことがわかる

ロータリー

左が8C、右が13B。ローターの大きさは、そのまま排気量につながる

 8Cのローターの厚みは13Bに比べて4mm薄いものの、創成半径は13Bの105mmから大幅に拡大した120mm。これは1ローターあたりの排気量を大きくしたことによるもの。エンジニアによると「1ローターでジェネレーターを動かすために必要だった」とのこと。

ロータリー

MX-30 Rotary-EVのパワーメーター

 ロータリーエンジンというと、モーターフィールにたとえられるように際限なく回るエンジンというイメージを受ける方が多いでしょう。ですが1ローターであることと、今回は発電用途のため、普段は最も効率のよい2500回転付近で駆動するように設計されているとのこと。レブリミットは4700回転前後だそうで、回転数が低いのは単気筒のレシプロエンジンと似ています。ちなみに高速道路などでは4500回転まで回ることがあるそうです。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります