チップセット、メモリー、M.2をまんべんなく冷やせる
次はベンチマークの「UL Procyon」を使用していこう。テストは「Adobe Premiere Pro」を用いて動画編集する「UL Procyon Video Editing Benchmark」を利用。1時間30分近い処理の後半30分から平均値と最高値を取得した。
CPU温度に違いはなく、MOS温度がなぜか上昇といった傾向は「Cinebench R23」と同じだが、PCHや、DDR5メモリー、M.2 SSDでエアフローの効果を確認でき、平均、最高値ともにダウンしている。また、Adobe Premiere Proは処理にGPUも使われるので、GPUコア温度の「GPU Temperature」を確認したが、こちらには大きな差はみられなかった。
1時間以上連続して負荷がかかる高負荷ベンチマークになるが、フロントファンは最低回転率の50%となる1100rpm台で推移していた。それでもPCH、DDR5メモリー、M.2 SSDといった箇所の温度をしっかりと下げているのがポイントだ。
重量級のゲームプレイでもしっかりと冷却できる
最後は「3DMark」のストレステストとヘビー級ゲームタイトル「Cyberpunk 2077」実行時をみていこう。
まずは20分近く実行される「Speed Way Stress Test」だ。これまでの各部分の温度に加え、ビデオカードまわりのGPUメモリー温度「GPU Memory Junction Temperature」と、GPUコア内で最も高い温度「GPU Hot Spot Temperature」、GPUファン回転数「GPU Fan1」「GPU Fan2」を追加で抽出している。
これまで大きな差がみられなかったCPU温度だが、CPUへの負荷は高くても20~30%と低いため、平均、最高値で約6度ダウンしている。肝心のGPUまわりは、ファンを停止した状態とは誤差の範疇ではあるが、GPUクーラーのファン回転数を含め下がる傾向はみられる。
続けて、「Cyberpunk 2077」を1時間程度プレイし、後半30分間の数値を取得した。
「Speed Way Stress Test」と違い、CPU負荷は最大で60%台、総スレッド平均20%台になるためか、「UL Procyon Video Editing Benchmark」と同じく差はなくなっている。そのほか、System、PCH、DDR5メモリーはここまでと同じくエアフローの効果で温度はダウンするが、残念ながらビデオカードまわりの温度に、大きな差はみられなかった。
自作心をくすぐるLian Li「LANCOOL 216」は
ファンコントロールを楽しめる人には最高のおもちゃになる
最大の特徴である高エアフローの効果は、絶大というわけではなかったが、回転数制御下ではエンコードやゲーミングなどの高負荷時でも、動作音が気にならない低速回転域で動作していたのはいい感じだ。
もちろん、CPUがフルロードされる作業では、ラジエーターファンの動作音で意味なくなるのだが、そこはPL1/PL2の電力カスタマイズ次第だろう。実際のところ、今回のテストでは「LANCOOL 216」の真価はまだまだ見えてこない。
Core i9-13900のPL1/PL2とともに、ラジエーターファンの回転数をカスタマイズして静音指向のパーツ構成にしてみたりと、さまざまな方向性に対応できそうな点は高評価だ。
ゲーミング特化で、GPU温度でのフロントファンコントロールにして、フロントファンの回転数を70~80%で固定、さらにボトムにもファンを追加し、なるべくケース内温度を室温に近づけてみたりするのもおもしろい。
空冷CPUクーラーを組み合わせたうえ、冷却できる消費電力に調節して静音重視を目指すのもいいだろう。
筆者お気に入りの「Define 7」と同じ組みやすさを有し、構成を選ばない拡張性を合わせ持つ「LANCOOL 216」のコスパは抜群と言える。
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