「トランジション」を意識した撮影テクニックを覚えよう
動画制作では、カットとカットのつながりをどのように演出するかが重要なポイント。この効果を「トランジション」と呼び、撮影するときからシーンのつながりを意識しておくと、編集時の作業の幅が広がるだろう。ここからは、トランジションを意識した撮影テクニックについて紹介していこう。
【ワイプトランジション】
これは、ある場所から別の場所に移動する際に最適な方法だ。例えば、壁や柱など、風景内の何かがレンズ(画面)を覆うまでカメラをパン(または横移動)して撮影を終え、続くカットは、レンズ(画面)が覆われている状態から撮影を開始し、同じ方向にパン(横移動)して撮影を続けるというもの。
下のサンプル動画の場合、1つ目のカットは横移動で柱まで撮影し、2つ目のカットは看板から同じ方向に移動して運河を撮影している。1つ目のカットは柱で終え、2つ目のカットにつなげると、場面がシームレスにつながっているようになる。つなぎ部分の色合いを近づけると、きれいに仕上げられる。
【スムーズトランジション】
こちらは、カットとカットをスムーズな動きでつなぐトランジション。非常にシンプルだが使い勝手がよく、海外のクリエイターにも多用されているテクニックだ。このトランジションを使う場合は、1つ目のカットではカメラを素早く振って撮影を終え、2つ目のカットはそれと同じ方向にカメラを振ってから被写体を捉えるようにする。こうして撮影したカットをつなぐと、非常に動きのあるシーンを演出できるのだ。
注意点としては、2つのカットのつなぎ部分は同じような色や明るさで撮ること。1つ目のカットの終わりが黒で、2つ目のカットの終わりが白だと違和感が出てしまう。下のサンプル動画では、葉や木々を使ってみた。どちらも同じような色味なので、シーンのつなぎで違和感を感じない仕上がりになっている。
【イン/アウトトランジション】
1つ目のカットで被写体などをフレームいっぱい(真っ暗)になるまで寄ってから撮影を終え、2つ目のカットは、フレームいっぱいに寄った状態からカメラを動かして撮影を続ける方法。異なる場所やシーンへの移動をスムーズに表現できる。この撮影の場合も、2つのカットのつなぎ部分は同じような色や明るさで撮るとスムーズにつなげられる。
【スカイホイップ】
「スカイホイップ」は、カメラを素早く空や地面などの方向に振ることで、次のシーンに移行する手法のこと。1つ目のカットの最後にカメラを素早く空や地面の方向に振る。そして、2つ目のカットは同じ方向からカメラを振り下げる(または振り上げる)動きで開始する。これにより、2つの異なるシーンが、滑らかで自然につなげられる。つなぎの場面は、やはり同じような色合いにする必要がある。
このトランジションは、バラエティ番組やミュージックビデオなどでよく見られるテクニックで、視聴者にダイナミックな印象を与えられる。青空または曇り空のときに撮影するのが好ましいだろう。
あまり考えすぎずに、まずはとにかくいろいろと試そう
ここまでさまざまな撮影テクニックを紹介してきたが、たくさんあるために、どれを使ったらいいのか迷ってしまうだろう。だが肝心なのは、とにかくいろいろな撮影方法を試してみることだ。
実際に撮影してみると、想像していたよりもはるかにいいカットが撮れる場合もあるし、思ったほどいい感じにならないこともある。また、イマイチだと思っていたカットが、別のカットと組み合わせて編集したら、非常に効果的だったということもある。まずは、数をこなすことが、上達への第一歩だ。
今回、初歩的なカメラワークや撮影方法を中心に取り上げたが、撮影技法はこれ以外にもたくさんある。そんな中で、まずは基本を押さえておくことが何よりも大事。よく使われるものばかりなので、どんどん活用してみてほしい。
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