G-Master Hydro Z790 Mini/D4をレビュー
120mmラジエーターでも大丈夫? 13700K&RTX 4070 Tiのデュアル水冷ゲーミングPCで検証
PL2を160Wに絞って安定動作を実現
検証の前に、インテルCPUにおける電力設定をおさらいしよう。まずは、短時間で終える処理向けの「最大ターボパワー」。「PL2」と表記されることが多く、UEFIでは「Short Duration Power Limit」という項目で設定されている。基本的には、どのアプリでもまずは最大性能となるこのPL2で動作する。
そして、その処理がある一定時間続く場合は、「プロセッサーのベースパワー」という電力制限に移行する。こちらは「PL1」と呼び、UEFIでは「Long Duration Power Limit」という項目名になっていることが多い。Core i7-13700Kの場合、インテルの推奨設定はPL1が125W、PL2が253Wとなる。ただし、実際にどの値に設定するかはメーカーに託されており、必ずしも推奨設定である必要はない。
では、G-Master Hydro Z790 Mini/D4はどのような設定になっているのか、モニタリングツール「HWiNFO64 Pro」でチェックしてみよう。
PL1はインテルの推奨設定と同じ125Wだったが、PL2は大幅に低い160Wに設定されていた。電力設定を下げれば、当然想定よりもCPU性能が下がる可能性がある。そこで、CPUの最大性能がわかる「CINEBENCH R23」を使って確かめてみることにした。
このベンチマークソフトは、CGレンダリング速度からCPU性能を測るもの。テストは全コアを使用する「Multi Core」と、1コアだけ使用する「Single Core」がある。Multi CoreテストはCPUの最大性能、Single Coreテストは1コアあたりのピーク性能がわかる。なお、スコアーは独自の「pts」という単位で表示される。
Multi Coreテストのスコアーが25038pts、Single Coreテストのスコアーが2131ptsとなった。参考までに、同じくCore i7-13700Kを搭載した静音ゲーミングPC「Silent-Master NEO Z790/D5」(PL1:125W、PL2:253W)のスコアーを振り返ると、Multi Coreテストが25905pts、Single Coreテストが2133ptsだった。
G-Master Hydro Z790 Mini/D4では、PL2の設定が低いぶんMulti Coreテストの性能が下がっていたが、その差は3%ちょっとしかなく、体感ではまずわからないレベル。Single Coreテストでは性能が拮抗していることからも、インテル推奨設定のPCと比べて性能差はほぼないと言って良さそうだ。
とはいえ、CPUの温度は気になるところ。もし余裕があれば、PL2の設定を160Wからさらに高くできる可能性があるからだ。そこで、CPUの温度と消費電力がどう変化していたのか見てみよう。引き続き、HWiNFO64 Proでチェックし、CPUの温度は「CPU Package」、消費電力は「CPU Package Power」の値を採用している。
CPUのパッケージ温度は序盤のPL2動作時は急激に上昇。PL1に切り替わる直前には80度を超えているものの、まだ少し余裕がある状態だ。PL1動作に移行すると70度近くまで下落。その後、74度前後で安定していた。
消費電力も設定通り、最初はPL2の160Wで動作し、その後PL1の125Wで安定していた。もし冷却が間に合わないようなら動作クロックが下がるので、消費電力も下がっているはずだ。その変化がほぼないことからも、120mmサイズのラジエーターでも冷却が十分間に合っているということがわかる。
ちなみに、CPUのパッケージ温度は危険水域まであと10度くらいは余裕がある。それだけに、PL1は140W、PL2は180Wくらいまで上げても大丈夫かもしれない。ただし、その場合はファンの回転数が上昇するため、静音性は多少犠牲になってしまうだろう。
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