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【後編】CVTE社ロングインタビュー&本社ラボ写真公開

従業員6000名の6割超がエンジニア! CVTE社が会社にプールや保育施設を設置する理由

2023年11月06日 11時00分更新

文● 二瓶朗 編集●ASCII
提供: ナイスモバイル株式会社

ハード・ソフトともに自主開発を貫く
「ユーザー研究」の専門部署も存在

―― 最近はAIツールへの注目が高まっています。WEB会議システムへ組み込むとすればどのような使い方が考えられますか?

デイビッド氏 現状、生成AIに大きな注目が集まっていますが、CVTEではAIによってユーザーの仕事や日常生活に役立てられればと考えています。

 2014年に中央研究院を立ち上げてさまざまな研究を進めていますが、そのなかではAIの研究も実施しています。実際、現在のWEB会議システム向け製品ではノイズ除去のほか、喋り声を判別する音声追跡、カメラに映っている複数名のなかから発言中の人物を自動フォーカスするといった機能にAIが活用されています。

 そして現在、AI技術を投入したMAXHUB製品の社内テストが始まっています。これは会議の全過程において音声コントロール、スピーチのリアルタイム書き起こし、議事録のインテリジェント化、ToDo自動生成などの機能を提供することでユーザーの共同作業の効率を高め、会議の価値を促進します。

 今後は異なる分野の製品にもAIを活用していきたいと思っています。

―― MAXHUB製品を日本で触ってみたのですが、UI、機能、デザインなどがかなり高いレベルでまとまっていると感じました。この品質の高さの要因はどこにあるのでしょうか?

デイビッド氏 MAXHUB製品の良さは、ハードウェアとソフトウェアそれぞれにあると考えます。

 MAXHUB製品のハードウェアはすべて自主開発を貫いていて、安定性と課題解決の完全性を保証します。また、自社の研究室で実施された実験リソースを元にして、UIとソフトウェアについても自社開発し、使いやすさにもこだわっています。

 さらに、一方的に製品を供給するのではなく、ユーザーとのコミュニケーションを積極的に図ることでフィードバックを得るとともに、多くの導入事例からユーザーの需要を分析しています。

トップシェアを維持する秘密は「製品導入後」の動きにあるようだ

 じつは、ユーザー研究の専門部署を設けていて、年間で数百回の会議を見学するとともに会議シミュレーションを実行しているんです。

 教育現場においても、定期的にプロダクトマネージャーや開発チームを派遣し、MAXHUB製品を利用した授業の様子を見学し、教師のみなさんにも機能やソフトウェアについての意見をうかがっています。

 場合によっては、見学直後にソフトを修正して翌日に先生に使っていただく、というようなこともありました。積極的に現場の声を拾い、改善していくことで製品の品質向上に努めています。

抗菌素材研究、生産過程の自動化を加速

―― ここ数年は新型コロナウイルスの感染拡大が世界に多大な影響を与えました。御社の事業にはどんな影響がありましたか?

デイビッド氏 CVTEではコロナ禍以前から中央研究院で抗菌技術を研究していました。製品付属のペンやタッチパネルに抗菌素材を使用するためです。

 感染の広まりを受けて、CVTEではさらに研究を加速し抗菌技術を高めました。現在では中国国内で子どもたちが学校の授業で使うタブレット端末にも研究成果の抗菌素材が使われています。

 またコロナ禍以降、ユーザーの働き方が大きく変化したと思っています。特に日本をはじめとする海外市場では在宅勤務が多くなり、個人の働き方が目立って変わっていきました。

 そのため、会社勤めの社会人が自宅で効率よく働くサポートができるハードウェア/ソフトウェアが必要だと考え、より品質の良いカメラ、スピーカー、マイク、使いやすいソフトウェアを提供してきました。

 社会人の皆さんは遠隔での働き方に慣れ、現在では「バック トゥ ザ オフィス(オフィス回帰)」の動きやハイブリッドワークが流行りつつあります。そういった時代の流れに沿って、今後もMAXHUB製品を提供していきたいと思っています。MAXHUBは「使いやすい」そして「オールインワン」という概念でビジネスパーソンをサポートしていきます。

―― 生産工程の写真を見ましたが、思いのほか自動化されている印象を受けました。

デイビッド氏 コロナ禍においても弊社の従業員および事業展開自体にはそこまで大きな影響はありませんでした。厳しい制限はあったのですが、あらかじめ工場を各地に分散したうえで生産をコントロールし、在庫についても綿密に調整していたため問題は発生していません。

 加えてこの機会に生産工程の自動化を加速し、人間の手が入る工程を極力減らすとともに、部品の共通化といった方針も執っています。

ここ数年、生産過程の自動化が進んでいるという

エンジニアが気持ち良く働ける環境作り

―― CVTEの施設には、ジムやプール、保育施設まであることに驚きました。ここまで充実させる理由は?

デイビッド氏 ご覧いただいたジムやプール、保育施設などはCVTEのラボに併設されている施設です。

 自社内にこれだけの設備を設けるのは、中国のテクノロジー企業でも普通ではありません。なおかつ、事業規模が大きくなってからではなく、当初からこういった施設を整備していました。

 というのも、CVTEは従業員の60%以上がエンジニアです。エンジニアの責務と課題は、最先端のモノを作り出すこと。そのためにもエンジニアたちが効率良く、調子良く働けることが重要です。

 だからこそ、ジムやプールといった設備で体調を整えてもらったり、子どもの送迎で時間を取られることがないような環境を整えています。創業者、そして創業メンバーは従業員に対して「ただ働くだけではなく、良い人生を歩めるようになってほしい」と常に思っています。

―― 保育施設は感謝している従業員多いのでは。親はお迎えのタイムリミットと、仕事の進捗の狭間で毎日悩むことになりますからね。職場隣接はストレスを相当減らしているでしょう。

室内プールを擁した社屋というのは極めてレアだろう

体調管理のためスポーツジムに入会する社会人は少なくない。職場隣接はQOL向上にも貢献するだろう

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