1915年には早川式繰出鉛筆、1925年には国産第1号鉱石ラジオ受信機、1953年には国産初のテレビの本格量産
1912年9月15日に創業したシャープの成長を支えてきたのは、明らかに技術であった。
創業者の早川徳次氏が、穴がなくても長さを自在に調整して締められるベルトバックルの「徳尾錠」を考案して、新案特許を取得したのがシャープのはじまりだ。1915年には早川式繰出鉛筆を考案。「エバー・レディ・シャープ・ペンシル」と名づけ、これがその後のシャープの社名につながっている。
1925年には国産第1号鉱石ラジオ受信機の組み立てに成功して量産を開始。1953年には国産初のテレビの本格量産を開始し、1962年には業務用電子レンジの量産を開始した。電子レンジで「チン」という音を鳴らしたのはシャープが最初だ。トランジスタやLSI、液晶を搭載した電卓や、初めて野菜専用室を設けた冷蔵庫、電子システム手帳や業界初のモバイルカメラ付き携帯電話などを市場に投入。独自のプラズマクラスターイオン技術や、ウォーターオーブン「ヘルシオ」の開発、8K液晶ディスプレイの発売など、シャープ歴史を簡単に振り返っただけでも、先進的な技術をベースに成長を遂げてきたことがわかる。
早川徳次氏は、「他社がまねするような商品をつくれ」と語り、次の時代のニーズをいち早く形にしたモノづくりによって、社会に貢献し、信頼される企業を目指すことに取り組んできた。また、1973年には「経営理念」を制定。同時に制定した経営信条では、「二意専心 誠意と創意」を掲げ、徹底した顧客視点の実践と、独創的なモノづくりをシャープの信条に位置づけた。「創業111周年記念イベント」は、そうしたシャープの基本姿勢を改めて強調したものだったといえよう。
早川徳次氏の長女であり、社会福祉法人育徳園顧問の早川住江氏は、「111(ワンワンワン)。1が3つ重なった。一番であることを望んできた会社が、1を3つ重ねる歳を重ねた」と、シャープが111周年を迎えたことを感慨深く表現した。
人(HITO)を活かす経営
シャープの呉社長兼CEOは、就任以降、「人(HITO)を活かす経営」を掲げている。
HITOとは、Hybrid、Innovation、Talent、Opportunityの頭文字をとったものであり、「複数の専門性を持つHybrid人材の育成」「Innovationが生まれる環境や風土づくり」「社員の才能(Talent)を十分に活かす適材適所の人材配置」「優秀人材への成長機会(Opportunity)の提供」の意味がある。
呉社長兼CEOは、「私たちの目標は、若くて活気があるオープンな企業文化を育み、すべての人にインスピレーションを与え、それらを結びつけることである。私は、優秀な社員の創造性と努力に誇りを持っている」と語る。
そして、「これからの111年に向けて、私たちシャープは、革新的な製品とソリューションによって、生活を豊かにしていきたいと考えている。私のビジョンは、シャープの革新的なソリューションによって、仕事と家庭の両面から社会を変えることである」と宣言した。
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