第408回
Founders EditionはAda Lovelace世代ではかなり小型に
DLSS FGやAV1エンコード対応のRTX 3080!? GeForce RTX 4070レビュー【前編】
検証環境は?
今回のレビューには、Ampere以降70番台GeForceの性能がどのように進化していったかを確認するという裏テーマも含まれている。そこでRTX 4070 Tiを筆頭に3070、2070 SUPERという比較対象をピックアップ。RTX 2070は丁度良い塩梅のカードがなかったため、上位版であるRTX 2070 SUPERを準備した。
さらに、RTX 4070 Tiレビュー時の感触から、RTX 3080と4070の性能はかなり近いのではと予想を立て、RTX 3080も比較対象として加えた。RTX 3080のメモリーバス幅は320bit幅とRTX 4070より太いが、L2キャッシュが大幅に少ないという特徴を持つ。DLSS FGに対応し巨大なL2を持つRTX 4070が勝つのか、DLSS FGは非対応だがメモリーバス幅の太いRTX 3080が勝つのかにも注目したい。
検証環境は以下の通り。Resizable BARやSecure Boot、コア分離(VBS)やローカルセキュリティー機関の保護(LSA)、HDR(Windows HD Color)はすべて有効化している。
検証環境 | |
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CPU | インテル「Core i9-13900K」 (24コア/32スレッド、最大5.8GHz) |
CPUクーラー | ASUS「ROG RYUJIN II 360」 (簡易水冷、360mmラジエーター) |
マザーボード | ASUS「ROG MAXIMUS Z790 HERO」 (インテルZ790、BIOS 0904) |
メモリー | G.SKILL「Trident Z5 Neo RGB F5-6000J3636F16GX2-TZ5NR」 (16GB×2、DDR5-5600動作) |
ビデオカード | ZOTAC「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti Trinity OC」 (GeForce RTX 4070 Ti、12GB GDDR6X)、 NVIDIA「GeForce RTX 4070 Founders Edition」、 NVIDIA「GeForce RTX 3080 Founders Edition」、 NVIDIA「GeForce RTX 3070 Founders Edition」、 NVIDIA「GeForce RTX 2070 SUPER Founders Edition」 |
ストレージ | Corsair「Force Series MP600 CSSD-F1000GBMP600」 (1TB M.2 SSD、PCIe 4.0、システムドライブ用)、 Silicon Power「PCIe Gen3x4 P34A80 SP002TBP34A80M28」 (2TB M.2 SSD、PCIe 3.0、データドライブ用) |
電源ユニット | Super Flower「LEADEX PLATINUM SE 1000W-BK」 (1000W、80 PLUS PLATINUM) |
OS | Microsoft「Windows 11 Pro」(22H2) |
3DMarkはRTX 3080より微妙に下
では、定番「3DMark」のスコアー比べから始めよう。RTX 4070とRTX 3080対決で眺めると、多くのテストにおいてRTX 3080がハナ差でなんとか勝利。新アーキテクチャーを採用した格下が旧アーキテクチャーの格上を倒すというRTX 4090〜4070 Tiまでのドラマ再現とはいかなかったが、肩を並べる程度になった、という感じだろうか。RTX 4070のSM数を46基まで減らさず、48基にとどめていたらRTX 3080に完全に並んだのではないかと思ってしまうほど両者のスコアーは近い。
また、歴代70番台対決という軸で眺めてみると、RTX 4070は3070に対し約18〜36%上に、RTX 2070 SUPERに対しては44~116%程度上という結果になった。特にTuring世代のRTX 2070 SUPERに対しては、レイトレーシング系テストの差が大きい点に注目したい。
では、ここでシステム全体の消費電力を軽くチェックしておきたい。ラトックシステム「RS-WFWATTCH1」を用いて計測した。アイドル時とはシステム起動10分後の安定値を、高負荷時とはTime Spy(3DMark)のGraphics Test 2実行中のピーク値となる。今回の検証ではRTX 4070 TiのみがAICパートナー製のカードである点に注意してほしい。
消費電力が最も大きくなったのはTGPが最も大きいRTX 3080。RTX 4070は旧世代の70番台よりも低消費電力というわけにはいかなかったが、RTX 4070 Tiや3080より消費電力が明確に低いことが示されている。ゲーム中に各カードが消費する電力(TBP:Total Board Power)については、個別のベンチマークごとに検証することとする。
4Kで足回りの弱さが出た「Overwatch 2」
では、実ゲームにおける検証を始めよう。まずはDLSS SR/ FGに対応していないゲームを中心に検証を進めていく。ここより先の検証はゲーム内ベンチマーク機能の有無に関係なくすべて「FrameView」を用い、ディスプレーに表示されたフレームレートで比較する。また、すべてのカードはNVIDIAの電力測定デバイス「PCAT v2」を経由して接続され、ベンチマーク時のカードの実消費電力(TBP)の平均値も同時に取得した。
「Overwatch 2」では、画質“エピック”を選択しレンダースケール100%、フレームレート上限600fps、さらにFSR 1は無効とした。マップ“Eichenwalde”におけるBotマッチを観戦中のフレームレートを計測した。
フルHDではRTX 4070と3080は非常に近い性能だが、解像度がWQHD以上ではメモリーバス幅が320bitと太いRTX 3080にフレームレートで差をつけられる。だが、メモリーバス幅が広くても256bit止まりのRTX 3070については、4Kでも10fps以上の差をつけて勝利している。高リフレッシュレートディスプレーが手に入りやすいフルHDでは平均フレームレートが50fps以上、WQHDでも30fps以上高くなっている点を考えると、Ampere世代の70番台よりも確実にパワーアップしていると言える。
このベンチマーク中に各カードがどの程度のTBPを示したか、さらにそのTBPと平均フレームレートから1ワット当たりのフレームレートを求めたのが次の表となる。
RTX 3080が常に330Wをやや超える電力を消費している一方で、RTX 4070は210W程度の消費電力で済んでいる(各GPUのTGPとほぼ一致する)。前掲のシステム全体の消費電力ではRTX 4070は旧世代の70番台よりも大きい消費電力を示したが、ゲーム中の消費電力はRTX 3070や2070 SUPERよりやや多い〜ほぼ同じ程度に収まっている。下のグラフにおいても、RTX 4070は旧世代70番台よりも劇的にワットパフォーマンスが改善していることが確認できた。
「Tiny Tina's Wonderlands」でも
WQHD以上で不利になる?
「Tiny Tina's Wonderlands」ではAPIにDirectX 12、画質“バッドアス”に設定。ゲーム内ベンチマーク再生中のフレームレートを計測した。
RTX 4070はRTX 4070 Tiのざっくり20%程度下に位置づけられ、フルHDでならRTX 3080とほぼ同列。RTX 2070 SUPERから乗り換えれば平均フレームレートにして80%程度の伸びが期待できる。4KだとRTX 3080と4070との差が目立ってくるが、4KだとゲームにならないRTX 2070 SUPERから見ればRTX 4070は相当に魅力的な移住先となるだろう。もっとも、4Kで遊ぶのであればFSR 2の利用を強くオススメしたい。
ここでもRTX 4070はRTX 3080よりも100W以上低い電力で動作していることを示している。850〜1000Wクラスの電源ユニットを持っていればこの程度の差は大したことはないが、NVIDIAが動作要件として推奨する出力(650W)に近い環境であるなら、この100W差は十分検討に値する。RTX 2070 SUPERからの乗り換えであれば、ビデオカードのTBPは微増程度でフレームレートが1.8倍になるのは大きいといえる。
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