初心者のために設計されたCPUクーラー
昨今はCPUが消費する電力の増加もあって、CPUクーラーにはより冷却性が求められるようになった。上位モデルのCPUだと空冷のCPUクーラーでは冷やしきれず、簡易水冷のCPUクーラーを採用するBTO PCも一般的になっている。
しかし、負荷をかけた時にCPUがしっかりと冷却できているのかはぱっと見では確認しづらい。もちろん専用のソフトウェアを使えばチェックできるが、PC初心者にそうした手間のかかる作業を求めるのは酷だろう。
そこでSTORMでは、ウォーターブロックのヘッドに情報を表示するCPUクーラーを独自に開発し、自社のBTO PCに採用した。ウォーターブロックに情報を表示するCPUクーラーは、一部のパーツメーカーから販売されているが、BTO PCで採用する例は珍しい。
このCPUクーラーでは、ブロック部分中央にリアルタイムでCPU温度を表示し、その周りを囲むようにポンプ回転数、そして外枠に沿う形でファン回転数を表示する。特別なソフトなどを使わず、一目で稼働状況を確認できるように作られているため、PC初心者にもわかりやすい。
出荷時にドライバーの設定などを事前に済ませているため、製品の到着後に特別な設定などをする必要はなく、起動すれば使える状態になっているのもありがたい点だ。
また、チューブの長さも同社で取り扱っているPCケースに合わせて最適な長さになるよう調節しているという。市販の簡易水冷CPUクーラーを使った場合、チューブが長すぎてビデオカードに接触してしまう場合が多く、輸送時にカードの破損につながる恐れがある。そこでこのクーラーは、一般的な製品よりチューブを5cmほど短くしている。
こうすることで、最適なバランスで配置できるようになっている。なお、チューブが短くなっても冷却液の量などはほぼ変わらず、冷却性能には影響がないとのこと。
今回のオリジナルクーラーは、半年以上もの開発時間をかけて今の形に至ったという。ユーザーはもちろん、工場でPCを組んでいるビルダーにとっても扱いやすいよう、試作を繰り返したとのこと。
ファンは静音性を重視し、回転数は1600RPMほどのものを採用している。これも、初心者が特に設定せずともゲーム体験を損なわないようにという配慮だ。同社のテストによれば、Core i7-13700Kに「OCCT」で負荷をかけて計測したところ、80℃程度に抑えられたとのこと。
今後、簡易水冷CPUクーラーを搭載するSTORMのPCでは、このオリジナルクーラーか、こちらの記事で紹介した「Phanteks Glacier One 240 T30」というハイエンドクーラーの2つに二極化していくという。
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