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スマホのSoCで有名な台湾・MediaTekが日本のマーケットを意識。自動車とメタバースにも注力

2022年12月06日 12時00分更新

今後の成長領域としてメタバースと自動車に注力

 コーポレート バイスプレジデントのマイク・チャン氏からは、主に成長領域についての説明が行われた。

 MediaTekがこれから注力する分野として、最初に挙げたのがメタバース。現在の市場規模は10億ドル程度だが、2030年までには1000億ドルまで拡大することを見込んでいるという。

ARやVR、ウエアラブルデバイス向けの製品に注力。これまでに培った接続性や省電力などで強みを発揮したいという

 もう一つ注力しているのが自動車だ。電気自動車や自動運転などが普及し、自動車は「タイヤがついたスマホ」になりつつあると例える。すでに自動車にさまざまなチップを供給しているが、今後はさらなる需要が見込まれている。

自動車分野での需要増にも対応していく計画

最新の「Dimensity 9200」は
世界最高峰のスペックを実現

 最後に、スマートフォンビジネス部門 副ジェネラルマネージャーのイェンチー・リー氏が登壇。スマホ向けチップの現況と新製品について説明された。

 MediaTekのスマホ向けチップは現在、世界での出荷台数シェアは1位。8四半期にわたって1位を維持している。

現在の主力製品であるスマホ向けチップは、世界で37~38%のシェアを占め、2位のクアルコムに大きな差をつけている。5Gに限ると25%で、さらに拡大傾向にある

 MediaTekのチップは、4G時代にはスタンダードモデル(ミドルレンジ)向けが多かったが、ハイエンドモデル向けも増えており、スマホメーカーのフラッグシップでも採用されるようになり、それが大きな成長につながっていると説明した。とくに、中国のハイエンドスマホ向けの供給が増えているそうだ。

中国の500ドル以上のAndroidスマホ向けにおけるシェアは、2021年第1四半期と2022年第2四半期を比べると、12%から34%に急成長を遂げた

最近、MediaTekのチップを搭載したAndroidスマホ。ASUS、シャオミ、OPPO、Vivoなどがハイエンドモデルに採用している

 5Gスマホ向けの最新のフラッグシップチップは「Dimensity 9200」で、これを搭載するVivoの「X90 Pro」が11月22日に発売されている。

最新のハイエンド向けチップは「Dimensity 9200」。初搭載するのは、日本未上陸のハイエンドモデル「X90 Pro」

 Dimensity 9200はTSMC(台湾の大手半導体メーカー)の第2世代のnanoプロセスを採用。最大3.05GHzのパフォーマンスコアを搭載し、いち早くWi-Fi 7に対応できる準備をするなど、9つの“史上初”をアピールする高性能なチップだ。ゲームメーカーと協力して、ゲーミングのパフォーマンスを向上させたこともセールスポイントにしている。

Dimensity 9200は、9つの史上初を実現した最高峰のチップ

Dimensity 9200のCPUとGPUのスペック

前モデルと比較して、シングルコアで12%、マルチコアで10%のパフォーマンス向上を実現している

 5GモデムはSub 6とミリ波のどちらにも対応し、ミリ波はビームフォーミングにおいて従来比で25%の高速化を実現。最大7.9Gbpsの通信速度を実現しているという。

5Gはミリ波にも対応し、最大7.9Gbpsのスループットを実現

日本は重要なマーケット

 今回、台湾本社からエグゼクティブが来日し、メディア向けの説明会を開催したのは、ブランド知名度の向上が目的とのこと。また、日本はテレビや自動車のメーカーが多いこともあり、成長領域においても重要なマーケットと考えているようだ。

 日本で発売されるAndroidスマホには、クアルコムの「Snapdragon」が搭載されることが多い。MediaTekの「Dimensity」を搭載する機種はまだ少なく、ミッドレンジ向けが中心だ。しかし、今後は、ハイエンドモデルでも「Dimensity」の名前を見かけることが増えてくるだろう。

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