全社体制でPixel 7とPixel Watchに注力するグーグルの意気込み(西田宗千佳)
3年越しで登場したPixel Watchの意味とは
そしてさらに今年は、グーグル自身のブランドとしては初のスマートウォッチとなる「Pixel Watch」も登場した。あの機能で3万9800円というのは、かなりお値打ちだと感じる。
ご存知の通り、Pixel Watchはフィットネス関連機器で知られる「Fitbit」をグーグルが買収した結果生まれた製品だ。だが、同じく2019年に時計会社Fossil Groupから、同社のスマートウォッチ関連の知的財産や関連技術、開発チームを4000万ドルで買収しており、その結果生まれた、という点も忘れてはならない。
すなわちグーグルは、この時期から、「他社へOSなどのプラットフォーム提供はするが、同時に自社ハードウエアも持たねば、価値の最大化はできない」という判断に至っていたことがわかる。
Google Tensorのようなプロセッサーについても、サムスンのような強力な開発パートナーがいたとしても、開発には年単位の時間が必要になる。
Pixel Watchでは、心拍数や睡眠計測の「正確性」をアピールしている。だがそれも、Fitbitが過去に収集した大量のデータと、グーグルの処理能力が合わさって実現されている、と考えていい。
さらにPixel 7と連携してセットアップを簡便化しているのも、デザインで「Material You」を活用して統一感を持たせているのも、「製品全体を連携して提供している」からできることでもある。そういう意味でも、Pixel Watchは間違いなく「戦略製品」だ。
そして、スマホとしてのPixelが好調である日本市場は、スマートウォッチで成功を目指すためにも重要な市場である。FitbitでSuica対応の経験があるから、という事情はあるだろうが、コストをかけてスタート時点からSuica対応してきた。定期券への対応ができていない、といった課題もあるが、そうした部分からも「日本でPixelシリーズ全体を成功させたい」という意気込みが見えてくる。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう