今回のひとこと
「徳川家康の顰像(しかみぞう)は三方ヶ原の戦いでの大敗を忘れないために描かせたものである。私のいまの正直な心境は、これだけ大きな赤字を出したことをしっかりと反省し、戒めとして覚えておきたいということである」
世界的な株安と急激な円安のあおりをもろに受ける
ソフトバンクグループの2022年度第1四半期(2022年4~6月)の最終損益は3兆1627億円の赤字となった。2021年度第4四半期(2022年1月~3月)には2兆1006億円の赤字を計上しており、2四半期連続での大幅な赤字となった。ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長は、「この6カ月間だけで約5兆円の赤字である。ソフトバンク創業以来、これだけの大きな赤字を出したのは初めてである。前年には5兆円の利益を出したが、それを全部吐き出した」と語る。
赤字の要因として、世界的な株安と、急速な円安をあげる。
ナスダックの総合指数は3カ月間で22%下落したのに対して、SoftBank Vision Fundが持つ上場株インデックスでは31%下落したという。SoftBank Vision Fund だけで見れば、2四半期連続で3兆円規模の損失。累計では1122億円の黒字にはなるものの、「ピーク時には7兆円あった利益をほぼ吐き出した」という状況だ。
円安の急激な進行も、会計上ではマイナスに働いた。ソフトバンクグループの約半分の借り入れがドル建てであり、円安によって、円換算時の返済額が増加することになるからだ。純利益に対しては、マイナス8200億円の影響があったという。
「時価総額約9兆円の会社が、3カ月間で3兆円の赤字を出した。これを真摯に反省すべきである」と孫会長兼社長は語る。
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