モダンな色使いが映える航空時計
オリス/プロパイロット X キャリバー 400
オリスのラインアップには、クォーツ式のモデルが存在しない。ただのひとつも。だから当然、目下市場で版図を広げている電波時計やスマートウオッチなどもなく、ゼンマイと歯車だけで粛々と時を刻む、機械式時計がこのブランドのすべてだ。潔い。
だが唯一となる機械式時計の内訳はじつに豊富で、アクティブなスポーツ系からエレガントなドレス系まで、様々なニーズに沿う実力派が揃っている。
「Watches&Wonders 2022」に参加したオリスが意気揚々と発表したのは、同社が1910年代から手がける主要分野であるパイロットウオッチだった。といっても、いかにも特殊な面構えではなく、ミニマルな機能美を前面に打ち出した汎用性の高い、むしろカジュアルといえそうなデザインだ。カラーもメリハリの効いた3種類が用意され、好みや用途に合わせて選べるのがうれしい。
こうした外見の特長に加え、このモデルの特筆すべきポイントはムーブメントである。昨年同社が発表した「画期的な」自社製Cal.400を搭載している。
Cal.400は、脱進機をはじめとする30以上の部品に非金属、または耐磁性素材を用いることで国際規格ISO764の基準を大幅に上回る耐磁性能を実現。さらに動力伝達の効率化や、ゼンマイを巻き上げるローターに独自の「スライドベアリングシステム」を採用することなどで磨耗や故障のリスクを減らし、オーバーホールが必要となる間隔を一般的な3〜5年から、なんと10年にまで延伸しているのだ。
画期的なのはそれだけではない。上記のスペックとともに香箱(ゼンマイ)を2基搭載することで、連続駆動時間は120時間(5日間!)にも及ぶ。Cal.400はこれまで同社のダイバーズや今回の機種とは別の古典的な航空時計に順次採用されてきたが、選択肢がさらに広がった。
オリスでは一連のハイスペックを、自信たっぷりに「ニュースタンダード」と呼ぶ。1904年の創業以来頑なに機械式を作り続けるブランドの、ピュアな矜持である。
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