200kgの軽量化のおかげで
見た目よりも軽快なドライブフィール
V型6気筒ツインターボエンジンは、多段ATと相まって、実にジェントル。音も比較的静かで、まるで高級サルーンのごとくの滑らかさには、さすがのひと言。スポーツモードにすると、ガッツリ加速して鈍重さは皆無。それもそのハズ、なんと前モデルと比べて200kgも軽量化したのだから。踏めば速いクルマで、大きなSUVはノロマというのは過去の話です。もっとも、踏めば当然燃費は……ですが。
一方、乗り心地はというと、ゴツゴツとした突き上げと、RV車らしい柔らかさが共存する世界。荒れた道ではボディが左右に揺られ、ブレーキを踏めば前にダイブします。なるほど、ランドクルーザーがラダーフレームの上にボディが乗っていることを改めて認識します。移動中、後部座席に座るゆみちぃ部長とマネージャー氏は、右に左に大忙し。
運転しづらいかというと、街乗りでは案外普通。ステアリングを切ると巨大なボンネットがグワッと向きを変えるのですが、その迫力たるやほかでは味わえない世界。さらにミニバンを眼下に見下ろすほどの視界の高さは、快感のひと言。「ミニバンって大きいのにミニという理由、わかった気がします」と、妙に納得するゆみちぃ部長。正直、このクルマより強いものは、大型のダンプカーと、白と黒のツートーンに塗り分けられたパンダクラウンだけなんじゃないかと思ってしまいます。
この個性的なドライブフィールはランクル独自の世界で、運転しているとなぜか自分が強くなった気分になるから不思議。何より“誰もが行きたい時に、行きたい所に行き、どこからでも帰ってこられる”という言葉を強く感じさせるのです。この安心感は、ほかのクルマでは得難いもの。ランドクルーザーより快適であったり燃費がよかったり速いクルマはいくらでもありますが、必ず帰ってこられるという安心感が得られるクルマは多くありません。まさに「世界の不沈艦」とはこのこと。ぶつかろうが何をしようが、絶対に帰れる気がするのです。どうでもいいですが、名レスラーのスタン・ハンセンがランドクルーザーに乗っていたら似合うかもと思ったり。
ゆみちぃ部長にハンドルを託してみると「確かにすごい! これはイイです。長距離乗っても疲れないですし、意外と運転しやすいです」と太鼓判。「エンジン音はそこそこ聞こえますが、それでも十分静かですよ。しかも高速道路で車線や車間を監視する運転支援もついているんですね!」とお気に入り登録。ですが「これを買いたいか、というとちょっと別で。これで近所にお買い物に行くというのは考えづらいです。隣に乗っている分には最高ですけれど、日常的に運転したいかというと……」とも。というのも、部員Kがコインパーキングでランドクルーザーを停めようとした際、何度も切り返しをしていたのを見ていたから。
ランドクルーザーの最小回転半径は5.9mと、レクサスRXと変わりはないのですが、いかんせん2mという車幅と、意外と長いフロントノーズに手を焼くのです。さらにソナーが付いているのですが、これがフロントの場合、障害物まで20㎝もあるのに警告音を発するのです。ですから、駐車中は少し進んではピーピー鳴って、少しバックしたらピーピー鳴るという次第。
ソナーを切れば音はしなくなるのですが、借り物のクルマですので、万が一があると嫌ですし。「こういうクルマを一発で入庫できる人ってカッコイイと思います。自分は絶対にできないので」というゆみちぃ部長。スミマセン。10回も切り返してしまい……。
「ランドクルーザーいいですね。買いたいかと言われたら、そもそも運転できる自信がないですし、車庫を選びそうだし、ガソリン代もすごそうなのでゴメンナサイなのですが、隣に乗っている分にはいいと思いました。ですが4年も待つと言われるとちょっと……。4年後に何をやっているかとか想像できないじゃないですか。それに欲しいと思った時に手に入らないのは嫌な性格なので」というわけで、気に入ったけれど買わないとのこと。その気持ち、わからなくもないです。
でも、部員Kは「すべての条件が許されるなら、この世界の不沈艦はせひとも欲しい」と思った次第。日本ではオーバースペックのクルマですが、それは多くのスポーツカーとて同じこと。運転していて楽しいクルマかというと、そういうクルマではありません。ですがスポーツカーと違い、出先で万が一被災した時、道がどのような状態だとしても、帰ってこられるというのは何よりありがたいことです。そして被災しなくても、その安心感や安定感は何者にも代えがたいものがあります。そう考えると、このクルマはオーバースペックでも何でもないように思いませんか?
乗りながら開発者の「なぜ世界中の人々がランクルを選ぶのか、なぜ日本でもランクルのファンがいるのか」という話を、肌身をもって実感。本物に触れ「ランクルの似合う男になりたい」と思う部員Kなのでした。
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