用途ごとのプリセットを6つ搭載
リフレッシュレートは100Hz
OSDの操作は画面に向かって右側、ベゼル下部のボタンで行う。ボタンは右から順に、電源のオン/オフ、OSDメニュー表示、カーソル操作(2個)、映像ソースの切り替えとなる。前面から容易にアクセスでき、操作性は良好だ。
液晶パネルの画質に関して触れていくと、デフォルトが暖色設定のようで、全体的に黄色や赤色が強い印象。しかし、OSDの色設定から色温度を7500K、あるいは5800Kに変更できる。また、sRGBや冷色といった設定もあるので、ユーザーが自分好みに変えられる。輝度は250cd/m2で、コントラストは1000:1。色は鮮やかで明暗がくっきりとした印象を受ける。特に、自然の景観などを映した動画が映えるように見えた。
また、OSDには「スタンダード」に「ゲーム」、「映画」、「ECO」、「FPS」、「RTS」と6つのプリセットがある。ユーザーの用途に合わせて選べば、簡単に明るさとコントラストを自動で設定できるというわけだ。さらに、「HDR 10」に対応しているのでHDR設定も選べる。
そのほか、眼精疲労の原因とも言われているブルーライト軽減機能を備え、5段階から軽減の程度を選べる。また、画面のフリッカー(ちらつき)を削減するフリッカーフリーに対応。ブラックレベルは100段階で調整でき、デフォルトは「50」だが1刻みで変更できる。
ゲーミング向けの仕様についても紹介しておこう。まずはリフレッシュレートについてだが、安価なモデルはその大半が60Hzで、高くても75Hz程度だ。しかし、JN-IPS29WFHDR-C65Wは100Hzまで対応する。さすがに144Hzや240Hzといった高リフレッシュレート対応モデルには敵わないものの、ウルトラワイドでリフレッシュレート100Hzが利用できる点は、大きなアドバンテージと言えよう。ただし、応答速度はオーバードライブ時でも6ms。1ms以下に詰めたいFPSや格闘ゲームには正直物足りない。
もちろん、先ほど触れたファイナルファンタジーXIVのようなMMORPGや、RTSなどのゲームなら100Hzでも十分快適だ。さらに、AMDのディスプレー同期技術である「AMD FreeSync」に対応している点も評価できる。Radeonシリーズを搭載したビデオカードのPCであれば、急激に視点を移動した時に生じるティアリング(映像のズレ)やスタッタリング(カクつき)といった映像の乱れを、AMD FreeSyncで抑えられるというわけだ。
なお、JN-IPS29WFHDR-C65Wの消費電力は通常で21W以下、オーバードライブ動作時などは最大で27W以下と、このクラスの製品としては標準的。だが、ディスプレーを2台使用するよりも、本機1台のほうが電気代を節約できる可能性は高い。
USBはType-A×2にType-B、Type-C
KVM機能やUSB PDに対応する
最後は機能が豊富なインタフェースの話題で締めよう。映像入力端子はDisplayPort、HDMI、USB Type-Cの3系統を備える。DisplayPortのバージョンは「1.2」だが、解像度やリフレッシュレートを加味するとそれで十分ということなのだろう。
HDMIは「2.0」に対応しているが、著作権保護技術の「HDCP」は「1.4」になる。4Kの映像作品などを再生するには、「2.2」以上の対応が必須なので注意しよう。とはいえ、そもそもJN-IPS29WFHDR-C65Wは2560×1080ドットまでしか対応していないので、普段それが問題になることはあまりないだろう。
また、USB Type-CはUSB PDに対応しており、65Wまでの給電が行える。スマートフォンやノートPCなどをUSB Type-Cで接続すると充電できるうえ、対応機種であれば同時に映像出力も可能だ。ノートPCのサブディスプレーとして使う際にACアダプターや映像出力端子を別途接続しなくていいので、デスク周りがスッキリする。
JN-IPS29WFHDR-C65WのUSB関連機能はUSB PDだけではない。なんとUSB Type-Aに接続したキーボードとマウスを、映像ソースとなるPC2台で共有できるKVM機能にも対応している。
使い方を説明すると、まず1台目のPCをDisplayPort(もしくはHDMI)とUSB Type-Bポートで接続する。次に、USB Type-Cの映像出力をサポートしたノートPCなどを2台目のPCとして、USB Type-Cで接続する。
最後に、マウスとキーボードをJN-IPS29WFHDR-C65WのUSB Type-Aに挿せば、2つのPCで共有できるようになる。あとは、左端のOSD操作用ボタンで映像入力ソースを切り替えれば、画面を表示しているほうのPCでマウスとキーボードが使えるというわけだ。
KVM機能では片方がUSB Type-C接続に限定されるため、USB Type-Cでの映像出力に対応している製品が必要になる。すべての環境で活かせるわけではない点は注意が必要だ。とはいえ、最近のノートPCはUSB Type-Cの映像出力に対応している製品が多い。また、スマートフォンをUSB Type-Cで接続して、PCのように使用することもできる。そうしたデバイスを接続するのであれば、JN-IPS29WFHDR-C65Wは十分魅力的な存在と言えよう。
ウルトラワイドでは貴重なIPS方式で
3万4980円という低価格が魅力
そしてもちろん、JN-IPS29WFHDR-C65Wの直販価格が3万4980円と、コストパフォーマンスが非常に高い点も忘れてはならない。ディスプレーでは、発色が良く視野角が広いIPS方式のモデルを好むユーザーも多い。しかし、IPS方式でより安いモデルを選ぼうとすると、選択肢が少なくなってくる。
その点、ウルトラワイドディスプレーになると、その選択肢はさらに狭まる。そういった状況で、JN-IPS29WFHDR-C65Wの4万円を大きく割る価格設定はかなり魅力的で、食指が動く人も多いのではないだろうか。
机のスペースを広く確保でき、リモートワークやゲームなど幅広く活用したいと考えるのであれば、JN-IPS29WFHDR-C65Wは有力な選択肢と言って差し支えない。
JN-IPS29WFHDR-C65Wの主なスペック | |
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パネル | 29型IPS(ノングレア) |
解像度(アスペクト比) | 2560×1080ドット(21:9) |
表示色 | 1677万色 |
輝度 | 250cd/m2 |
コントラスト比 | 1000:1 |
視野角 | 178度(水平)/178度(垂直) |
リフレッシュレート | 最大100Hz |
応答速度 | 最大6ms(OD) |
インターフェース | HDMI 2.0、DisplayPort 1.2、USB Type-C、USB Type-B、USB Type-A×2、オーディオ出力 |
スピーカー | 3W×2 |
チルト | -10~+22度 |
高さ調節 | 上下135mm |
スイーベル | 右45度、左45度 |
ピボット | - |
サイズ(スタンドを含む)/重量 | 701(W)×185(D)×370~505(H)mm/約6.5kg |
その他 | KVM機能、AMD FreeSync、USB PD(65W)、HDR 10 |
直販価格 | 3万4980円 |
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