AMD Ryzen プロセッサーで得られるハイパフォーマンス
実際に業務で使用する際に気になるのが、PCのパフォーマンスだろう。「HP ProBook 635 Aero G8」は、前述の通りプロセッサーの違いで3つのベースモデルが用意されている。今回は、そのうちRyzen 5 5600U(最大4.2GHz/6コア12スレッド)を搭載したミドルモデルを試すことができた。評価機の主な仕様は次の通り。
「HP ProBook 635 Aero G8」評価機の主な仕様 | |
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CPU | AMD Ryzen™ 5 5600U(最大4.2GHz/6コア12スレッド) |
グラフィックス | AMD Radeon™ グラフィックス |
メモリー | 16GB(DDR4-3200) |
SSD | 256GB(PCIe NVMe) |
バッテリ | 42WHr |
いったい、どのくらいのパフォーマンスなのだろうか。そこで、いくつかのベンチマークを実行して性能を測ってみることにした。
まず、「CINEBENCH R23」ではマルチコアが7793pts、シングルコアが1365ptsという結果だった。6コア12スレッドのプロセッサーだけあってマルチスレッド性能が非常に高い。シングルスレッドも前世代のAMD Ryzen 5 4500Uを大きく上回り、ライバルのIntel Core i5-1135 G7をもしのぐスコア。ビジネスアプリを使った文書作成はもちろん、画像編集や動画編集、複数の処理を同時に行うマルチタスクなども快適に行えるはずだ。
次にパソコンの総合的な性能をチェックするため「PCMARK 10」を実行したところ、次の表のようになった。
「PCMARK 10」スコア | |
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総合スコア | 5311 |
Essentials | 9606 |
Productivity | 8559 |
Digital Content Creation | 4945 |
快適さの目安は、基本性能を示すEssentialsが4100以上、ビジネスアプリのパフォーマンスを示すProductivityが4500以上、クリエイティブ系アプリのパフォーマンスを示すDigital Content Creationが3450以上となっているが、そのいずれも大きく上回っている。オンライン会議やOfficeアプリなどを使うビジネス用途はもちろんだが、写真編集などクリエイティブ系の作業も快適に行える性能を持っていることがわかる。
次に、グラフィックス性能をチェックするため、「3DMARK」を実行してみた。
「3DMARK」スコア | ||
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テスト | 総合スコア | グラフィックススコア |
Time Spy | 899 | 787 |
Fire Strike | 2195 | 2435 |
Night Raid | 10057 | 10170 |
CPU内蔵のグラフィックスということもあってそれほど高いスコアではないが、普段使いには十分なパフォーマンスはある。写真・動画の編集などクリエイティブ系の業務もある程度快適に行えるだろう。
さらに、ストレージ性能を「CrystalDiskMark」でチェックしてみたところ、図のようになった。NVMe対応SSDということもあって、シーケンシャル・リードが2500MB/s前後と高速。OSやアプリの起動もキビキビしており、ファイル操作なども快適だった。
バッテリは標準の42WHrと、大容量の53WHrの2種類から選べるが、評価機は42WHrの方が搭載されていた。駆動時間はJEITA 2.0準拠で約14.8時間、「Mobilemark2018」測定時に約15.5時間となっている。そこでバッテリーベンチマークソフト「BBench」を使って、実際にどのくらい持つか計測してみたところ、10時間25分の駆動が可能だった。なお、計測の際は電源モードを「より良いバッテリー」に、画面の明るさは「40%」にし、BBenchは「60秒間隔でのWeb巡回」と「10秒間隔でのキーストローク」にチェックを入れて満充電状態から電源が落ちるまでの時間を計測している。
公称値には届かなかったものの、Wi-Fiを使いながらの計測でこれだけ持てば一般的な用途には十分だろう。より長持ちのバッテリーを求めるなら、若干本体質量が重くなるが大容量バッテリーをおすすめしたい。ちなみにバッテリーはいずれも充放電回数1,000回という高耐久性タイプが採用されている。買い替えのサイクルを考えると、かなり安心感のあるバッテリー寿命だ。
2つの生体認証機能とHP独自機能を搭載しセキュリティーも万全
ビジネスシーンで使うことを考えると、セキュリティーも見逃せない要素。「HP ProBook 635 Aero G8」は最新のWindows 11 Proを採用しており、従来より強化されたセキュリティー機能を利用することができる(なお、日本HPの直販サイトでは必要に応じてWindows 10 ProやWindows 11 Homeも選択可能)。
また、ディスプレイ上部にはWindows Helloに対応した立体検知IRカメラが搭載されており、あらかじめ顔をスキャンして登録しておけば、PC本体に顔を向けるだけで瞬時に顔認証でログインできる。さらにパームレストには指紋センサーも内蔵されており、事前に指紋を登録しておけば指でタッチするだけでログイン可能。自宅では顔認証を、マスクを着用している出先では指紋認証をという具合に、シーンに合わせて使い分けられるのが便利だ。
ちなみにディスプレイ上部には720pでの撮影が可能なWebカメラが搭載されており、オンライン会議などに利用できるが、こちらのカメラには物理的に機能をオフにできるプライバシーシャッターが搭載されている。プライベートな空間で使う際や、機密性の高い情報を取り扱う場所で使う際などに役立ちそうだ。
このほか本体には独自開発したチップ「HP Endpoint Security Controller」が組み込まれており、ハードウェアレベルでより強固なセキュリティーを実現している。たとえばBIOSが攻撃された場合でも自動的に正常な状態に回復する「HP Sure Start」、ウィルス対策ソフトやOSのセキュリティー機能が意図せず無効になった場合に安全な状態に戻す「HP Sure Run」、ウィルス感染でOSが起動不能になった場合でもネットワーク経由でリカバリーする「HP Sure Recover」などの機能が利用できる。
このような、OSの上層(Webカメラやディスプレイ、指紋センサーなど)、中層(OSや各アプリケーション)、下層(プロセッサーやメモリー、SSD、BIOSなど)の各レベルでPCを保護してくれるHP独自のセキュリティー機能の総称が「HP Wolf Security for Business」だ。ハイブリッドワークが進み、業務用PCが外部からの攻撃にさらされやすくなっているが、こうした信頼性の高い仕組みが備わっている点もビジネスユースに「HP ProBook 635 Aero G8」がおすすめな理由のひとつだ。
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