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第43回NEDOピッチ「医療・ヘルステック ver.」レポート

ワクチンだけじゃない 世界を救う医療技術を開発するスタートアップ4社

2022年03月30日 11時00分更新

AIを用いた細菌の同定技術によって薬剤耐性菌の発生を抑える
株式会社GramEye

 病原菌に感染した患者に対して抗菌薬を使用した場合、一定の割合で抗菌薬に対する耐性を持った菌「薬剤耐性菌」が発生する。この薬剤耐性菌の発生は世界的にも問題視されており、この発生を抑えるためには、なによりも不適切な薬剤の投与を避ける必要がある。そこで株式会社GramEyeは、グラム染色と呼ばれる細菌の同定技術にAI技術を適用した迅速安価な微生物検査システムの開発を行っている

株式会社GramEye 代表取締役社長 平岡 悠氏

 薬剤耐性菌が発生すると、感染による死亡者数がそれまでの2~3倍に増えるとされている。2013年時点で世界全体での薬剤耐性菌による死亡者数は年間70万人とされたが、その数は急速に増加しており、2050年には年間1000万人に達すると予測されている。

 そこで薬剤耐性菌の発生を抑えるために抗菌薬の適切利用が重要となってくるが、現実には菌種同定を行わないまま不適切な抗菌薬がしばしば使用されている。菌種の同定には、菌を染色して顕微鏡で観察するグラム染色と呼ばれる手法が広く使用されている。これは国内で年間1600万件を超える実施数を持つ手法で、10分以内に結果が分かる。しかしながら工程に人手が必要で、菌種同定にも検査担当者の経験・能力が必要になる。

 そこでGramEyeはこの手法にAIを導入し、医師や技師など検査担当者の負担を軽減するシステムの開発を行っている。これが実現できると、例えばコロナ禍のように一度に大量の患者が発生した場合でも、現場にかかる負担を最小限に止めることが可能になり、ひいては薬剤耐性菌の発生抑制につなげることができる。

 薬剤耐性菌の問題は国内だけでなく世界全体の問題でもある。GramEyeの技術により世界の医療現場で抗菌薬の適正利用が行われるようになることを期待する。

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