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ASUS「ROG Strix G15 Advantage Edition」をRyzen 7 5700GやTiger Lake-H搭載ノートと比較する

2021年10月12日 11時00分更新

ゲームの性能はどうか?

 グラフィック性能をみる「3DMark」は、Core i9-11980HK搭載ノートが参加する最後のテストだ。前述の通りCore i9-11980HK搭載ノートのGPUはRTX 3060であり、Strix G15に搭載されたRX 6800Mから見ると格は数段落ちる。これ以降で実施する実ゲームベースのベンチマークで、Core i9-11980HK搭載ノートを省略する理由ーGPUが違いすぎて比較にならないーを示しておく必要があるだろう。

「3DMark」のスコアー

 Radeon RX 6800MとRadeon RX 6700 XTはGPUとしての回路規模は同じだが、特に熱・消費電力の限界値はRX 6700 XTに大きな余裕がある。よってグラフィック描画においても上のグラフのように、Strix G15のスコアーはデスクトップの同等構成よりも10%程度下になる(とはいえ、デスクトップ向けの10%下で済んでいること自体が驚きではある)。

 では実ゲームベースの検証に入ろう。まずは軽いゲームの代表として「Rainbow Six Siege」で試してみる。APIはVulkanとし、解像度はフルHD、画質は、画質は“最高”をベースにレンダースケール100%を追加したものと“中”設定の2通りとした。ゲーム内ベンチマーク機能を利用してフレームレートを計測する。

「Rainbow Six Siege」Vulkan API、1920×1080ドット時のフレームレート

 3DMarkではRX 6800MとRX 6700 XTの差はあまり大きくなかったが、実ゲームではRX 6800MはRX 6700 XTの60%程度の性能になる。3DMarkではGraphicsテストの時はCPUが極力休み、Phisicsテストの時はGPUが極力休むという形にしているが、高フレームレートを出すためにCPUもGPUもフルで動くような状況ではパワーの綱引きが発生して性能が出にくくなる。逆に考えれば負荷が片方に寄っているときはパワーの融通を利かせる機能、つまりAMD言うところの“Smart Shift”が上手く機能していることが示唆されている。

 とはいえ一番重い最高設定でも平均242fps、最低fpsも202fps出せているので、Strix G15に搭載された液晶パネルの表示性能(165Hz、つまり165fps)を大きく超えた描画性能が得られている。

 続いては「Apex Legends」で検証しよう。こちらも解像度はフルHDのみとし、画質は最高画質設定と中程度の設定(オンオフ2段階の設定はオンに統一)とした。射撃訓練場における一定の行動をとった時のフレームレートを「CapFrameX」で測定した。起動オプションで144fps制限は解除(+fps_max unlimited)も追加している。

「Apex Legends」1920×1080ドット時のフレームレート

 全体傾向としてはRainbow Six Siegeと同じだ。最高画質設定だと平均178fpsなので十分滑らかといえるが、スモークに視界を遮られるような状況だとガクッと落ち込む。それでも83fpsは出ているのでさほど気にはならないが、Strix G15でプレイするならスタッターを抑えるために画質は中設定(以下)にした方が無難のようだ。

 続いては「F1 2021」で検証する。ここでは画質“Ultra High”+レイトレーシング“Medium”、画質“Ultra High”のみ、そして画質“Medium”の3通りの性能を見ることにする。ゲーム内ベンチマーク機能を利用してフレームレートを検証するが、コースはMonaco、天候はVery Wetなコンディションで計測している。

「F1 2021」1920×1080ドット時のフレームレート

 レイトレーシングが入ると最低fpsの落ち込みが大きくなるが、レイトレーシングを使わなければ落ち込み方はかなり緩和される。液晶のポテンシャルを活かしたいならMedium設定、画質も堪能したければUltra High設定が良いだろう。

 次に試すのは「DIRT 5」だ。このゲームはまずレイトレーシングに対応し、その後でVRS(Variable Rate Shading)にも対応するなど、DirectX 12 Ultimateの機能を積極的に採り入れている。そこでここでは全てVRSを有効にした上で、“Ultra High”+レイトレーシング、“Ultra High”、“Medium”設定の3通りとした。ゲーム内ベンチマーク機能を利用しフレームレートを測定した。

「DIRT 5」1920×1080ドット時のフレームレート

 ここまで実施したゲームとは異なり、DIRT 5ではRX 6800MとRX 6700 XTとの差があまり大きくない。ただ画質を下げるほどRX 6700 XTのフレームレートが有利になるので、上の設定はかなりGPUが律速になっていることが示唆されている。F1 2021でもレイトレーシングありの設定だと最低fpsの落ち込みが激しかったが、DIRT 5では平均と最低fps(下位1%点)の差が小さいため、スタッターをあまり感じることなくプレイできるだろう。

 ゲーム系最後の検証は「Cyberpunk 2077」で行う。画質は“レイトレーシング:ウルトラ(ライティングは“サイコ”)”、画質“最高”、画質“中”の3種類の設定を比較する(いずれも群衆密度は最大に設定)。マップ内の一定のコースを移動した際のフレームレートを「CapFrameX」で測定した。

「Cyberpunk 2077」1920×1080ドット時のフレームレート

 Strix G15に搭載されたRX 6800Mは画質を盛りまくったレイトレーシングの処理には少々厳しいことが分かる。Cyberpunk 2077の場合画質は中程度にしておいた方がよいだろう。CPUとGPUの両方を酷使するタイトルだけに、ノートPCで画質を盛るのは厳しいようだ。

CPU温度はかなり高め

 ノートPCで高性能となれば、発熱が気になるのは当然のことだ。そこでここではMedia Encoder 2021のエンコード中と、Cyberpunk 2077をプレイ状態で放置(画質“最高”設定時)した時のCPU/GPU温度を「HWiNFO64 Pro」で追跡した。室温は約28℃となる。

エンコード中およびゲーム中のCPU/GPU温度

 GPU温度はゲーム中で81℃、エンコード中は83℃まで上がったことが確認できたが、少々高めという程度。しかしその一方でCPU温度はゲーム中95℃前後で安定しており、かなりの熱を出しているようだ。検証機を受領した差異の設定が一番パワーの出る“Turbo”モードだったからここまで上がったとも言えるが、デフォルトである“Performance”モードでもCPU温度は93〜94℃と大して変わらない。

 薄型ボディーに現在最高レベルのマルチスレッド性能を持つRyzen 9 5900HXを搭載したのだから、ある程度の発熱は覚悟せねばならないようだ。温度としてはかなり高めだが、底面や側面の吸排気口を塞ぐような置き方でなければ問題なく使えそうだ。

まとめ:ハイエンドノートの限界を塗り替えたかも?

 デスクトップ並のノートPCという謳い文句をキャッチコピーにした製品は数多く見てきたが、今回のStrix G15の完成度は高いと感じた。特にRyzen 9 5900HXのパフォーマンスはモバイル向けのCPUとしては最高クラスのマルチスレッド性能を備えていることも判明した。

 勿論ゲームやエンコード中の発熱量が大きいことは少々残念だが、重さたかだか2.4kg普通の15インチノートのボディーに収まっていることは驚きだ。本体価格23万円弱と決して安い製品ではないが、高性能CPU+GPUに高品質液晶というAMD ADVANTAGE準拠の本機は、ゲームをノートPCで遊びたいというゲーマーの贅沢な悩みを解決に導いてくれるだろう。

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