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HDDに引導を渡す日が近づいてきた!?

進化したQLC NAND採用SSDが急速拡大中!従来のTLC NANDの違いとは?

2021年08月31日 11時00分更新

文● 飯島範久 編集●ASCII
提供: マイクロンジャパン

QLC NAND採用SSDがエンタープライズ界で浸透しはじめている

 QLC NAND SSDが登場しても、TLC NAND SSDがなくなることはない。それぞれ特性が違うからだ。「QLC NAND SSDは、これまで使ってきたTLC NAND SSDに置き換わるものではありません。むしろHDDからQLC NAND SSDへ切り替わるものだと考えています」(江間氏)

 TLC NAND SSDは、高速アクセス性と耐久性を活かして、OSの起動用ストレージといった、頻繁にアクセスして書き換えるような使い方をするところで利用するのがいいだろう。

 一方、QLC NAND SSDのいいところは、コストを抑えつつより大容量化ができること。そのため、動画や写真など大量のデータを保存する用途としては最適だ。

「エンタープライズ業界で利用されるようなHDDと比較しても、ランダムリードで330倍、ランダムライトも8倍速く、消費電力は低く抑えられ、コスト的には変わらないレベルになっています」(江間氏)

一般的なハイエンドHDDとQLC NAND SSDでの性能比較。QLC NAND SSDはほぼ同等の価格でHDDの性能を上回っている(Micron提供)

 そのため、データサーバーなどでは、HDDからの切り替えがかなり進んできているという。

「2018年に登場したため、まだ3年余なので耐久性面が心配されるかもしれませんが、エンタープライズ業界では、コンシューマーでよく利用される最大書き込みバイト数であるTBW(Total Bytes Written)より、1日当たり書き込み回数のDWPD(Drive Write Per Day)を重視していて、その値は1 DWPD以下が大半を占めています。もちろん、QLC NAND SSDでも十分に性能をクリアしていて、JEDEC 2018(半導体部品の規格標準化団体が示した2018年版の指標)をパスしています」(江間氏)

エンタープライズ業界が耐久性で求めているDWPDの割合。1以下が大半を占めている(Micron提供)

 つまり、大量のデータを保存するという用途においては、耐久性に問題ないということが裏付けられている。動画や写真などデータを保存するときは、読み込む頻度が高くても、書き換える頻度はそれほど高くないので過剰な耐久性を求めることもない。むしろHDDのほうが、ヘッドが動きディスクが回転するため物理的に壊れる可能性も秘めている。可動部のないSSDのほうが、HDDよりも耐久性に優れているのだ。

 こうしたことを踏まえ、ストレージをどのように使うかを考えて、TLCにするかQLCにするかを選択するのが、賢い判断である。

時は金なり、恩恵はコンシューマーにも

 少しでも読み書き時間が短くなれば、それだけ作業時間は減り、余った時間はほかの作業に割り当てることが可能となる。時は金なりというが、あらゆるものがHDDからSSDへ切り替わるだけで、かなりの恩恵を受けることになるだろう。

 現状では、エンタープライズ業界での活用が大きいが、もちろんコンシューマー向けにも下りてきている。Crucialの製品ではM.2接続の「Crucial SSD P2」がQLC NANDを採用した製品だ。最大シーケンシャルリードは2400 MB/秒、最大シーケンシャルライトは1900MB/秒で、耐久性は600TBW。もちろん5年保証だ。

QLC NANDを採用している「Crucial SSD P2」。1TBで1万1000円台とまだまだHDDの価格帯には及ばないが、今後に期待したい

 これまで、大容量SSDだとコストが高く、やむなくHDDへ保存というケースがほとんどだったはず。しかし今後、よりコストが抑えられ、かつ大容量のコンシューマー向けQLC NAND SSDが登場することが期待される。

 特に2.5インチSATA接続の大容量SSDがHDDと遜色ない価格になれば、NASなどにも活用できるだろう。最近は2.5GbE LANが普及しはじめ、より高速なLAN環境を構築する時代になってきている。その速度を活かすにもSSD NASが有効で、Crucialには大いに期待したい。HDDに引導を渡すときが、もう目の前に迫ってきている。

(提供 マイクロンジャパン)

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