週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

国内5メーカーの包丁を切り比べ! 最高の1本を探そう!

切れ味最高のガチでかっこいい包丁を探そう、在宅中の料理のために

2020年05月04日 17時00分更新

藤次郎「DPコバルト合金鋼割込 口金付 牛刀 210mm」

DPコバルト合金鋼割込 口金付 牛刀 210mm

 藤次郎は、新潟県燕市と三条市を合わせた燕三条と呼ばれるエリアで刃物を製造するメーカー。1953年(昭和28年)設立で、農機具部品や農用刃物の製造からスタートした企業だ。「最高の切れ味」のもう一歩先にある「最高の道具を手にした満足感」というテーマにこだわり、誠意、真心、感謝、創造の4つの想いを大事にしたもの作りを続けている。

 業務用にも広く採用され、価格も1万円台とボリュームゾーンの「藤次郎 DPコバルト合金割込」シリーズや、ステンレスハンドルを採用した「TOJIRO PRO」シリーズ、まさしく日本刀に近い製造方法の「藤次郎ナイフアトリエ 本鍛造」シリーズなど、いくつかのシリーズを展開するが、共通しているのは、スタンダードでオーソドックスな商品展開だ。

 今回セレクトした「DPコバルト合金鋼割込 口金付 牛刀 210mm」は、「包丁のかたちを頭に思い浮かべようとして、思い浮かぶ包丁のかたち」とも思えるほど、いかにも包丁なのだ。包丁界のノームコアである。

剛性感の高さと、手作りのよさが感じられる製品

主なスペック:刃材 コバルト合金鋼、13クロームステンレス鋼、およそ全長335mm、刃渡り210mm、重量180g、実売価格1万円前後

試し切りの感想:「ものすごく鋭い切れ味!」というよりは「かなりよく切れる!」くらいの鋭さ。敢えてそのくらいのバランスに研いで出荷しているのかもしれない。ハンドルと刃、それぞれの重量がベストバランスで、またハンドルの剛性も高く、持ったときの安定感は非常にいい。ハンドルと刃のつなぎ目の部分など、やや造りが精密ではないところもあるのだが、個人的には、そこに手作りのよさと、味わい深さも感じる。直線的なデザインで、見た目もスマートだ。

 直線的で細長い刃は、肉を切り分ける動きが非常にしやすかった。軽い力で滑らせるだけで刃が下まで通っており、きちんと断ち切れている。特別に硬い食材でない限り、重みでどんどん切っていけるので、ニンジンのみじん切りなども非常にしやすい。

■関連サイト

ツヴィリング J.A. ヘンケルス ジャパン
「ツイン セルマックス M66 シェフナイフ」

ツイン セルマックス M66 シェフナイフ

 「ツヴィリング」と「ヘンケルス」は、いずれもドイツのZWILLING J.A. HENCKELSが持つブランド。大きく分けると、双子マークのツヴィリングはプレミアムなライン、1人マークのヘンケルスはローカライズされた製品を多くラインアップするが、それぞれのブランド内でも幅広いアイテムを取り扱っている。ドイツでの創業は1731年で、日本の元号で言えば享保16年、平賀源内が生きていた時代である。

 なぜ国内がテーマになっているのに、ドイツのブランドを? と思った方もいるかもしれない。確かにツヴィリングはドイツのブランドであり、ドイツ製のラインアップもあるのだが、今回セレクトした「ツイン セルマックス M66 シェフナイフ」に関しては岐阜県関市で製造されている。また日本法人であるツヴィリング J.A. ヘンケルス ジャパンも、同じく岐阜県関市に本社を構えているのだ。

 世界的な超有名ブランドさえ、国内の刃物の製造技術を評価しているとも受け取れるし、日本人としては誇らしい事実。ツイン セルマックス M66は、ツヴィリングブランドの包丁の中でも最高硬度を持つモデル。アーチ型のハンドルと、ツバ、エンドキャップの鏡面加工が特徴的で、ヨーロピアンな、無骨ながら上品なデザインテイストと、日本の技術が融合した高級な1本だ。

形状も美しく、細かな部分まで研磨されている

主なスペック:刃材 MC66パウダースチール、およそ全長330mm、刃渡り200mm、重量201g、直販価格3万5200円

試し切りの感想:アーチ型のハンドルは驚くほど使いやすい。握ったときの、手の中の曲線にぴったりと吸い付く感じがすごい。重量は200gで、今回試用した中で一番重いのだが、ハンドルと刃、それぞれの重量バランスが絶妙で、まったく重く感じない。切ってみると、ストン、といった感触で刃が落ち、手の力が効率よく刃に伝わっていることがわかる。設計への極めて強いこだわりが感じられる1本。細部まで丁寧に仕上げてあり、所有することの喜びが非常に大きい製品だ。

 どの食材を切っても、どの切り方でも、スムースに切れてしまう。包丁のパワーによって、ユーザーの能力が最大まで引き出されるという感じがあり、楽しく、クセになりそうな使用感。この包丁で切ると、調理が非常に楽になりそう。切っている最中ってずっと包丁を見ることになるし、見た目がかっこいいのは嬉しい。

■関連サイト

吉田金属工業「GLOBAL G-2 牛刀 20cm」

GLOBAL G-2 牛刀 20cm

 吉田金属工業は、燕三条の新潟県燕市に本社を置く刃物メーカー。創業は1954年で、創業時は洋食器メーカーとして設立された。1960年にステンレス製の和包丁シリーズ「文明銀丁」を開発。鋼の和包丁もまだまだ主流だった国内の包丁に、新たな流れを起こした。同製品は社団法人日本食品衛生協会の推奨品にも指定されるなど、国内の食文化にも関係の深い企業だ。

 1983年に立ち上げた「GLOBAL」ブランドは、圧倒的な知名度を誇り、ステンレス一体型包丁と言えばGLOBALというほど認知度が高い。GLOBALの包丁は衛生的で頑丈、かつ見た目にもスタイリッシュで、「いい包丁を」と探し始めた人が候補に挙げる率も高いメーカーである。

 一説によれば、同社の「GLOBAL」ブランドが大ヒットしてから、オールステンレスの包丁が爆発的に増加したという意見もあり、業界に多大な影響を与えたメーカーと言えるだろう。

 今回セレクトした「GLOBAL G-2 牛刀 20cm」は1万円を切る価格ながら、製品としての造りのよさは、かなりのハイレベル。使いやすさ、かっこよさ、造りのよさ、価格と、すべてがいい具合になっている包丁なのである。

ハンドルとの境目は、ドットパターンで視認しやすい

主なスペック:刃材 モリブデン・バナジウム混ステンレス、およそ全長330mm、刃渡り200mm、重量170g、直販価格9900円

試し切りの感想:ハンドルのドットパターンは、グリップ力を高めてくれるし、手に水分が多い状態で握っても、すべりにくい。このドットパターンはハンドルと刃の境目をひと目で視認できるというメリットもある。切れ味もよく、一体構造による剛性感と、適度な重みにより、ザクザクとどんどん切っていける感じが心地よい。食材の上を滑らせて薄く削ぐような切り方も難なくこなせるが、背に手を載せて押し切るような切り方では、特に扱いやすく感じた。

 ハンドルと刃の位置関係がいいのか、どの食材もイメージ通りに切れているといった印象。何より、この造りのよさ、切れ味のよさ、使いやすさで、1万円を切る価格。ステンレスは極めて腐食しにくい金属だから、リアルに一生使えるかもしれない。いわば、Core i3クラスの価格なのにCore i5が載っていて、かつ、デザインもかっこいいノートPCみたいな状態。スペックと価格のバランスを重視するアスキー読者にとっては、たまらない製品だろう。

■関連サイト

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります