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KDDIが『EV-DO Advanced』導入でデータ通信の混雑緩和へ

2012年04月06日 09時10分更新

 KDDIは都内で記者会見を開き、3Gネットワークの改善成果や、10日から導入する『EV-DO Advanced』技術、『au Wi-Fi SPOT』のエリア整備に関する解説を行なった。

KDDI発表会
↑KDDI、技術統括本部の西山治男 執行役員。
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↑KDDI、コンシューマ事業企画本部WiFi推進室 大内良久氏。

●3Gのエリア改善で基地局数は約2.6倍、エリアカバー率も約20パーセント向上

 まず、KDDI 技術統括本部、執行役員の西山氏から3Gのエリア改善について説明。周波数を有効利用するために2006年度から再編に取り組んできたこと、その際に品質の劣化を防ぐため2GHz帯とのオーバーレイでエリアを増強してきたことを語った。その結果、全国で基地局数は約2.6倍に増加。エリアカバー率も20パーセントほどアップした。特にユーザー数が多く、混雑しがちな東京23区では、基地局の数が4倍に増えたという。

KDDI発表会
↑周波数の再編によって、2GHzと800MHzをオーバーレイしたエリアが完成した。
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↑東京23区では約4倍の基地局を設置した。

 ネットワーク構築にあたっては、「高度なエリア設計をして、他社に負けないように進めてきた」(西山氏)といい、東名阪では路地裏やビル陰の対策が難しかったというエピソードを披露した。こうしたスポットについては、3Dのマップを作成してシミュレーションを重ね、対策を講じているという。品質情報解析システムも導入し、クレーム発生前にエリアを広げるなど、3Gのエリア拡大には余念がない。また、KDDIでは新800MHz帯と2GHz帯の2つを利用しているが、過去に干渉などの問題を解決してきた。こうしたノウハウは2012年冬に導入されるLTEでも生きてくるそうだ。

KDDI発表会
↑ビルなどの障害物のシミュレーションも行ない、高度なエリア設計を実施。
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↑複数の周波数帯を活用するマルチバンドのノウハウも蓄積。LTE導入にも役立てていく構えだ。
つながりやすさ&途切れやすさの改善結果
KDDI発表会
↑都内の例では、つながりやすさは2~3パーセント向上、途切れやすさは0.2~1パーセント抑えることができた。

 

『EV-DO Advanced』導入でスループットを向上

 また、KDDIは4月10日より、『EV-DO Advanced』という新技術を導入する。これは、「セクター間、局間で混んでいるところ、混んでいないところを判断して、空いている基地局をつなぐようにする」(西山氏)技術のこと。「条件によって異なるが、平均のスループットは今までの2倍ぐらいまで上げられる」(西山氏)という。端末も選ばず、iPhoneやAndroidなどのスマホはもちろん、フィーチャーフォンにも効果がある。

EV-DO Advancedのしくみ
KDDI発表会
↑無線基地局の混雑を緩和し、データ通信のスループットを向上させられる。

 

●『au Wi-Fi SPOT』はエリアを整備、屋内や通りでもつながるように

 公衆無線LANサービスの改善についても解説した。auユーザー専用の無線LANスポットとして展開している『au Wi-Fi SPOT』も、エリア整備の考え方は3Gに近い。KDDI コンシューマ事業企画本部WiFi推進室の大内良久氏によると、「生活導線をきちっとカバーしたい」というのが基本方針だ。
 auユーザーに無料配布している『HOME SPOT CUBE』はすでに35万台を突破。「オフロード効果は40パーセント程度ある」(大内氏)と、3G網の負荷軽減にも貢献している。このHOME SPOT CUBEに加え、屋外に置いているスポットも、基本的には5GHz帯に対応している。2.4GHz帯の無線LANスポットが屋外に乱立した結果、干渉がひどく通信ができないという問題が起こっているが、5GHz帯であればこれを回避できる。

35万台超えの『HOME SPOT CUBE』
KDDI発表会
↑auユーザーに配布しているWiFiアクセスポイント。永年無料のキャンペーンは5月31日まで。
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↑アクセスポイントを5GHz帯に対応させ、干渉を避ける。

 店舗内には“ビームフォーミング”という技術を導入。これは「公衆無線LANを屋内でもきっちり使えるための技術」(大内氏)で、ユーザーのいる場所をアクセスポイント側が認識して、そこの電波を強くできるというものだ。
 さらに、一部エリアでは“ストリートセル構想”に基づき、従来より広いエリアをWiFiスポット化した。たとえば、原宿の竹下通りでは、駅から明治通りまでほぼ途切れずに通信できるそうだ。

“ビームフォーミング”技術とは
KDDI発表会
↑アクセスポイント側が屋内でユーザーを認識、電波を強くする技術。
“ストリートセル構想”も実施
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↑通りや地下街をまるごとWiFi化する構想を打ち立て、一部エリアで実施中。

 端末側にも、WiFiの利用率を上げるためのしくみを導入する。5月には無線をサーチする頻度を減らして電池のもちをよくする更新を実施。「過去の機種も含めてやっていく」という。同時に、接続切り替えの速度挙げていく方針だ。

KDDI発表会
↑auの端末側に、電池のもちを長くする改善を行なう。
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↑WiFiの切り替え速度も、5月以降向上させていく。

 地道な改善を重ねて“つながりやすさ”を上げていくKDDI。LTEの導入でネットワークの種類が横並びになっても、こうした努力が大きな差を生み出すことになるのかもしれない。

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