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Adobe MAXで感じたAdobe Senseiの変化

2019年11月21日 17時30分更新

文● 松村太郎(@taromatsumura) 編集● ASCII編集部

Adobe Senseiの新たなミッション

 AdobeはAI技術によって、これまで1時間かかっていた「作業」を一瞬で済ませられるようにすることで、クリエイターに「創造」の時間をより多く確保しようとしています。Adobe Senseiのミッションは、クリエイターたちが日々、どんな創造と作業をしているかを集積し、作業をいかに軽減するかでした。

 しかし今回のAdobe MAXを見て、Adobe Senseiに新たな役割が与えられたようでした。それを意識したのは、スマートフォン向けカメラアプリ「Photoshop Camera」でした。

 このアプリは、Photoshopの画像認識・編集技術を、スマートフォンで撮影するリアルタイムの写真に適用してしまおうというアイディアです。簡単なデモをビデオにまとめています。

 カメラのプレビューにリアルタイムにエフェクトをかけたり、後から写真にエフェクトを含む編集ができます。Photoshopの名称をつけたのは、こうしたスマートフォンアプリをきっかけにして、Adobeで最も有名なクリエイティブアプリに触れてもらい、将来のユーザーを開拓していこうという狙いが透けます。

 そのPhotoshop Cameraアプリの中に、空を認識してそこにエフェクトをかけたり、夜空に変えて星を浮かべるフィルタが用意されていました。この空を認識する技術は、過去のSneaksで紹介されていた技術でした。

 ほかの製品よりもモバイルアプリに採用されたことで、「Adobeが新しい世代のユーザー獲得の武器として、Adobe Senseiを活用し始めた」と思ったのです。

 現状のサブスクリプションユーザーの増加は、これまでのモバイルアプリを介して作られていった新規Adobe IDによって支えられてきました。その一方で、Lightroom、Photoshopに続いてIllustratorもiPad(モバイルフル機能)版が登場することで、モバイルアプリに対して新た魅力を加え、さらにAdobe ID開設を広げなければならなくなりました。

 Adobeの持つ技術、競争力を即効性ある形でユーザーに伝える手段として、Photoshop Cameraが存在している、そんな位置づけを感じ取ることができました。このアプリの正式リリースはまだ先ですが、魔法のようなカメラ体験は人気を博せば、Adobe Senseiも新たな役割を順調にこなしていきそうです。


筆者紹介――松村太郎

 1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura

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