SPORTS TECH TOKYO「World Demo Day」
電子トレカ、自動ハイライト動画生成、女性の体調管理まで――スポーツの課題にテックで挑むベンチャー12社
放映されないスポーツイベントは2億件ーー自動で配信可能に
試合動画の自動生成ではもう1社、イスラエルのベンチャーPixellotもこの市場に挑む。スタジアムに専用カメラを設置して、試合などスポーツコンテンツのプロダクションを自動化できるというものだ。動画の自動生成と配信だけでなく、コメントやパートナー向けにマネタイズのオプションも備えるという。
「世界には放映されていないスポーツイベントが2億もある」「我々はスポーツのプロダクションを民主化する」と同社で米国ユース部門担当プレジデントのDavid Shapiro氏。大学の試合、さらにはユースなど放送されることがほとんどない試合の動画を狙う。AIにより、各選手のハイライトも自動作成できる。
2017年にスタート以来、すでに多数の施設に設置され、月間のライブ放映時間も少しずつ増えている。2018年1月には1万7331時間だったのが2019年1月には4万2200時間と2.5倍に。すでに朝日新聞社のベンチャーキャピタル事業である朝日メディアラボベンチャーズの出資を受けるなど、日本との関係はある。今回STT参加により電通より事業開発と営業・マーケティングなどの支援を受けることが決定、「日本市場拡大を図っていく」と述べた。
360度の動画体験
米国ベースの4D Replayも動画を生成する技術を提供するが、360度という点がユニークだ。複数台のカメラの映像を再構成して作成するもので、どの角度からでもそのシーンを見ることができる。一時停止して角度を変えることもできるので、ハイライト動画だけでなく、審判の補助もできそうだ。
すでにアメリカンフットボール、バスケットボール、野球と様々なスポーツのイベントで使われた実績を持ち、EPSN、Fox Sportsなどを顧客に持つ。日本でも、NHK、フジテレビ、JSportsなどが顧客。春高バレーなどで使われたようだ。
COOのHenry E. Chon氏によると、STTの参加企業であるCBCと日本、東南アジアでの営業パートナーシップを締結予定という。
(参考動画)
https://vimeo.com/249358241
電子トレカでファンエンゲージを強化
日本から唯一となったventusは電子トレーディングカード(トレカ)プラットフォーム「Whooop!」を紹介した。ソニーミュージックグループのアクセラレーションプログラム「ENTX」で最優秀賞受賞を獲得している。
代表取締役の小林泰氏は、「スポーツ業界では放送、アナライズなど様々な変化が起きているが、トレーディングカードだけは変化がない」と述べる。Whooop!を利用してアスリートやチームはトレーディングカードを作ることができ、ファンはこれを購入して取引できる。チームや選手のメリットは、新しい収益源になること、そしてファンエンゲージに関するデータが得られること。「ファンとチームや選手との関係が新しくなる」という。
日本では、大学チーム、卓球Tリーグの琉球アスティーダなど30以上のチームと連携している。STTにより、電通と長期的な関係構築に向けて話を進めているという。
小林氏はまた、カスタマイズできるwhooop!を年内にローンチする計画も明かした。各チームが独自の体験を構築・提供できるという。
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