4.「お金を払ってもいい」と思える環境作り
同社ビジネス・デベロップメント部門ディレクターを務める山本リチャード氏が担当した「Netflixをあらゆるデバイスで楽しむ:良い視聴体験を実現するパートナーシップの拡大と多様化」では、収益に関する話題に及んだ。
Netflixは広告収入がないので、ユーザーが「お金を払ってもいい」と思えるような環境作りを心がけているという。同サービスはスマホやタブレットなどの1700以上のデバイスに対応している。さきほどまで視聴していた動画を、すぐに他のデバイスでも観られるように設計しているそうだ。
特に、同社はテレビを重視している。グローバルも日本も、登録時にはモバイル端末で視聴する割合が高いものの、大きな画面や高音質を求めるのか、6ヵ月後にはテレビで視聴する割合が最多になるからである。
現在、Netflixは300以上の企業とパートナー関係を築いており、近年ではNetflixボタンを備えたテレビリモコンも見られるようになった。9月4日には、当初は競合と思われていたケーブルテレビのJ:COMとも連携し、放送サービスと映像配信サービスが1つの端末で視聴できるセットトップボックス「J:COM LINK」を発表した。
5.自宅を映画館にしてしまうクオリティー
続いて、同社デバイス・パートナーエンゲージメント部門バイス・プレジデントのロブ・カルーソ氏が「高い映像・音響クオリティで作品を配信:リビングにシネマ体験を届ける取り組みとは」を担当。
先述したとおり、Netflixはテレビでの視聴環境を重視している。アジアではモバイルの割合が高い傾向があるものの、日本はアジア諸国では最もテレビでの視聴が多いという。
近年、Netflixは4Kにも対応し始めており、クリエーターが意図したままに表現できるとうたう「Netflix画質モード」も提供している。自宅でもスタジオクオリティーの音質を楽しめるとする「ハイクオリティーオーディオ」も開発した。
6.Netflixでしか観られない本気のアニメ制作
最後は、同社クリエイティブ・テクノロジーエンジニアを務める宮川遙氏が「クリエイターのビジョンを技術力で支える:4K HDR手描きアニメが拓く新たなテクノロジーの開発」で、アニメ分野における取り組みを紹介した。
Netflixは現在、プロダクションI.Gとの共同プロジェクトとして、齋藤瑛氏が監督及び演出を務める『Sol Levante』を制作している。同作は全編4K HDRの手描きアニメである。
齋藤氏は「ちょうど1年前から作業を始めてるんですけど、4K HDRに対応した機材やソフトウェアというのはほとんどありませんでした。今まで既存で使ってきているマシンやソフトウェアをあれこれ工夫して組み合わせながら、これだったらいけるんじゃないか? という形で、試行錯誤を繰り返して原画を起こしてきました」と苦労を語った。
同社プロダクト最高責任者のグレッグ・ピーターズ氏は、作品を制作する際にはNetflixでしか観られない作品を手がけることを心がけているとアピール。アニメの表現分野でも、同じことが言えそうだ。
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