ハフポスト日本版副編集長はSlackを活用して定時帰りを実現
2番手に登壇したのは、ハフポスト日本版 副編集長の泉谷由梨子氏。お題は「リモートワーク・フリーランス・週休3日・育休・時短 Slackは多様な働き方の社員をつなぐ『絆』」で、いろいろな雇用形態の人たちが、Slackを使ってどのようにコミュニケーションをして仕事を進めているかを紹介してくれた。
ハフポストはウェブのみで展開しているニュースサイトで、2005年にアメリカで創設された。15カ国で展開しており、日本には2013年に来て、最近は「会話が生まれるメディア」を目指しているそう。そのため、SNSを介する読者が多いのが特徴だ。同社では、すでにSlackを全社展開しており、全世界で使われている。
泉谷氏は、2015年にハフポスト日本版に入社し、2018年2月に長女を出産。育休は取得したものの、6月にはもう仕事に復帰。時短勤務だったのに、9月には副編集長になった。
「ハフポストの読者像は20代から50代の子育て・介護世代が多く、ニュースメディアでは珍しく男女比率が均衡しています」(泉谷氏)
仕事に加えて家庭のこともしなければならないこの世代はとても多忙。その上、記者という仕事柄、育休を取ったり、保育園の呼び出しに対応したり、家族の病気でしばらくリモートワークしたいといったことを、言いづらい雰囲気ではあった。しかし、今時こんなことを言っていたら、優秀な中途採用の人材を獲得することはできない。とは言え、今の状態で全部認めていたら会議もできないし、記事も作れない。
現在では時短勤務を解除しているが、それでも定時には帰宅しているという。「そこで重要になってくるのが、Slackを介したコミュニケーションです」と泉谷氏。気になるのはどうやって、副編集長が定時帰宅を実現しているのかというところ。そこで、泉谷氏の一日を紹介してくれた。
まず、朝起きると、寝床の中でSlackを見るという。他社のニュースサイトのフィードを流しているチャンネルをチェックし、どんな話題が朝刊で流れたのかを確認する。続いてネタ出しのスレッドを見て、取材の進行状況などをチェックする。
子供を送り出して出勤する途中、電車の中ではSlackを見ながらニュースを読んだり、当日の予定を決めたりする。同僚の予定や勤怠報告なども流れてくるが、手動で入力するだけでなく、GoogleカレンダーをSlackと連携させて自動的に投稿することも可能だ。
会社に着いて着席したら、取材からの報告や執筆した原稿のやりとりもほぼすべてSlack上で行なっている。取材のアイデアを投稿し、その場で予定を調整していく。みんなが集って行なう会議もなくし、外部ライターや広告代理店ともSlack上でやりとりしているそう。
定時で帰るというものの、記者どころか副編集長の仕事が終わるわけはない。昼に取材して、夕方から記事を書き始める同僚も多いためだ。編集部員からの相談も飛んでくるが、帰りの電車の中でSlackを通じて回答しているそう。
保育園のお迎えから夕食の準備、子供の寝かしつけとタスクはびっちり。その時間、最もできないことは電話に出ることだという。しかし、タイミングが良ければスマホでSlackを操作することは可能。断続的に原稿や相談も来るので、子供と寝ながら対応する。子供が寝たら、仕事の残りを片づけたりする。
「Slackが多様な生活スタイルの従業員の働き方と相性がいい理由としては、私生活の細切れ時間を有効活用できること。外部アプリと連携することで、Slackだけを見ていればよく、利便性が高いこと。もう一つは、雑談からネタだし、企画への連携がスムーズだということです」(泉谷氏)
育休やリモートワークでオフィスから長期間離れたとしても、Slackでコミュニケーションしていれば空気感は共有し続けられるのもメリットだという。復帰したときに、スムーズに馴染めるのはありがたいことだろう。
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